基礎工事の仕事とは?工程・きつさ・年収と、未経験からの始め方
家もビルも、完成すると見えなくなる「基礎」の上に立っています。基礎工事は、建物の重さを地盤に伝える鉄筋コンクリートの土台をつくる仕事です。遣り方・根切りから配筋、コンクリート打設、型枠の解体までを工程順に追いながら、新人が任される作業、きついと言われる理由と続けられる条件、統計で見る年収、求人の見方までを解説します。
- 7.85倍有効求人倍率
(建設躯体工事従事者・令和8年6月) - 約415万円年収の試算
(同・令和7年賃金構造基本統計調査) - 地上30cm以上基礎の立上りの高さ
(国の告示の仕様基準・構造計算をしない場合) - 10年新築住宅の基礎の欠陥について
家を請け負った会社が負う担保責任
- 対象:未経験から現場職を考えている人
- 名古屋の正社員求人あり
- 資格取得支援のある求人あり
- 更新:2026年8月
先に結論:基礎工事は、未経験でも補助作業から始められる現場職です。掘る、鉄筋を組む、型枠を立てる、コンクリートを打つという工程を1棟ずつ繰り返すうちに、流れごと体で覚えていけます。きつさの中心は、重い資材、低い姿勢での作業、夏と冬の屋外、そして打設日の時間との勝負です。一方で、建設躯体工事の有効求人倍率は7倍を超えており(令和8年6月・ハローワーク)、働き手が足りない状態です。会社を選ぶときは、この記事の「応募前の7つのチェック」で、特に給与形態、雨の日の扱い、休日、資格支援、現場の範囲を確かめてください。
この記事の目次
基礎工事とは?建物の重さを地盤に伝える「見えなくなる構造」
基礎とは、建物のいちばん下で、柱や壁から伝わる重さを受け止めて地盤に伝える部分です。建築基準法施行令第38条は、建築物の基礎を「荷重及び外力を安全に地盤に伝え」、地盤の沈下や変形に対しても安全なものにしなければならないと定めています。この基礎をつくるのが基礎工事です。
木造の住宅なら、地面を掘り、砕石を敷いて締め固め、鉄筋を組み、型枠を立て、そこへ生コンクリートを流し込んで固めます。大工が土台を据えて柱を立てるのは、この基礎ができあがってからです。基礎工事は建物づくりのほぼ最初に来る工程で、ここが遅れたり狂ったりすると、あとに続くすべての職種に影響します。
もう1つの特徴は、完成すると見えなくなることです。基礎の大部分は土と建物に隠れ、住む人が目にするのは地面から出た立上りの一部だけです。だからこそ、隠れる前に確認する仕組みが用意されています。新築住宅の住宅瑕疵担保責任保険では、階数3以下の住宅の場合、原則として「基礎配筋工事の完了時」に現場検査を行うことが、国の認可基準で定められています。さらに住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)は、新築住宅の請負人に、基礎を含む「構造耐力上主要な部分」の欠陥について、引き渡しから10年間の担保責任を負わせています。この責任を負うのは施主から家の工事を請け負った会社(多くは住宅会社や工務店)で、下請として入る基礎工事の会社や職人が直接負う責任とは限りません。それでも、その品質を現場で形にするのは基礎工事です。
建物の位置を出して地面を掘り、砕石を敷いて転圧し、沈まない下地をつくる。
図面どおりの太さと間隔で鉄筋を組み、結束線で締めて骨組みをつくる。
型枠の中に生コンクリートを流し込み、振動機で締め固め、コテで均す。
固まったら型枠を外し、周囲を埋め戻して清掃し、大工工事へ引き継ぐ。
統計の上では「躯体」と「土木」にまたがる仕事
国の職業分類(日本標準職業分類)には「基礎工」という独立した項目はありません。型枠の組立てや鉄筋の組立て、杭打ちは「建設躯体工事従事者」(型枠大工・とび職・鉄筋作業従事者)に、土砂の掘削・根切り・埋戻し・締め固めやコンクリートの打ち込みは「土木従事者」に分類されています。大きな建物の現場ではこれらを別々の職人が受け持ちますが、住宅の基礎工事では、会社によっては1つのチームが掘削から打設まで通して担うこともあり、いわば躯体と土木の両方の技術を少しずつ使う仕事です。この記事で年収や求人倍率を見るときも、この2つの分類を並べて読みます。
この仕事の本質:基礎工事は「数ミリの狂いを、何十年も残さない仕事」です。基礎の位置や高さがずれると、上に載る土台も柱もずれます。派手さはなくても、建物の寿命を最初に決める工程を任される仕事です。
基礎の種類|ベタ基礎・布基礎・杭基礎と、告示で決まっている寸法の目安
住宅でよく使われる基礎は、大きく3つです。
床下の全面を鉄筋コンクリートの底盤で覆い、建物の重さを面で地盤に伝える。
壁や柱の下に沿って連続した基礎を設け、線で支える。底盤は立上りの下だけ。
地盤が弱いとき、杭を打ち込んで、深いところの固い地盤まで重さを伝える。
どれを選ぶかは、地盤の強さで決まります。構造計算をしない場合に使う国の基準(平成12年建設省告示第1347号)は、地盤が長期にわたって支えられる力(長期許容応力度)に応じて、選べる基礎の形を次のように決めています。
| 地盤の長期許容応力度 | 選べる基礎の形式 |
|---|---|
| 20kN/㎡未満 | 杭を用いた構造 |
| 20kN/㎡以上30kN/㎡未満 | 杭を用いた構造、またはベタ基礎 |
| 30kN/㎡以上 | 杭を用いた構造、ベタ基礎、または布基礎 |
同じ告示は、基礎の寸法と鉄筋の最低ラインも定めています。実際の寸法は設計図で決まり、これより大きくなることもありますが、現場で測って確かめる数字の「底」がここにあります。
| 項目 | ベタ基礎 | 布基礎 |
|---|---|---|
| 立上りの高さ(地上部分) | 30cm以上 | 30cm以上 |
| 立上りの厚さ | 12cm以上 | 12cm以上 |
| 底盤の厚さ | 12cm以上 | 15cm以上 |
| 根入れの深さ | 12cm以上 | 24cm以上 |
| 凍上への備え | 凍結深度より深くするなど、地面の凍結で基礎が持ち上がるのを防ぐ措置をとる | |
| 立上りの主筋 | 径12mm以上の異形鉄筋を、立上りの上端と下部の底盤にそれぞれ1本以上 | |
| 立上りの補強筋 | 径9mm以上の鉄筋を30cm以下の間隔で縦に配置 | |
鉄筋を包むコンクリートの厚さも決まっている:建築基準法施行令第79条は、鉄筋を覆うコンクリートの厚さ(かぶり厚さ)を、基礎(布基礎の立上りを除く)では捨てコンクリートの部分を除いて6cm以上、布基礎の立上りや土に接する部分では4cm以上と定めています。鉄筋がさびずに長持ちするかどうかは、この数センチで決まります。配筋のときに鉄筋の下へ「スペーサー」という台を入れるのは、このかぶり厚さを確保するためです。
工程を順番に見る|住宅のベタ基礎ができるまで
ここでは、木造住宅のベタ基礎を例に、着工から引き渡しまでの流れを追います。着工前には地盤調査が行われ、その結果から基礎の形や地盤補強の要否が決まります。補強が必要なら、基礎工事の前に地盤改良の工事が入ります。各工程で新人が主に何をするかも書き添えます。
工程の順番は会社や設計によって前後し、底盤と立上りを一度に打つ会社もあります。大事なのは「いまの作業が次のどの工程のためにあるのか」を理解することです。
工程を通して見えてくる、基礎工事の3つの特徴
1つ目は、天候と時間で段取りが組まれることです。生コンクリートは練り混ぜてから時間とともに固まり始めるため、届いたら決められた時間内に打ち終える必要があります。雨や厳しい寒暑の日は打設の日程を動かします。建築基準法施行令第75条は、打ち込み中と打ち込み後5日間、コンクリートの温度が2度を下回らないよう養生することを求めています。冬に保温シートをかけるのはこのためです。
2つ目は、検査で止まり、検査で守られることです。配筋の検査に通らなければ、コンクリートは打てません。流したあとでは鉄筋を直せないからこそ、検査が自分たちの仕事を守ってくれます。また施行令第76条は、コンクリートが必要な強度になるまで型枠や支柱を外してはならないと定めています。待つことも仕事の一部です。
3つ目は、次の職種へのバトンだということです。施行令第42条は木造の建物の土台を基礎に緊結するよう求めており、木造住宅ではアンカーボルトで土台と基礎の立上りをつなぎます。アンカーボルトの位置や天端の高さがずれていれば、大工は土台を正しく据えられません。
新人は何から任される?1年目の仕事と道具
未経験で入った人が、いきなり墨出しや配筋の判断を任されることはまずありません。マン天に掲載されている株式会社水建の建築基礎工事スタッフの求人でも、「最初は先輩のサポートからスタート」とあり、工程ごとに役割を分けて進めるため、流れを理解しながら少しずつ覚えていけると説明されています。同社の特集インタビューでも、入社直後は先輩に同行しながら道具の準備や軽作業から始まると語られています。
覚えていく順番は会社によって違いますが、おおまかには次のような段階を踏むことが多いでしょう(下の表は一例です)。
| 時期の目安 | 主な仕事 | 身につくこと |
|---|---|---|
| 最初の数か月 | 資材と道具の運搬、片付け、清掃、掘削や打設の補助 | 道具の名前と置き場所、工程の順番、現場の安全ルール |
| 半年前後 | 結束、型枠の組立てと解体、砕石の敷き均しと転圧 | 鉄筋と型枠の扱い、作業の速さと丁寧さの両立 |
| 1年前後 | 配筋の一部、打設時の均し、アンカーボルトの据え付け補助 | 図面と現場の対応、寸法を自分で確かめる習慣 |
| 2年目以降 | 遣り方や墨出し、段取りの一部、後輩への指示 | 工程全体を読んで先回りする力 |
基礎工事で使う主な道具
鉄筋の交点を結束線で締める工具。回し方のコツを覚えると一気に速くなる。
高さを測り、位置と通りを出す。基礎の精度の要。
生コンを振動で隙間なく行き渡らせ、表面を平らに均す。
地盤を締め固め、掘る。重機は資格を取ってから操作する。
1日の流れ|「打設日」と「それ以外の日」
基礎工事の1日は、その日がコンクリートを打つ日かどうかで大きく変わります。勤務時間や現場までの移動時間は会社と現場によって違うので、求人票と面接で確かめてください。一般的な日の流れを一例として示します。
打設日は、生コン車の時間が1日の軸になる
打設日は、生コン車とポンプ車が来る時間に合わせて前日までに段取りを整え、振動機、ホース、均しと役割を分けて一気に仕上げます。道具についたコンクリートが固まる前に洗うまでが打設の仕事です。
残業と雨の日
令和7年賃金構造基本統計調査では、建設躯体工事従事者の月の所定内実労働時間は166時間、超過実労働時間(いわゆる残業)は8時間でした(10人以上の企業の一般労働者の平均)。暗くなれば作業しにくい屋外の仕事で、近隣への配慮から作業時間が決まっている現場もあるため、深夜まで続く働き方にはなりにくい面があります。ただし、工期が迫ると土曜に現場が動くこともあるので、休日の実態は面接で確認しましょう。
雨の日の扱いと収入への影響は、下の「よくある質問」で説明します。
「基礎工事はきつい」の正体|7つの負担と、軽くする条件
「基礎工事はきつい」という声には、根拠があります。どこがきついのかを具体的に分けて見ると、自分に続けられそうか、どんな会社なら負担が軽くなるかが判断しやすくなります。
| きつさ | 主に出る工程 | 軽くする工夫・会社の条件 |
|---|---|---|
| 重い資材 | 鉄筋・型枠の運搬、砕石敷き、型枠の解体 | 重機や運搬機を使う、2人で運ぶルール、資材の置き場を近くに段取りする |
| 低い姿勢 | 結束、墨出し、底盤の均し | 膝当てを使う、姿勢を変えながら作業する、こまめに休憩する |
| 暑さ・寒さ | 1年を通じた屋外作業 | 空調服・冷感インナー・防寒着の支給、休憩場所、暑さ指数(WBGT)に応じた作業調整 |
| 時間との勝負 | 打設日 | 前日までの段取り、十分な人数、役割の事前確認 |
| 精度の重圧 | 遣り方、墨出し、アンカーボルト、天端 | 確認の手順を決める、2人で読み合わせる、検査を味方にする |
| 肌荒れ・ただれ | 打設、道具の洗浄 | 生コンはアルカリ性。長靴・ゴム手袋・保護めがねを着け、肌に付いたらすぐ水で洗う |
| 手や腕への振動 | 振動機での締め固め、転圧 | 続けて使う時間を区切る、交代で使う、手の冷えやしびれを我慢しない |
体の負担は、慣れていない最初の時期にいちばん大きく感じやすいものです。道具の使い方が上達すると、力の入れどころがわかり、疲れ方が変わります。経験を積むにつれて、運搬や片付けの比重が減り、段取りや後輩への指示を受け持つ場面が増えていくのが一般的な流れです(前の節の表を参照)。
夏の暑さは「根性」ではなくルールで対処する時代
厚生労働省のまとめでは、2025年(令和7年)の職場での熱中症による死傷者(死亡と休業4日以上)は1,803人で、統計を取り始めた2005年以降で最多でした。業種別では建設業が292人(うち死亡5人)です。なお、2025年6月1日施行の労働安全衛生規則の改正で第612条の2が新設され、熱中症のおそれのある作業を行う事業者に、症状が出た人や異変に気づいた人が報告する体制を整えること、作業からの離脱や体の冷却などの手順を作業場ごとに決めて周知することが義務づけられました。対象となるのは、暑さ指数(WBGT)28度以上または気温31度以上の場所で、継続して1時間以上か、1日4時間を超えて行われる見込みの作業です。
面接では、「暑い日の休憩はどうしていますか」「体調が悪いとき、誰に言えばいいですか」と聞いてみてください。答えが具体的な会社は、ルールを現場で回している会社です。
ケガを防ぐ仕組みがある会社を選ぶ
令和7年の労働災害による死亡者は全産業で700人、そのうち建設業が214人でした。建設業の死亡災害を事故の型で見ると、墜落・転落が91人と最も多く、はさまれ・巻き込まれが23人、崩壊・倒壊が22人と続きます。基礎工事は高所より地面近くでの作業が中心ですが、掘削した穴の崩れ、重機との接触、資材へのはさまれには注意が必要です。労働安全衛生法施行令では、掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削には作業主任者を選任することが定められており、深い根切りのある現場では、有資格者の指揮のもとで作業します。
- 朝礼で、その日の危険な場所と重機の動きを共有している
- ヘルメット、安全靴、手袋などの保護具と、空調服や防寒着など季節の装備が用意されている
- 休憩場所と飲み物が確保されている
- 重機は資格を持った人だけが操作するルールが守られている
- 「疲れた」「具合が悪い」と言いやすい雰囲気がある
こんな職場は慎重に:「気合いで乗り切れ」が口ぐせで、休憩や装備を新人任せにする現場は要注意です。休憩と装備を仕組みで用意している現場の方が、結果として長く働けます。
働く会社のタイプ|住宅基礎の専門会社から大規模現場の協力会社まで
基礎工事の求人を出している会社は、大きく次のタイプに分かれます。同じ「基礎工事スタッフ」でも、どのタイプかで現場の規模と覚える技術が変わります。
| 会社のタイプ | 主な現場 | 身につく力 | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 住宅基礎の専門会社 | 戸建て住宅の基礎(住宅会社や工務店からの依頼) | 遣り方から脱型までの一通りの流れ、同じ工程を速く正確に繰り返す力 | 1か月に何棟ほど手がけるか、依頼元の数 |
| 鉄筋・型枠の専門会社 | ビル・マンション・工場などの躯体 | 鉄筋または型枠の専門技術、大規模現場の段取り | 担当する範囲、現場への移動距離 |
| 基礎・外構・土木を手がける建設会社 | 住宅の基礎、駐車場や塀の外構、道路や歩道の工事 | 掘削やコンクリートの技術を幅広く、複数の工事に応用する力 | 配属の決まり方、工事の種類ごとの比率 |
| 総合建設会社の現場に入る協力会社 | 大規模な建物の基礎・地中梁 | 分業の中での役割、安全管理の厳しいルール | 元請けとの関係、現場ごとの勤務時間 |
どのタイプにも一長一短があります。専門会社は1つの技術を深められる一方、覚える範囲は限られます。複数の工事を手がける会社は技術を幅広く使える一方、配属や時期によって覚える技術が分かれることがあります。面接では、入社後にどの工事から担当するのかを確かめましょう。建設現場の職種を横に比べたい人は建設現場の仕事の違いをまとめた記事を、外まわりの工事に興味がある人は外構工事の仕事の解説もあわせて読んでみてください。
年収・日当・求人倍率|統計で見る基礎工事
先にお伝えしておくと、基礎工事だけを対象にした公的な賃金統計はありません。ここでは、先に説明した2つの職業分類(建設躯体工事従事者と、土木従事者,鉄道線路工事従事者)の数字を並べます。
| 項目 | 建設躯体工事従事者 | 土木従事者,鉄道線路工事従事者 |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 41.9歳 | 46.7歳 |
| 勤続年数 | 9.6年 | 10.4年 |
| 所定内実労働時間(月) | 166時間 | 164時間 |
| 超過実労働時間(月) | 8時間 | 8時間 |
| きまって支給する現金給与額(月) | 32.02万円 | 32.06万円 |
| うち所定内給与額(月) | 30.27万円 | 29.99万円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 30.27万円 | 50.49万円 |
| 年収の試算 | 約415万円 | 約435万円 |
数値の出典と計算:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種(小分類)別の表(企業規模10人以上、男女計、一般労働者)の値です。年収は「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」で編集部が試算し、万円未満を四捨五入しました。
これらは近い職業分類の平均であり、基礎工事スタッフだけの数値ではありません。目安として読んでください。
同じ調査で、一般労働者全体の所定内給与額は月34.06万円でした。所定内給与だけを比べると、建設躯体工事従事者の平均はこれを下回ります。また、統計には見習いから職長まで、さまざまな段階の人が含まれており、2つの分類の間でも賞与の額に大きな差があります。「基礎工事は稼げる」「稼げない」と一言で決めつけるより、どの会社で、どの役割まで進むかで差がつく仕事だと理解しておきましょう。
日当の物差し「公共工事設計労務単価」
国土交通省などが毎年決める公共工事設計労務単価は、公共工事の費用を見積もるときに使う、職種別・都道府県別の1日(所定内8時間)あたりの金額です。令和8年3月から適用される単価の一部を抜き出すと次のとおりです。
| 職種 | 全国平均 | 愛知県 |
|---|---|---|
| 型わく工 | 31,671円 | 34,400円 |
| 鉄筋工 | 31,267円 | 31,000円 |
| 特殊作業員 | 28,111円 | 29,800円 |
| 普通作業員 | 23,605円 | 25,200円 |
この単価は、基本給に相当する額に加えて手当や賞与、食事の支給なども1日あたりに換算したもので、国土交通省自身が「日給制の労働者が受け取る日当よりも広い概念」と説明しています。そのまま手取りの日当になるわけではありませんが、職種ごとの相場の並びをつかむ物差しにはなります。全国全職種の加重平均は25,834円で、14年連続で引き上げられています。
求人倍率は7倍台。ただし「どこでも好条件」ではない
厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年6月分)によると、パートを含む常用の有効求人倍率は、職業計が1.01倍だったのに対し、建設躯体工事従事者は7.85倍、土木作業従事者は5.97倍でした。建設躯体工事従事者では、有効求人19,335人に対して有効求職者は2,462人です。ハローワークの数字に限られますが、求職者1人に対して7件を超える求人がある計算で、働き手が足りていない状態がはっきり表れています。
ただし、求人が多いことと、どの会社も条件が良いことは別の話です。倍率の高さは「選べる立場にある」という意味だと受け止め、給与形態、給与の幅と上がり方、固定残業代の有無、手当、賞与、住まいの支援を比べてください。給与欄の読み方は求人の給与欄の読み方ガイドで詳しく解説しています。
資格とキャリア|技能講習・技能検定・施工管理へ
基礎工事の仕事に就くのに、必須の資格はありません。ただし、現場への移動や資材の運搬で車を運転するため、普通自動車運転免許を応募条件にする求人があります(後で読む求人の例も、普通自動車運転免許を必須としています)。そのうえで、働きながら次のような資格を順番に取っていくのが一般的な道筋です。
| 資格 | できるようになること | 根拠 |
|---|---|---|
| 車両系建設機械の運転の特別教育(機体重量3トン未満) | 小型のバックホウなどで掘削・積込みをする | 労働安全衛生規則 第36条第9号 |
| 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習 | 機体重量3トン以上の重機を運転する | 労働安全衛生法施行令 第20条第12号 |
| 玉掛け技能講習(1トン未満は特別教育) | クレーンなどで鉄筋や型枠を吊るための掛け外し | 労働安全衛生法施行令 第20条第16号、労働安全衛生規則 第36条第19号 |
| 地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習 | 掘削面の高さ2m以上の掘削などで作業を指揮する | 労働安全衛生法施行令 第6条第9号・第10号 |
| 技能検定(型枠施工・鉄筋施工・コンクリート圧送施工) | 腕前を国家検定で証明し「技能士」を名乗る | 職業能力開発促進法に基づく技能検定 |
| 施工管理技士(建築・土木など) | 工程・品質・安全を管理する立場に進む | 建設業法に基づく技術検定 |
最初に役立つのは、重機の特別教育と玉掛けです。掘削や資材の吊り込みを任される場面が一気に増えます。厚生労働省の技能振興サイトでは、型枠施工職種は「型枠工事を行うのに必要な技能・知識」を、鉄筋施工職種は「鉄筋工事施工の仕事」を対象とした検定だと説明されています。等級を上がるごとに、腕前を公的に示す証明になります。
キャリアの広がり
遣り方から脱型まで一通りをこなし、現場の主力になる。
数人のチームを率い、段取りと品質、安全に責任を持つ。
図面と工程を管理し、複数の現場や職種をまとめる立場へ。
経験と信用を積み、自分の会社で工事を請け負う。
独立について補足すると、建設業法では、工事1件の請負代金が500万円(建築一式工事は1,500万円)未満などの軽微な工事を除き、建設業の許可が必要です。会社員のうちに、施工の技術だけでなく、見積もり、段取り、安全管理まで学んでおくことが近道になります。現場を知ったうえで管理側に進む道は施工管理の仕事の解説で紹介しています。
基礎工事の求人の見方|応募前の7つのチェック
- 現場の種類:住宅の基礎か、大きな建物の躯体か、外構や土木も含むか
- 給与形態:月給制か日給月給制か、雨の日の扱い
- 休日:「週休2日制」か「完全週休2日制」か、土曜の扱い
- 資格支援:費用を誰が負担するか、どの資格が対象か、手当はあるか
- 現場の範囲:どの地域が中心か、移動時間、遠方への出張の有無
- 装備と休憩:作業着や道具の貸与、空調服や防寒着、休憩場所
- 教え方:誰について覚えるか、どんな順番で任されるか
「週休2日制」と「完全週休2日制」は意味が違います。前者は、月に1回以上、週2日の休みがある週があるという意味で、毎週2日休めるとは限りません。休日の書き方の違いは求人の休日・勤務時間の読み方ガイドで整理しています。
実際の求人で読んでみる
マン天に掲載中の株式会社水建(愛知県名古屋市)の建築基礎工事スタッフの求人を、7つのチェックに当てはめてみます。
| チェック項目 | 求人ページの記載 |
|---|---|
| 現場の種類 | 住宅や建物の建築基礎工事。建物の位置・高さの確認、地盤の掘削・砕石敷き・締固め、鉄筋の組立て、型枠の設置とコンクリート打設、仕上げ・最終確認など |
| 給与 | 月給235,000円〜375,000円(経験・能力を考慮して決定、経験者は前職給与を考慮) |
| 休日 | 週休2日制(土・日・祝)、土曜は月2回休み。GW・夏季・年末年始休暇、有給休暇。完全週休2日制を目指して体制づくりを進めていると記載 |
| 資格支援 | 資格取得支援制度(費用は全額会社負担)、資格手当ほか各種手当 |
| 現場の範囲 | 名古屋市内・近郊中心、移動は車で1時間以内がほとんど、転勤なし |
| 勤務時間 | 8:00〜17:00(現場による) |
| 装備と休憩 | 作業着・道具一式貸与(空調服、防寒着、冷感インナー、ヘルメットほか)、シャワールームなどの休憩環境 |
| 住まい | 寮完備(遠方からの応募も歓迎)、住宅補助制度(月3万円) |
| 教え方 | 最初は先輩のサポートからスタート。工程ごとに役割を分けて進める |
| 応募条件 | 学歴・経験は問わない。普通自動車運転免許(AT限定OK)が必須 |
求人ページに記載がなく、面接で確かめたい項目は、雨の日の扱い、残業時間と残業代、賞与・昇給、試用期間です。このように表に置き換えると、ほかの会社の求人とも同じ物差しで比べられます。書いていない項目は、面接で質問すればよいのです。記載の全文は求人ページで確かめられます。
未経験から基礎工事を始める5ステップ
面接では「未経験で入った先輩は、いまどんな作業を任されていますか」と聞いてみてください。答えが具体的な会社は、人を育てた実績がある会社です。研修や育成の仕組みの見分け方は、未経験歓迎の求人で研修制度を見抜く方法も参考になります。
志望動機の例(工場勤務から):前職では部品の寸法検査を担当し、決められた手順どおりに確認する習慣を身につけました。形に残るものを自分の手でつくりたいと考え、建物を支える基礎工事を志望しました。まずは運搬や片付けで現場の流れを覚え、結束や型枠を早く任せてもらえるようになりたいです。将来は重機の資格や技能検定にも挑戦したいと考えています。
向いている人・慎重に考えたい人
| 向いている人 | 慎重に考えたい人 |
|---|---|
| 体を動かす仕事が好きで、屋外の作業に抵抗がない | 空調のきいた屋内での勤務が絶対条件 |
| 寸法や高さを、面倒がらずに何度でも確かめられる | 「だいたい合っていればいい」で済ませがち |
| 同じ工程を繰り返しながら、少しずつ速く正確にしていくのが苦にならない | 毎日まったく違うことをしていたい |
| チームで声をかけ合って、1つの作業を一気に仕上げるのが好き | 報告や確認のやり取りが苦手 |
| 完成後は見えなくなる部分にも手を抜かずにいられる | 目に見える成果だけにやりがいを感じる |
基礎工事は、同じ流れを繰り返しながらも、地盤や敷地、天気で毎回条件が変わる仕事です。決まった手順を一つずつ身につけながら、その日の条件に合わせて段取りを変えていくことが求められます。
長く続けるためのコツ
最初の数か月は、体の疲れと覚えることの多さが同時に来ます。完璧を目指すより「同じ注意を2回受けない」ことを目標にし、わからないことはその場で聞く、作業の前に確認する、道具を元の場所に戻す。この3つを続けるだけで、現場での信頼は積み上がります。
名古屋で建築基礎工事スタッフを募集中
学歴・経験を問わず、未経験から始められる建築基礎工事の正社員求人です。最初は先輩のサポートから入り、工程ごとに少しずつ仕事を覚えていけます。
-

株式会社水建|愛知県名古屋市
豊富な手当や資格支援で生活も将来も安心◎一人にしない建築基礎工事【株式会社水建】
未経験スタート歓迎・学歴・経験不問/寮完備・資格取得費用は全額会社負担
月給235,000円〜375,000円
普通自動車運転免許(AT限定OK)が必須です。
マンガで仕事を見る
2026年9月時点の募集内容です。最新の条件は求人ページでご確認ください。
よくある質問
未経験・無資格でも基礎工事の仕事に就けますか?
就けます。入職時に必須の資格はなく、道具の準備や資材の運搬、掘削や片付けの補助から始めるのが一般的です。重機の運転や玉掛けなどは、働きながら特別教育や技能講習で順番に身につけます。現場への移動のために普通自動車運転免許を応募条件にしている求人があるため、応募前に確認してください。
基礎工事はどのくらいきついですか?
鉄筋や型枠などの重い資材、しゃがんだ姿勢での結束作業、夏と冬の屋外作業、生コンクリートが届いたら途中で止められない打設日の忙しさが主な負担です。一方で、重機や運搬機の活用、空調服などの装備、2025年6月からの熱中症対策の義務化など、負担を減らす仕組みも整ってきています。最初の数か月で体が慣れるかどうかと、無理を言い出せる職場かどうかが分かれ目です。
雨の日は仕事になりますか?
コンクリートの打設は天候を見て日程を動かすため、雨の日は工程が組み替わります。鉄筋や型枠の準備、資材置き場での作業に切り替える会社もあります。日給月給制の場合は、現場が休みになった日の扱いで月の収入が変わるため、給与形態と雨の日の扱いは面接で必ず確認してください。
基礎工事と外構工事・土木工事は何が違いますか?
基礎工事は建物を支える土台を、外構工事は駐車場や塀など建物のまわりを、土木工事は道路や水路など暮らしの基盤をつくります。掘る、締め固める、コンクリートを打つといった技術は共通する部分が多く、基礎・外構・土木をまとめて手がける会社もあります。
年収はどのくらいですか?
基礎工事だけを対象にした公的統計はありません。近い職業分類で見ると、令和7年賃金構造基本統計調査から試算した年収は、建設躯体工事従事者(型枠大工・とび職・鉄筋作業従事者)が約415万円、土木従事者,鉄道線路工事従事者が約435万円です。会社、地域、経験年数、資格で差があるため、求人票の給与と手当で確かめてください。
どんな資格から取ればいいですか?
現場でまず役立つのは、小型のバックホウを運転するための特別教育(機体重量3トン未満)や技能講習(3トン以上)と、クレーンで資材を吊るための玉掛けです。経験を積んだら、型枠施工や鉄筋施工の技能検定、深い掘削を指揮する作業主任者、現場を管理する施工管理技士へと進めます。費用を会社が負担する求人を選ぶと進めやすくなります。
まとめ|見えなくなる場所に、いちばん確かな仕事を残す
この記事の要点
- 基礎工事は、建物の重さを地盤に伝える鉄筋コンクリートの土台をつくる仕事。住宅の基礎工事では、会社によっては1つのチームが掘削から打設までを通して担うこともある。
- 基礎の形は地盤の強さで選ばれ、構造計算をしない場合は、立上りの高さ30cm以上などの寸法が告示で決まっている。
- 新築住宅の瑕疵保険では、原則として配筋の完了時に現場検査がある。新築住宅の基礎の欠陥には引き渡しから10年の担保責任がある。
- 新人は運搬・片付け・補助から始まり、結束、型枠、配筋、墨出しへと段階的に任される。
- きつさの中心は、重い資材、低い姿勢、暑さ寒さ、打設日の時間、精度の重圧。生コンによる肌荒れや振動機の振動にも備える。熱中症対策は2025年6月から事業者の義務。
- 近い職業分類の年収の試算は約415万円と約435万円。会社と役割で差が大きい。
- 建設躯体工事従事者の有効求人倍率は7.85倍(令和8年6月)。選べる立場だからこそ条件を比べる。
- 重機の特別教育と玉掛けから始め、技能検定、作業主任者、施工管理技士へと進める。
基礎工事は、完成した建物の写真には写らない仕事です。けれど、住む人が何十年も安心して暮らせるかどうかは、最初に打たれたこのコンクリートにかかっています。見えなくなる場所だからこそ、手を抜かない人が信頼され、その信頼が次の現場、次の役割へとつながっていきます。
未経験から目指すなら、体力の心配より先に、「確かめることを面倒がらずに続けられるか」を自分に問いかけてみてください。最初の一歩は、求人を並べて「応募前の7つのチェック」で見比べること、特に給与形態、雨の日の扱い、休日、資格支援、現場の範囲を確かめることからで構いません。
建築・土木の求人をまとめて比較する
基礎工事のほか、外構、土木、舗装、施工管理など、建物と街をつくる仕事の求人を並べて見比べられます。仕事内容と育成の仕組みを軸に、自分に合う入口を探してみてください。
建築・土木の求人一覧を見る関連記事
参照元ソース
- e-Gov法令検索「建築基準法施行令」(第38条・第42条・第75条・第76条・第79条)
- 一般社団法人日本住宅基礎鉄筋工業会「木造の建築物の『基礎』に関する建築基準法関連における規定」(平成12年建設省告示第1347号の内容)
- 国土交通省「現場検査のあり方等に関する検討ワーキンググループ 報告書 参考資料」(住宅瑕疵担保責任保険における現場検査の概要)
- e-Gov法令検索「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(第94条)
- e-Gov法令検索「住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令」(第5条)
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「日本標準職業分類 中分類65 建設躯体工事従事者」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「日本標準職業分類 小分類652 とび職」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「日本標準職業分類 小分類681 土木従事者」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」(職種(小分類)、性別の表)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)について」(参考統計表)
- 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」
- 厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」
- 厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」
- 厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和7年5月20日付け基発0520第6号)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」(第6条・第20条)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(第36条・第612条の2)
- 厚生労働省 技能振興ポータルサイト「技のとびら|型枠施工技能士」
- 厚生労働省 技能振興ポータルサイト「技のとびら|鉄筋施工技能士」
- 厚生労働省 技能振興ポータルサイト「技のとびら|コンクリート圧送施工技能士」
- 厚生労働省「技能検定制度について」
- e-Gov法令検索「建設業法」(第3条・第27条)
- e-Gov法令検索「建設業法施行令」(第1条の2)
※賃金は令和7年賃金構造基本統計調査、有効求人倍率は令和8年6月分の一般職業紹介状況、労務単価は令和8年3月から適用の値です。賃金・求人倍率は対応する職業分類に基づく統計で、基礎工事スタッフだけの数値ではありません。求人の内容は変わることがあるため、最新の条件は求人ページでご確認ください。


