建設機械整備士とは?仕事内容・2級の資格・年収と求人の選び方【2026年版】

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未経験・新卒からの仕事選びガイド・2026年版

建設機械整備士とは?建機を直す仕事の中身と、2級技能士までの道のり

油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダー、ローラー。工事現場で働く建設機械を点検し、壊れたら原因を突き止めて直すのが建設機械整備士です。仕事内容、法律で決まった点検、2級建設機械整備技能士の受検資格と試験の中身、年収と求人のデータまで、国や業界団体の資料をもとに整理しました。

  • 4.50倍有効求人倍率
    (機械整備・修理の職業・令和7年度)
  • 約571万円平均42.7歳の年収の目安
    (建設機械修理を含む整備職の分類)
  • 実務2年実務経験のみで
    2級技能検定を受ける場合
  • 年1回車両系建設機械の
    特定自主検査
  • 対象:未経験・新卒・転職
  • 国の統計と法令で解説
  • 資格取得を助成する求人あり

先に結論:建設機械整備士は、建設機械のエンジン、油圧、足回り、電気系統を点検し、故障の原因を見つけて直す技術職です。入社時に技能士の資格は要らず(普通自動車免許、特にAT限定不可を条件にする求人はあります)、実務経験2年(関係する学科の卒業者などは0年)で国家検定の「2級建設機械整備技能士」に挑戦できます。機械整備・修理の職業の有効求人倍率は4.50倍(令和7年度の全国平均、全職業は1.19倍)で、全国平均で見ると人手が足りていない分野です。法律で年1回の検査が義務づけられた機械を扱うため、点検の仕事が毎年生まれやすいのも特徴です。油汚れと重い部品に付き合えるかが、最初の分かれ目になります。

この記事の目次
  1. 建設機械整備士とは
  2. 仕事内容
  3. 法律で決まった点検
  4. 働く場所
  5. 1日の流れ
  6. きつさと安全
  7. 年収・求人データ
  8. 2級技能士の資格
  9. 現場で要る講習・資格
  10. 未経験・新卒からの道
  11. 向き不向き
  12. 求人の見方
  13. 将来性とキャリア
  14. よくある質問
  15. まとめ

建設機械整備士とは?「仕事の呼び名」と「国の資格」を分けて考える

建設機械整備士は、工事現場で使われる建設機械(建機)の点検、整備、修理を担う技術者の呼び名です。求人では「建機整備」「修理職」などの名前で募集されることもあります。工事は機械が止まれば進みません。その機械を「止めない」「止まったら早く戻す」ための仕事です。

ここで最初に整理しておきたいのが、仕事の呼び名と資格の名前の違いです。国の制度で対応するのは、技能検定の「建設機械整備」という職種で、合格すると「建設機械整備技能士」を名乗れます。技能検定は職業能力開発促進法に基づく国家検定です。厚生労働省のパンフレットでは、技能士は合格者以外が名乗れない名称独占の資格と説明されています。

つまり、技能士の資格を持っていないと整備の仕事ができない、というわけではありません。多くの人は資格を持たずに入社し、先輩について経験を積みながら、2級、1級と資格を取りにいきます。この記事では、入口から資格の取り方までを順番に見ていきます。

どんな機械を整備するのか

厚生労働省が定める建設機械整備の試験基準では、対象の機械が用途ごとに挙げられています。現場で見かける機械を当てはめると、次のようになります。

整地・運搬・積込み用

ブルドーザー、モーターグレーダー、ホイールローダーなど。土を押し、ならし、すくって積む。

掘削用

油圧ショベル(ドラグ・ショベル)など。工事現場でよく目にする機械。

基礎工事用

くい打機、アース・ドリルなど。建物や橋の基礎をつくる大型の機械。

締固め用

ロードローラー、振動ローラーなど。道路や造成地の地面を固める。

揚重用

クレーン類など。重い物を吊り上げて運ぶ。

舗装・コンクリート用ほか

舗装、道路維持、トンネル工事、給排水などの専用機械。高所作業車や不整地運搬車は「その他の建設機械」に入る。

1台の中に、エンジン、油圧、走行、電気、作業装置という性格の違う装置が詰まっているのが建設機械の特徴で、整備士は機械全体を見渡す力を身につけていきます。

自動車整備士とはどう違う?

よく比べられるのが自動車整備士です。どちらも「機械を点検して直す」仕事ですが、対象の機械、資格の制度、法律で決まった点検が違います。

項目建設機械整備士自動車整備士
主な対象油圧ショベル、ブルドーザー、ローラーなど工事用の機械乗用車、トラックなど道路を走る自動車
国の資格技能検定「建設機械整備」(厚生労働省の制度・特級、1級、2級)自動車整備士(国土交通省の制度・1級〜3級など)
法律で決まった点検労働安全衛生法に基づく特定自主検査(年1回)など道路運送車両法に基づく点検や車検
作業の特徴油圧装置や足回りなど大きく重い部品が多く、現場へ出向く修理もある整備工場での作業が中心で、車種ごとの電子制御の知識が求められる

自動車整備士の仕事や資格の階段は、自動車整備士のキャリアガイドで詳しく解説しています。自動車整備の経験は、建設機械の整備でもエンジンや電気系統の理解として生きます。

仕事内容|装置ごとに見る「直す」の中身

建設機械は、エンジンで油圧ポンプを回し、その油の力でブームやバケットを動かし、履帯(クローラ)やタイヤで走ります。整備士の仕事は、この流れのどこに異常があるかを見つけ、分解し、部品を直したり交換したりして、元の性能に戻すことです。装置ごとに、どんな作業をするのかを見ていきます。

1.エンジン(原動機)

始動しにくい、力が出ない、煙の色がおかしい、水温が上がりすぎる。こうした症状から、燃料の供給、冷却、潤滑のどこに原因があるかを探ります。エンジン内部の状態は、圧縮圧力を測ることで確かめます。オイルや各種フィルターの交換といった定期的な整備も、エンジンまわりの基本の仕事です。

2.油圧装置

建設機械らしさがいちばん出る分野です。油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、バルブ、ホースで構成され、動きが遅い、力が弱い、油がにじむといった不具合が起きます。圧力を測って原因を絞り込み、油漏れがあればシリンダーを分解してシール(油漏れを防ぐ部品)を交換するのが、日常の整備でよくある作業です。油圧シリンダを分解し、測って、調整して組み立てる作業は、2級技能検定の実技試験の課題にもなっています。

3.走行装置(足回り)

履帯、起動輪、遊動輪、上下の転輪、タイヤなどです。土や石の上を走り続けるため、摩耗が避けられません。摩耗の量を測り、交換の時期を判断し、張りを調整します。部品が大きく重いため、クレーンやジャッキを使った段取りの良さが問われる作業です。

4.作業装置・旋回装置

ブーム、アーム、バケット、連結部のピンやブシュなど、実際に土を掘る部分です。ガタつきが出たピンやブシュの交換、割れた部分の溶接、曲がった部分の修正などを行います。試験基準でも、ガス溶接と切断、アーク溶接、板金による形状の復元や曲がり直しが修理の方法として挙げられています。

5.電気系統・計器・安全装置

バッテリー、配線、センサー、モニター、警報装置、灯火類です。断線、接触不良、短絡(ショート)を、テスター(電圧や抵抗を測る計器)で追いかけます。電子制御を使う機械では、診断機でエラーの記録を読み取り、原因の見当をつける作業もあります。

故障はこうして見つける

厚生労働省の試験基準(2級)では、故障の発見方法として、音、臭い、振動、温度、圧力、色、漏れ、すき間、き裂、摩耗、断線などによる異常の確認が挙げられています。五感と計器の両方を使って原因を探る仕事です。

同じ試験基準は、故障の原因として、過負荷、給油の過不足、操作の誤り、点検不足といった「使い方と保守の問題」、調整や整備の不良といった「整備の問題」、さらに設計や製作上の原因を挙げています。直すだけでなく「なぜ壊れたか」をお客様に伝え、再発を防ぐ使い方まで助言できると、信頼される整備士になれます。

整備士の道具

試験基準には、トルクレンチ(締め付けの強さを管理するレンチ)、ノギス、圧力計、ポータブル油圧テスタ、摩耗ゲージといった道具や計測器に加え、チェーンブロック、クレーン、フォークリフト、溶接装置も並んでいます。重い部品を安全に吊って動かすことまでが、整備の仕事です。

法律で決まった点検|特定自主検査・月例検査・始業点検

建設機械整備の仕事を安定させているのが、法律で決まった点検です。労働安全衛生規則では、車両系建設機械(ブルドーザーや油圧ショベルなど)について、事業者に次の点検を義務づけています。

点検頻度主な中身
特定自主検査(年次)1年以内ごとに1回(1年を超えて使わない期間は除き、使い始めるときに検査)原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、ブレーキ、作業装置、油圧装置、電気系統、車体や警報装置など(第167条)
月例の自主検査1か月以内ごとに1回ブレーキ、クラッチ、操作装置、作業装置、ワイヤロープやチェーン、バケットなどの損傷(第168条)
作業開始前点検その日の作業の前ブレーキとクラッチの機能(第170条)

年に1回の検査は「特定自主検査」と呼ばれ、労働安全衛生法第45条第2項により、資格を持つ検査者か、登録を受けた検査業者が行うことになっています。業界団体の建設荷役車両安全技術協会(建荷協)は、これを「働く機械の健康診断」と表現しています。検査結果は記録して3年間保存し、検査を終えた機械には検査した年月がわかる標章(ステッカー)を見やすい場所に貼ります。第45条に違反した場合は、同法第120条で50万円以下の罰金の対象と定められています。

年次検査の項目は、原動機の圧縮圧力や弁のすき間、履帯やタイヤ、かじ取り、ブレーキの効き、ブーム、リンク、バケット、油圧ポンプやシリンダー、安全弁、電圧や電流と、機械のほぼ全体に及びます。整備士にとってこの検査は、機械の弱っているところを見つけ、故障する前に手を打つ機会でもあります。

検査者の資格と整備士の関係:建荷協の「特定自主検査 事業内検査者 資格取得のしおり」(令和6年4月〜)では、高校で工学系の学科を卒業した人が車両系建設機械の検査者研修を受けるには、点検や整備の経験4年以上が必要とされています。一方、建設機械整備の1級または2級の技能検定の合格者は、油圧ショベルなどの「整地・運搬・積込み用、掘削用及び解体用」や、基礎工事用、締固め用の機械について、研修と経験を求めずに資格が認められる区分に入っています。2級技能士の資格は、検査の仕事に直結しているのです。

働く場所|メーカー系・レンタル会社・建設会社・整備工場

建設機械整備士が働く会社は、大きく4つに分けられます。仕事の中身や身につく力が少しずつ違うので、求人を見るときの手がかりにしてください。

会社のタイプ主な仕事身につく力確かめたいこと
メーカー系の販売・サービス会社自社ブランドの機械の点検、修理、納車前の整備特定の機種の深い知識、メーカーの研修出張修理の範囲と頻度
建機レンタル会社返ってきた機械の点検と修理、貸し出す前の整備、お客様の現場での修理多くのメーカー・機種に触れる経験扱う機械の種類、工場の設備
建設会社・道路会社の機械部門自社で持つ機械の保守と修理現場の使われ方を踏まえた整備工事現場への同行や転勤の有無
建設機械の整備専門工場持ち込まれた機械の修理、エンジンや油圧部品の分解整備分解整備の腕、部品の再生技術教える人の数、作業の割り振り

どのタイプでも、工場(整備場)の中での作業と、お客様の現場へ出向く出張修理の2つがあります。工場での作業が中心の会社もあれば、工具を積んだサービスカーで現場を回る時間が長い会社もあります。天候の影響や移動の多さが変わるので、面接で比率を聞いておきましょう。

建機レンタル会社には、整備・修理のほかに、機械の受け入れや貸出準備を担う業務職、営業職、事務職もあります。職種どうしの違いは建機レンタル会社の仕事ガイドにまとめています。この記事は、その中の整備・修理の仕事を掘り下げたものです。

1日の流れ|工場の日と出張修理の日

建機レンタル会社やサービス会社の整備士を例に、よくある1日の流れを紹介します。順番は一例で、会社や拠点によって変わります。

工場で整備する日

朝礼・段取りその日に直す機械と部品の入荷を確認し、担当を決める。
点検・分解修理歴を見てから動かして症状を確かめ、クレーンで部品を吊って分解する。
組立て・試運転・記録締め付けの強さを管理して組み立て、圧力や動きを確かめ、作業内容を記録する。

出張修理に出る日

お客様の現場で機械が止まると、工具と部品をサービスカーに積んで向かいます。運転していた人に状況を聞き、その場で直せるものは直し、大きな修理なら工場へ運ぶ段取りをつけます。工事が止まっているので、早さと確実さの両方が求められる場面です。

きついところと、安全の決まり

良い面だけでは仕事選びの役に立ちません。建設機械整備のきついところを、先に書いておきます。

油と汚れ

油圧の作動油、グリース、泥。作業着は毎日汚れる前提の仕事。

重い部品

建機の部品は大きく重い。クレーンやジャッキを使う段取りが欠かせない。

暑さと寒さ

天井の高い広い整備場は空調が行き届きにくい場合がある。出張修理は屋外での作業になる。

覚えることの多さ

機種、メーカー、装置の数だけ構造がある。数年がかりで身につける仕事。

道具と段取りで軽くできる部分はありますが、なくなるわけではありません。重い部品はクレーンやジャッキを使うのが基本ですが、手で扱う部品も多く、腰を痛めない持ち方や段取りを覚える必要があります。出張修理では、整備場の設備が使えない現場で作業することになります。作業服を貸与する会社もありますが、汚れへの備えは会社によって違うので、面接で聞いておくと安心です。覚えることの多さは、裏返せば経験がそのまま価値になるということです。

安全は、ルールで守る

整備中の事故を防ぐため、労働安全衛生規則には細かな決まりがあります。たとえば、ブームやアームを上げた下で修理や点検をするときは、不意に下がってこないよう安全支柱や安全ブロックを使わなければなりません(第166条)。また、修理やアタッチメント(先端に付ける作業具)の付け外しをするときは、作業を指揮する人を決め、その人が手順を決めて指揮することになっています(第165条)。

こうした決まりを徹底している会社かどうかは、見学のときに整備場を見ればある程度わかります。安全支柱が決まった場所に置かれ、通路が片付いているかを見てみましょう。

年収・求人データ|公的統計で見る整備職の水準

最初にお伝えしておくと、建設機械の整備士だけを対象にした公的な賃金統計はありません。総務省の日本標準職業分類では、建設機械修理・保全工は「はん用・生産用・業務用機械器具整備・修理従事者」に含まれます。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、この分類と電気機械器具の整備職をまとめた職種で集計されています。ここではその数字を目安として紹介します。

項目はん用・生産用・業務用機械器具・電気機械器具整備・修理従事者(参考)自動車整備・修理従事者
平均年齢42.7歳40.6歳
平均勤続年数15.0年13.7年
所定内給与額(月)32.24万円30.55万円
きまって支給する現金給与額(月)37.18万円33.95万円
年間賞与その他特別給与額125.02万円96.40万円
年収の目安(月の給与×12+賞与)約571万円約504万円
月の超過労働時間18時間15時間

数値の出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・企業規模10人以上・男女計の職種別集計です。「きまって支給する現金給与額」は残業代などを含む毎月の給与、「所定内給与額」は残業代などを除いた給与です。年収の目安は、きまって支給する現金給与額を12倍し、年間賞与その他特別給与額を足して編集部で計算しました。

この分類には工場の設備保全や電気機械の修理なども含まれるため、建設機械整備士だけの数字ではありません。目安として読んでください。

年齢でどう変わるか

同じ調査の年齢階級別の集計では、残業代などを除いた所定内給与額は次のように上がっていきます。年収の目安は、上の表と同じ計算(残業代なども含む毎月の給与×12+年間賞与)です。

年齢所定内給与額(月)年収の目安
20〜24歳23.90万円約412万円
25〜29歳26.80万円約485万円
30〜34歳30.33万円約548万円
35〜39歳32.16万円約578万円
40〜44歳34.00万円約616万円
45〜49歳36.90万円約663万円
50〜54歳37.80万円約680万円

冒頭の約571万円は、平均42.7歳・勤続15.0年で、月18時間の残業代なども含んだ値です。入社直後の水準ではない点に注意してください。表の20〜24歳の値も、平均勤続3.1年の人たちの平均で、年間賞与(約73.6万円)を含んでいます。入社1年目の年収は、賞与の出方によってこの目安より低くなることがあります。新卒の初任給は求人ごとに違い、たとえばこの記事で紹介している新卒向けの求人では、高卒が月給186,200円〜、4年制大学卒が月給216,000円〜となっています。

20代前半から50代前半にかけて、所定内給与額は月14万円ほど上がっています。年齢ごとの平均なので一人ひとりの昇給の道筋ではありませんが、経験と資格で任される仕事が増えることが給与にも表れていると考えられます。なお、会社の規模でも差があり、年収の目安は従業員1,000人以上の会社で約637万円、100〜999人で約556万円、10〜99人で約500万円でした。

人手不足の度合い

厚生労働省の一般職業紹介状況(ハローワークの統計)では、令和7年度の「機械整備・修理従事者」の有効求人倍率は、パートタイムを除く常用で4.50倍でした。同じ期間の全職業は1.19倍です。求職者1人に対して4件を超える求人がある計算で、全国平均で見ると整備の仕事は人が足りていません。建設機械の整備もこの分類に入りますが、自動車の整備など建設機械以外の整備も多く含まれ、地域によっても差があります。

実際の求人を見るときは、学歴ごとの初任給、賞与の実績、資格手当、時間外手当の扱いを確かめましょう。給与欄の読み方は求人の給与欄の読み方ガイドで詳しく解説しています。

資格の取り方①|2級建設機械整備技能士

建設機械整備士の中心になる資格が、技能検定の「建設機械整備」です。都道府県が実施する職種で、試験問題は中央職業能力開発協会がつくり、受検の申し込みや試験の実施は各都道府県の職業能力開発協会が担当します。令和8年度の実施職種一覧では、1級と2級が前期、特級が後期に組まれており、3級の区分はありません。合格すると、2級は都道府県知事名、1級と特級は厚生労働大臣名の合格証書が交付されます。

受検資格

等級求められる技能の程度実務経験のみの場合に必要な年数
2級中級の技能労働者が通常持つ程度2年以上
1級上級の技能労働者が通常持つ程度7年以上(2級合格後なら2年以上)
特級管理者・監督者が通常持つ程度1級合格後5年以上

厚生労働省のパンフレット(令和8年度版)の表では、検定職種に関係する学科を卒業した人(専門高校、短大・高専、大学など)や、関係する職業訓練を修了した人は、必要な年数が短くなります。2級では、実務経験のみの場合の2年を除き、こうした学科の卒業や訓練の修了の区分はどれも実務経験0年です。たとえば工業高校の機械科などを卒業した人は、入社してすぐに2級を受けられる可能性があります。どの学科や訓練が「関係あり」と認められるかは都道府県職業能力開発協会が判断するので、学校で学んだ内容を添えて問い合わせるのが確実です。

試験の中身(2級)

試験内容時間
実技:製作等作業試験建設機械のエンジン(内燃機関)と油圧シリンダの分解、測定、調整、組立て。鋼板のガス切断とタップ加工(ねじ穴を切る作業)2時間50分
実技:計画立案等作業試験建設機械の点検、故障の発見、修理、調整などについての筆記1時間20分
学科試験真偽法と四肢択一法で50問1時間40分

合格の基準は、100点満点で原則として実技60点以上、学科65点以上です。実技の製作等作業試験ではガス切断を行うため、1級・2級とも、ガス溶接作業主任者免許証かガス溶接技能講習の修了証などを持参する必要があります。受検を決めたら、まずガス溶接技能講習を済ませておきましょう。

学科の範囲は、試験基準で次の9つの科目に分かれています。建設機械(種類、用途、装置の構造)、建設機械整備法(道具、計測器、故障の原因と発見、修理の方法)、材料、機械要素(ねじ、歯車、軸受、シールなど)、燃料及び油脂類、力学及び材料力学、製図、電気、安全衛生です。安全衛生では、労働安全衛生法のうち建設機械整備作業と特定自主検査に関する部分が問われます。日々の仕事で触れる内容が多く含まれるので、現場で「なぜそうするのか」を先輩に聞く習慣が、いちばんの試験対策になります。

日程と費用

日程は年度ごとに決まります。受けたい年度の日程と実施する都道府県は、3月ごろに出る実施公示と、住んでいる地域の職業能力開発協会の案内で確かめてください。

参考に、令和8年度(前期)の例を紹介します。受検申請の受付は4月6日から17日まで(都道府県の判断で開始が早まる場合あり)、学科試験は8月30日(日)の10時から、計画立案等作業試験は同じ日の13時15分からの全国統一日程で、1級・2級の合格発表は10月2日(金)という日程です。製作等作業試験は、統一日とは別に都道府県ごとの期間の中で行われます。春に申し込み、夏に試験を受け、秋に結果がわかる流れです。受検手数料は都道府県ごとに決まっていて、標準の金額は実技18,200円、学科3,100円です。

勉強のしかた

中央職業能力開発協会は、過去の試験問題を公開サイトで公開し、学科と計画立案等作業試験の正解もホームページに載せています。まずは過去問を解いて、出題の傾向をつかむのが近道です。業界団体の日本建設機械レンタル協会は、正会員企業に勤める人を対象に、1級と2級の学科と計画立案等作業試験の過去3年分を学べるeラーニングを有料で用意しています(1セット3,300円または5,500円・税込。協会の登録制度に登録しているかどうかで金額が変わる)。募集は年度ごとで、受講できる期間も決まっています(2026年度の受講期間は6月1日〜8月31日)。勤め先が正会員企業なら、次の募集の時期と使えるかどうかを会社を通じて聞いてみましょう。

建設機械の修理職の求人を見てみる

マン天には、建機レンタルの株式会社カイノスが、愛知県の西尾市・刈谷市・安城市・碧南市・東浦町の各拠点で、建設機械の修理・点検・整備を担う修理職を募集する求人が掲載されています。対象は2027年卒業または卒業予定の方(大学・短大・専門・高校)で、普通自動車運転免許(AT限定不可)が必須です(入社日までの取得や限定解除でも可)。月給216,000円〜(4年制大学卒)、短大・専門卒は月給200,000円〜、高卒は月給186,200円〜。年間休日は120日で、休日欄には「完全週休2日制」とあわせて「第二土曜・日曜・祝日(一部除く)」と書かれています(会社カレンダーによる)。勤務時間は8:00〜17:00で、拠点により交代勤務があります(8:30〜17:30/9:00〜18:00)。資格取得助成制度があります。

修理職の求人を見る

資格の取り方②|現場で要る講習と、あると強い資格

技能士のほかにも、整備の現場では法律で講習の修了が求められる作業があります。入社後、会社の計画に沿って順番に取っていくのが一般的です。

講習・資格必要になる場面根拠
普通自動車運転免許サービスカーでの移動、機械の回送。求人ではマニュアル車の運転を条件にする例もある道路交通法
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習など機体重量3トン以上の油圧ショベルやブルドーザーなどを動かす(試運転や工場内の移動を含む)。基礎工事用と解体用は別の技能講習労働安全衛生法施行令第20条第12号
小型車両系建設機械の特別教育同じ種類の機械で機体重量3トン未満のものを動かす労働安全衛生規則第36条第9号
締固め用機械の特別教育ローラーなど締固め用の機械を動かす(重さにかかわらず特別教育)労働安全衛生規則第36条第10号
ガス溶接技能講習ガスでの溶接や切断。技能検定の実技でも必要労働安全衛生法施行令第20条第10号
アーク溶接の特別教育割れた部分の溶接など労働安全衛生規則第36条第3号
玉掛け技能講習1トン以上のクレーンで部品を吊る合図や掛け外し労働安全衛生法施行令第20条第16号
フォークリフト運転技能講習最大荷重1トン以上のフォークリフトで部品や機械を運ぶ労働安全衛生法施行令第20条第11号

技能講習で許されるのは、工場や現場の中での運転です。条文にも「道路上を走行させる運転を除く」とあり、機械を公道で走らせるには、機械の大きさに合った運転免許が別に要ります。フォークリフトの講習の中身はフォークリフト免許の記事で紹介しています。

あると強い資格

経験を積んだあとに差がつくのが、特定自主検査の検査者資格と、自動車整備士の資格です。前に触れたとおり、2級技能士に合格すると車両系建設機械の検査者資格が得やすくなります。また建荷協のしおりでは、1級四輪、2級ガソリン、2級ジーゼルの自動車整備士は、1年以上の経験と9.5時間の研修で検査者の資格を得られる区分に入っています(ほかの自動車整備士は、必要な経験年数や研修時間が長い区分です)。ディーゼルエンジンを積んだ機械が多い建設機械の世界では、自動車整備士の知識も評価されます。

近い分野の技能検定には、フォークリフトなどを対象にした「産業車両整備」、農業機械を対象にした「農業機械整備」もあります。扱う機械が近いため、会社によってはこれらを取る人もいます。

未経験・新卒からの道|入社後3年のモデル

建設機械整備士は、学校で機械を学んでいなくても目指せます。マン天に掲載中の求人の例では、入社後はまず業務職として基礎を学び、配属後に先輩の指導を受けながら修理技術を身につけていく流れが示されています。一般的な歩みを、入社後3年のモデルにまとめました。

入社〜1年:機械と道具を覚える部品と工具の準備や消耗品の交換を手伝いながら、機種と部品の名前を覚える。フォークリフト、玉掛け、車両系建設機械の運転の講習を受ける。
1〜2年:故障探しに加わる計器で測って原因を絞る経験を積み、ガス溶接技能講習を受けて技能検定の準備を始める。
2年〜:2級技能検定に挑戦実務2年で2級を受検(関係する学科の卒業者などは、もっと早く受けられる場合もある)。合格すると特定自主検査の検査者の資格も得やすくなる。
3年〜:一人で修理を任される出張修理を一人でこなし、後輩に教える立場へ。7年、または2級合格後2年で1級を目指す。

このモデルは目安で、講習の順番や任されるまでの期間は会社によって違います。研修制度の見極め方は未経験歓迎の求人で研修制度を見抜く方法も参考にしてください。

向いている人・慎重に考えたい人

向いている人慎重に考えたい人
「なぜ壊れたか」を考えるのが苦にならない原因がわからないまま部品を替えて済ませたい
手順と締め付けの数値を守り、確認を省かない「だいたい合っていればいい」で済ませがち
油汚れを気にしすぎず、何年もかけて積み上げられる汚れない環境や、すぐ一人前の扱いが絶対の条件

「機械が大好き」でなくても大丈夫です。建設機械は大きく力も強いので、確認を1つ省くと大きな事故につながります。慎重で几帳面な性格は、この仕事ではそのまま長所になります。

求人の見方と会社選び|応募前に確かめたい10項目

  • 扱う機械:自社ブランド中心か、多くのメーカーの機械を扱うか
  • 作業の場所:工場での整備と出張修理の比率、出張の範囲
  • 育て方:最初に何を任され、一人で修理するまで何年が目安か
  • 資格の支援:技能講習、技能検定、検査者研修の費用を会社が負担するか
  • 資格手当:どの資格にいくら付くか
  • 給与:学歴別の初任給、昇給、賞与の実績、時間外手当と出張修理の手当の扱い、固定残業代の有無
  • 休日:年間休日の日数、週休2日の形、繁忙期の休み方
  • 勤務時間:拠点ごとの始業時間の違いや、交代勤務の有無
  • 勤務地:配属される拠点の範囲、転勤の有無、住まいの支援
  • 安全と設備:安全支柱やクレーンなどの設備、保護具の支給

仕事内容が「整備全般」の一言だけでなく、点検、修理、出張修理の中身まで書かれている求人は、入社後の姿を想像しやすくなります。勤務時間については、求人の休日・勤務時間の読み方もあわせて確認してください。

新卒向けの求人と中途向けの求人を見分ける:求人の中には、応募の対象を卒業年で決めた新卒向けのものがあります。対象が「2027年卒業または卒業予定の方」のように書かれている求人は、既卒や転職の人は応募できない場合があります。対象の欄を最初に確かめ、合わない場合は同じ会社の中途採用の窓口がないか問い合わせてみましょう。

面接で聞いておきたいこと

  • 未経験で入社した先輩は、いま何年目で、どんな仕事を任されているか
  • 2級技能検定は、入社何年目で受ける人が多いか
  • 出張修理は何年目から、1人で任されるのか
  • 夏場の暑さ対策や、整備場の設備はどうなっているか

将来性とキャリア|電動化と電子制御の時代の整備士

建設機械の世界は変わりつつあります。国土交通省は令和5年10月に「GX建設機械認定制度」を始め、電動(バッテリー式や有線式)の油圧ショベルやホイールローダーを認定の対象にして、工事現場での普及を後押ししています。電子制御を使う機械では、診断機でエラーの記録を読み、配線やセンサーの不具合を探すことも整備の一部です。

機械が変わっても、法律で決まった年1回の検査と、動かし続けるための整備はなくなりません。油圧と機械の基本に電気と電子制御の知識を足していける整備士は、これからさらに頼られる存在になるでしょう。経験を積んだ先には、特定自主検査の検査者、1級・特級の技能士、工場長やサービス管理といった道があります。

特級の試験基準には、工程管理、作業管理、品質管理、原価管理、安全衛生管理といった「現場をまとめる力」が並んでいます。整備士としての腕を磨いた先に、人と工場を動かす仕事が用意されているのが、この職種の道のりです。

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よくある質問

建設機械整備士になるのに資格は必要ですか?

技能士の資格は、入社の時点では必要ありません。国の検定で対応する「建設機械整備技能士」は、合格者だけが名乗れる名称独占の資格で、持っていないと整備の仕事ができないものではありません。ただし普通自動車運転免許(AT限定不可)を条件にする求人はあります。また、機体重量3トン以上の油圧ショベルなどの運転やガス溶接など、講習の修了が必要な作業はあるため、働きながら順番に取っていくのが一般的です。

2級建設機械整備技能士の受検資格は何ですか?

実務経験のみの場合は2年以上です。検定職種に関係する学科を卒業した人(専門高校、短大・高専、大学など)や、関係する職業訓練を修了した人は、2級は実務経験0年で受けられる区分があります。1級は実務経験のみなら7年以上、または2級合格後2年以上、特級は1級合格後5年以上です。関係する学科かどうかなどの判定は都道府県職業能力開発協会が行います。

2級の試験はどんな内容ですか?

実技は、エンジンと油圧シリンダの分解・測定・調整・組立てに鋼板のガス切断とタップ加工を加えた製作等作業試験(2時間50分)と、点検・故障の発見・修理・調整を問う計画立案等作業試験(1時間20分)です。学科は真偽法と四肢択一法の50問・1時間40分です。合格は原則として実技60点以上・学科65点以上で、実技にはガス溶接技能講習の修了証などの携帯が必要です。

年収はどのくらいですか?

建設機械だけを対象にした公的統計はありません。令和7年賃金構造基本統計調査で建設機械修理・保全工を含む「はん用・生産用・業務用機械器具・電気機械器具整備・修理従事者」は、平均42.7歳で残業代なども含む月の給与が37.18万円、年間賞与125.02万円で、年収の目安は約571万円です。20〜24歳の所定内給与額は月23.9万円で、50代までは、年齢が上の層ほど平均の給与は高い傾向があります。年齢ごとの平均の比較で、一人ひとりの昇給の見通しではありません。

文系や機械の知識ゼロでもなれますか?

なれます。入社後はまず業務職として基礎を学び、配属後に先輩の指導で修理技術を身につけていく求人があります。会社によっては、最初に洗浄や部品の準備などを担当しながら機械と工具に慣れていく形もあります。必要なのは知識の量より、手順を守ること、わからないことを確認すること、覚えたことを書き留めて積み上げる習慣です。

自動車整備士とは何が違いますか?

扱う機械と資格の制度が違います。建設機械整備士は油圧ショベルやブルドーザーなどが対象で、国の検定は厚生労働省の技能検定「建設機械整備」です。法律で決まった点検は、労働安全衛生法に基づく年1回の特定自主検査などです。自動車整備士は国土交通省の資格で、道路を走る自動車の点検や車検を担います。

特定自主検査とは何ですか?

労働安全衛生法と労働安全衛生規則で、車両系建設機械などについて1年以内ごとに1回、資格を持つ検査者か登録検査業者が行うよう定められた検査です(1年を超えて使わない期間は除き、使い始めるときに検査します)。原動機、動力伝達装置、走行装置、ブレーキ、作業装置、油圧装置、電気系統などを調べ、結果を記録して3年間保存し、検査済みの標章を機械に貼ります。

まとめ|建機を「止めない」技術は、長く頼られる手に職になる

この記事の要点

  1. 建設機械整備士は、建機のエンジン、油圧、足回り、電気系統を点検し、原因を見つけて直す技術職。
  2. 国の資格は技能検定「建設機械整備」。合格者は建設機械整備技能士を名乗れる(名称独占)。
  3. 入社時に技能士の資格は不要(普通自動車免許を条件にする求人はある)。3トン以上の油圧ショベルなどの運転やガス溶接などは、講習を受けてから行う。
  4. 車両系建設機械には年1回の特定自主検査が法律で義務づけられ、点検の仕事が毎年生まれやすい。
  5. 2級は実務2年(関係する学科の卒業者などは0年)で受検でき、実技はエンジンと油圧シリンダの分解・組立てなど、学科は50問。
  6. 2級の合格者は、特定自主検査の検査者資格が得やすくなる。
  7. 整備職の分類の年収の目安は約571万円、20〜24歳の所定内給与額は月23.9万円(令和7年)。
  8. 機械整備・修理の職業の有効求人倍率は4.50倍(令和7年度の全国平均)で、全国平均で見ると人手が足りていない。
  9. 求人は、扱う機械、出張修理の比率、資格の支援、応募の対象(新卒か中途か)を確かめる。
  10. 電動化と電子制御が進んでも、油圧と機械の基本に電気の知識を足した整備士はさらに頼られる。

未経験から目指すなら、機械の知識より先に「手順を守り、確かめながら覚えていけるか」を自分に問いかけてください。そこにうなずけるなら、2級技能士、検査者、1級と、経験が資格に積み上がっていく道があります。まずは、扱う機械と育て方が具体的に書かれた求人を見比べるところから始めましょう。

参照元ソース

※数値と日程は各公式サイトの掲載内容によります。賃金と有効求人倍率は、建設機械整備を含むより広い職業分類の数値で、建設機械整備士だけの数値ではありません。試験日程や受検手数料は年度と都道府県で変わります。最新の情報は各出典元と求人ページでご確認ください。

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