地場配送とは?長距離との違い、きついところ、給料、向いている人まで
営業所を朝に出て、夕方には戻ってくる。夜は自宅で眠れる。トラックの仕事の中でも「地場配送」は、生活のリズムを保ちながら働ける仕事として選ばれています。一方で、長距離とは違う種類のきつさもあります。仕事の中身、長距離との違い、きつさと安全のルール、統計で見る給料、必要な免許、求人票の見方までを、公的な資料と掲載中の求人をもとに整理しました。
- 450km改善基準告示で「長距離」
とされる1運行の距離 - 約449万円年収の目安(大型車を除く
営業用トラック運転者・令和7年) - 13時間トラック運転者の
1日の拘束時間の原則 - 過半数陸運業の休業4日以上の
死傷災害のうち荷役作業時
- 対象:運転の仕事を考えている未経験の方
- 日勤・土日休みの求人あり
- 免許の取得制度がある求人あり
先に結論:地場配送は、営業所や倉庫を起点に、その日のうちに戻れる範囲で荷物を運ぶトラックの仕事です。毎日家に帰れて生活のリズムを作りやすい一方、1日に何度も積み降ろしをするため、長距離にくらべて「運転は短く、荷扱いは多い」働き方になります。給料の目安は、令和7年の賃金統計から計算すると、大型車を除く営業用トラック運転者で年収約449万円。車の大きさ、積み降ろしの方法、残業の扱いの3点を求人票で確かめれば、自分に合う地場配送を選べます。
この記事の目次
地場配送とは?「その日のうちに戻れる範囲」を走る仕事
地場配送(じばはいそう)は、トラックの営業所や倉庫を起点に、その日のうちに戻ってこられる範囲で荷物を運ぶ仕事です。「地場」は地元という意味で、運送の現場では近い距離の運行をまとめて「地場」と呼びます。朝に出発して夕方には営業所へ戻り、夜は自宅で過ごす。長距離ドライバーのような車中泊や、何日もかけて走る運行がないことが、いちばんの特徴です。
ただし「地場」は、法律で決められた言葉ではありません。何キロまでを地場と呼ぶかは会社や地域によって違い、県内だけを回る会社もあれば、隣の県まで日帰りで往復する便を地場に含める会社もあります。求人を見るときは「地場」という言葉そのものより、配送エリアと「泊まりの有無」がどう書かれているかを確かめるのが確実です。
法令の中で距離の線が引かれているのは、実は長距離のほうです。トラック運転者の労働時間のルールである「改善基準告示」(厚生労働大臣の告示)は、1回の運行の走行距離が450km以上の貨物運送を「長距離貨物運送」とし、1週間の運行がすべて長距離で、休息を自宅以外でとる場合に限って、休息期間を短くできる特例を設けています。毎日営業所へ帰ってくる地場配送には、この特例は当てはまりません。仕事が終わってから次の出勤までの休息期間は、継続11時間以上を与えるよう努めることが基本で、9時間を下回ってはいけない、という原則がそのまま適用されます。
| 比べる点 | 地場配送 | 長距離輸送 |
|---|---|---|
| 帰宅 | 毎日。夜は自宅で過ごす | 車中泊や宿泊を伴う運行がある |
| 1日の中身 | 走っては止まり、積み降ろしをくり返す | 高速道路などでの長い運転が中心 |
| 主な車 | 会社や仕事による(この記事で紹介する掲載中の求人は小型・中型。大型の地場もある) | 会社や仕事による(大型車やトレーラーでの運行もある) |
| 覚えること | 担当エリアの道、届け先ごとの受け取りの決まり | 長い道のりの経路、休憩場所、運行の組み立て |
| 給料の組み立て | 基本給に残業代や各種の手当が加わる | 長距離の手当などが加わることがある |
| 休息期間のルール | 継続11時間以上が基本、9時間が下限 | 450km以上の運行などの条件を満たせば、週2回まで継続8時間以上に短縮できる特例がある |
給料の組み立ての違いは、実際の求人にも表れています。たとえば後で紹介する株式会社マイシンの求人は、給与の内訳に「長距離手当(長距離区分の方のみ)」と書いています。同じ会社の中でも、長距離の区分で働く人にだけ付く手当がある、ということです。この求人は「近距離のみ」とうたっているので、書かれているとおりに読めば長距離手当は付きません。その代わりに、毎日家に帰れる生活が手に入ります。どちらが得かは、収入と暮らしのどちらを優先したいかで変わります。
ルート配送・宅配とどう違う?4つの軸で見分ける
「地場配送」「ルート配送」「宅配」は、求人でよく並んで使われる言葉ですが、実はそれぞれ見ているところが違います。地場は距離の言葉、ルート配送は行き先の決まり方の言葉、宅配は届け先の言葉です。だから「地場のルート配送」も「地場の宅配」もあり得ます。仕事の中身を想像するには、次の4つの軸に分けて考えると分かりやすくなります。
| 軸 | 主な分かれ方 | 1日の中身への影響 |
|---|---|---|
| 距離 | 地場/中距離/長距離 | 毎日帰れるか、夜の運転や泊まりがあるか |
| 行き先の決まり方 | 固定ルート(毎日ほぼ同じ届け先)/日替わり | 道を覚えるまでの早さ、日による忙しさの差 |
| 届け先 | 工場・倉庫・物流センター/商店・問屋・店舗/個人宅 | 受け取りの時間帯、待ち時間、不在の有無、人と話す量 |
| 積み降ろしの方法 | フォークリフトとパレット/カゴ車・台車/手積み・手降ろし/テールゲートリフター | 体への負担、必要な資格や社内の教育 |
たとえば生協の個人宅配送は「地場×固定ルート×個人宅×カゴ車」、工場と倉庫を結ぶ定期便は「地場×固定ルート×工場・倉庫×フォークリフト」という組み合わせです。同じ地場配送でも、前者はお客様と話す場面が多く、後者は構内での荷扱いの手順が多い、というように1日の中身が大きく変わります。
個人のお宅を決まった順に回る仕事は、ルート配送ドライバーの仕事や生協(コープ)配送の仕事の記事で詳しく扱っています。この記事では、工場や倉庫、商店や問屋など、会社や店舗へ荷物を届ける地場配送を中心に見ていきます。
もう1つの見分け方:運送会社か、自社便か
地場配送の求人は、運送会社のもの(緑色のナンバーの事業用トラック)だけではありません。メーカーや卸売の会社が自社の荷物を自社の車で運ぶ「自社便」(白いナンバーの自家用トラック)のドライバーもいます。国の賃金統計でも「営業用貨物自動車運転者」と「自家用貨物自動車運転者」は分けて集計されていて、残業時間や賞与の傾向が違います(数字は給料の章で紹介します)。
地場配送の1日|「多件数型」と「拠点間型」を比べる
地場配送の1日は、何か所に届けるかで大きく変わります。ここでは、会社や店舗へ届ける地場配送の代表的な2つの型を比べます。型Aはマン天に掲載中の求人に書かれている内容をもとに、型Bは一般的な例として紹介します。
型A:多件数型(商店・問屋・センターを回る)
株式会社マイシン(愛知県豊橋市)の4tトラックドライバーの求人では、豊橋・豊川・蒲郡を中心とした日勤のみの配送で、工業製品・工業用原料のほか、飲料や食品関連も扱うと書かれています。届け先は商店、問屋、物流センター、配送センターなど、法人のお客様が中心です。1日の流れ(繁忙期を除く)は「午前:積み込み後、3~5件ほどの納品」「午後:10件前後の納品」で、配送のスケジュールは事前に決まっているとあります。
この型では、運転そのものより「止めて、降ろして、伝票を確かめて、また走る」のくり返しが仕事の中心になります。1件あたりの滞在は短くても、午後だけで10件前後となれば、停める位置の判断、降ろす順番を考えた積み方、届け先ごとの受け取りの決まりを覚えることが、早く終わるための鍵になります。
型B:拠点間型(工場・倉庫・営業所を結ぶ・一般的な例)
工場や倉庫、営業所どうしを結ぶ配送では、1回に運ぶ量が多くなりやすく、届け先の構内でフォークリフトやパレットを使って積み降ろしをする場面もあります。構内には、入るときの手続き、場内の速度、誘導の合図、待つ場所など独自の決まりがあるので、この型で覚えるのは道よりも「構内の作法」です。ただし、件数や積み降ろしの方法は会社や荷物によって違い、拠点間の配送でも手で積み降ろす仕事はあります。
| 比べる点 | 型A:多件数型 | 型B:拠点間型 |
|---|---|---|
| 届け先 | 商店・問屋・センターなど | 工場・倉庫・営業所など |
| 1日の件数 | 多い(掲載中の求人では午後だけで10件前後) | 少なめで、1回に運ぶ量が多くなりやすい(会社による) |
| 積み降ろし | 件数が多く、手で扱う場面も出やすい | 構内でフォークリフトとパレットを使う場面もある(手積みの仕事もある) |
| 覚えること | 道、停める場所、届け先ごとの受け取りの決まり | 構内の決まり、荷の固定の仕方、待ち時間の過ごし方 |
| 向いている人 | 段取りを組み立てるのが好き、テンポよく動きたい | 決まった手順を正確にこなしたい、機械の操作を覚えたい |
どちらの型でも、点呼と車の点検、積み込み、午前と午後の配送、帰庫して日報と翌日の準備、という骨組みは同じです。違うのは「何回、どんな方法で荷を扱うか」。求人票に件数や届け先が書かれていれば、1日の姿がかなり見えてきます。
反対に、件数や届け先が書かれていない求人もあります。たとえばニッコン株式会社 新みよし営業所(愛知県みよし市)の小型・中型トラックドライバーの求人は、愛知県内を中心とした東海エリアで、自動車部品・一般雑貨・産業機器などを配送すると書いています。「泊まり・深夜の長距離運行なし」「毎日、自宅に帰れる働き方」とあり、勤務時間は7:00~16:00(運行により早出・残業あり)です。一方、届け先の種類、1日の件数、積み降ろしの方法は求人ページに書かれていないので、どちらの型に近いかは面接で確かめましょう。
地場配送がきついと言われる5つの理由と、続けるための対策
「毎日帰れるから楽そう」と思われがちですが、地場配送には長距離とは違う種類のきつさがあります。よく挙がる5つを正直に整理します。
1. 積み降ろしの回数が多い
地場配送のきつさの中心は、運転より荷扱いです。陸上貨物運送事業労働災害防止協会によると、陸運業では休業4日以上の死傷災害の過半数が荷役作業のときに起きています。荷役作業中の災害では、荷台などからの墜落・転落がもっとも多く、次いで動作の反動や無理な動作、カゴ車(ロールボックスパレット)などの荷役用具・設備に関わるものが続きます。陸運業全体の数字ですが、運転中より荷を扱うときの災害が多いことが分かります。積み降ろしの多い地場配送では、特に気をつけたい点です。
対策:荷台から飛び降りない、昇り降りはステップと手すりを使う、重い荷は台車やカゴ車に任せる。基本の動きを最初に身につけることが、体を長持ちさせる近道です。積み降ろしの方法(手積みか、フォークリフトか、カゴ車か)は、求人票と面接で必ず確かめましょう。
2. 市街地の運転と、停める場所
地場配送の道は、高速道路よりも街中の道が中心です。狭い道、住宅地、歩行者や自転車、そして届け先の前での後退。トラックを停める場所を探すことも、慣れるまでは負担になります。
対策:最初の期間に先輩と一緒に回り、停める位置や進入の向きまで教わると、不安は一気に減ります。後方を映すカメラなどの装備も助けになります。マイシンの求人は、ドライブレコーダー、デジタルタコグラフ、バックモニターを全車両に標準装備していると書いています。
3. 時間指定と渋滞
「午前中必着」「○時から○時の間に納品」といった時間の指定があると、渋滞や前の届け先での遅れが、そのまま焦りにつながります。配車(その日の回り方の割り振り)に余裕があるかどうかで、同じ仕事でもきつさが大きく変わります。
対策:面接で「1日の件数」と「営業所へ戻る時刻の実績」を聞きましょう。数字で答えてくれる会社は、仕事の量を管理できている会社です。
4. 荷待ち(届け先での待ち時間)
届け先の都合で、着いてもすぐに荷を降ろせないことがあります。これが「荷待ち」です。荷待ちが長いと、その分だけ帰りが遅くなります。
この問題には、国も手を打っています。国土交通省の説明によると、改正された物流効率化法により、2025年度からすべての荷主と物流事業者に、荷待ち時間と荷役等時間の短縮などに取り組む努力義務が課されました。2026年度からは、一定規模以上の荷主などを「特定事業者」に指定し、中長期的な計画の作成や定期の報告を求める仕組みも始まりました。現場の待ち時間を減らす流れは、制度の面からも進んでいます。
5. 朝の早さと、夏・冬の荷台
届け先の始業に間に合わせるため、出勤が早い会社があります。また、夏の荷台や構内は非常に暑く、冬は手がかじかみます。
夏の暑さについては、2025年(令和7年)6月1日から、熱中症の重症化を防ぐための体制づくりが会社に義務づけられました。暑さ指数(WBGT)28度以上または気温31度以上の場所で、継続して1時間以上か1日4時間を超えて行う作業について、会社は熱中症の症状を報告させる体制と、作業からの離脱や体の冷却などの手順を決め、働く人に知らせなければなりません。厚生労働省の通達では、「暑熱な場所」は特定の作業場だけでなく、移動して複数の場所で作業する場合も含む趣旨だとされています。配送の仕事も無関係ではありません。
会社選びで減らせるきつさ、自分で慣れていくきつさ
5つのうち、積み降ろしの方法、1日の件数、配車の余裕、安全装備は、会社選びでかなり変えられます。一方、市街地の運転や朝の早さは、慣れと生活の工夫で乗り越えていく部分です。「どれなら自分は慣れられるか」を先に考えておくと、会社選びで何を優先すべきかがはっきりします。
荷役の安全ルールは2023年から強化されている
荷役の事故が多いことを受けて、トラックでの積み降ろしの安全ルールは、2023年(令和5年)から強化されています。地場配送でよく使う2トン〜4トンクラスの車に直接関わる内容なので、働く前に知っておくと安心です。
| 決まり(労働安全衛生規則) | 最大積載量2トン未満 | 2トン以上5トン未満 | 5トン以上 |
|---|---|---|---|
| 荷を積み降ろすときの昇降設備の設置 | 望ましい措置 | 2023年10月1日から義務 | 以前から義務 |
| 墜落時保護用の保護帽(ヘルメット)の着用 | 望ましい措置 | 荷台の側面が開く車(平ボディ車・ウイング車など)と、テールゲートリフター付きの車で2023年10月1日から義務(テールゲートリフターを使わずに積み降ろす場合は対象外)。それ以外の車は望ましい措置 | 以前から義務 |
昇降設備には、踏み台のような持ち運べるもののほか、車に付いている昇降用のステップも含まれます。さらに2024年(令和6年)2月1日からは、テールゲートリフター(荷台の後ろで荷を上げ下げする装置)を使って荷を積み降ろす人に、学科4時間・実技2時間の特別教育を行うことが会社に義務づけられました。
もう1つ知っておきたいのが、荷役の事故が起きる場所です。陸上貨物運送事業労働災害防止協会は、荷役作業時の災害は荷主や配送先、元請事業者などの事業場で多く起きているとしています。つまり、自分の会社の目が届きにくい「よその構内」での作業に危険が多い、ということです。そのため国のガイドラインは、運送会社だけでなく荷主や配送先にも、荷役の安全のために取り組むべきことを示しています。
面接で聞いておくと安心なこと
「ヘルメットや昇降用のステップは会社で用意されていますか」「テールゲートリフターの特別教育は、いつ、どこで受けられますか」「届け先の構内で困ったとき、誰に相談すればいいですか」。安全の質問に具体的に答えられる会社は、教育の仕組みがある会社です。
給料はどのくらい?統計と求人から見る地場配送の収入
まず、国の統計で全体の水準を見ます。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)の職種別の集計から、トラック運転者の3つの区分を並べました。年収の目安は、「きまって支給する現金給与額」を12か月分にして、「年間賞与その他特別給与額」を足した概算です。
| 区分(男女計・企業規模10人以上) | 平均年齢 | 所定内実労働時間 | 超過実労働時間 | きまって支給する現金給与額(月) | うち所定内給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 営業用貨物自動車運転者(大型車を除く) | 50.3歳 | 173時間 | 26時間 | 34万1,700円 | 28万7,300円 | 38万5,100円 | 約449万円 |
| 営業用大型貨物自動車運転者 | 51.5歳 | 175時間 | 33時間 | 38万6,900円 | 30万6,300円 | 42万9,600円 | 約507万円 |
| 自家用貨物自動車運転者 | 52.5歳 | 168時間 | 17時間 | 31万8,900円 | 28万2,200円 | 47万5,600円 | 約430万円 |
注意したいのは、この統計が「地場」と「長距離」では分かれていないことです。分かれているのは車の大きさです。この記事で紹介する掲載中の地場配送の求人も小型・中型の車なので、小型・中型に乗る場合は「大型車を除く」の約449万円がひとつの目安です。大型の約507万円との差は約59万円ですが、その一部は残業時間の違い(大型は月33時間、大型を除く区分は月26時間)によるもので、所定内給与額だけを比べると差は月1万9,000円です。
また、「きまって支給する現金給与額」と「所定内給与額」の差(大型車を除く区分で月5万4,400円)は、残業や休日出勤、深夜勤務などに対して払われる「超過労働給与額」です。トラック運転者の月給は、残業の多い少ないで変わる部分がある、と考えておきましょう。自社便の区分(自家用)は、超過実労働時間が月17時間と短く、賞与は3つの区分の中でいちばん高くなっています。
会社の規模で、残業と賞与は大きく違う
同じ「大型車を除く営業用貨物自動車運転者」を、企業の規模別に見ると、はっきりした差があります。
| 企業規模 | 平均年齢 | 超過実労働時間 | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与その他特別給与額 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1,000人以上 | 47.1歳 | 39時間 | 38万4,500円 | 73万9,200円 | 約535万円 |
| 100〜999人 | 51.0歳 | 34時間 | 34万1,600円 | 33万6,200円 | 約444万円 |
| 10〜99人 | 51.5歳 | 17時間 | 32万1,600円 | 24万500円 | 約410万円 |
大きな会社ほど年収の目安は高く、特に賞与の差が目立ちます。ただし、残業の時間も長くなっています。「年収が高い会社」を選ぶときは、その年収が何時間の残業でできているのかを、あわせて確かめることが大切です。反対に、小さな会社は残業が短い傾向があり、生活のリズムを優先したい人には合う場合もあります。
求人の給与欄は「内訳」で読む
実際の求人も見てみましょう。ニッコン株式会社 新みよし営業所の求人は、小型トラックドライバーが月給260,000円~360,000円、中型トラックドライバーが月給280,000円~380,000円で、どちらも「※稼働によって変動あり」と書かれています。福利厚生には「残業手当全額支給」「安全運行手当(21,000円/月)」などが並びます。
株式会社マイシンの4tトラックドライバーの求人は、給与が227,273円~236,065円で、その内訳として基本給・評価手当・固定時間A手当・固定時間B手当・割増手当・勤続手当・車格手当などが挙げられ、「固定残業20時間」と書かれています。年収例は「1.5年目/30代/368万円(賞与込み)」、残業は月平均20時間です。ただし、固定残業代がいくらなのかと、20時間を超えた分の支払いの扱いは求人ページに書かれておらず、「詳細は、面接時にご説明致します。」とあります。
固定残業の書き方がある求人では、何時間分でいくらが含まれているのか、その時間を超えた残業がどう払われるのかを確かめましょう。求人ページに書かれていなければ、面接で聞いて、できれば書面で確かめておくと安心です。給与欄の読み方は求人の給与欄の読み方ガイドで詳しく解説しています。
収入を上げていく4つの道
準中型から中型、大型へ。中型に乗れれば任される仕事が広がり、統計では大型の区分のほうが給与が高い。免許の取得制度がある会社なら費用の負担も軽い。
フォークリフトなどの資格があると任される仕事が広がる。掲載中の求人にも、資格支援や資格取得祝金を用意する会社がある。
安全運行手当や無事故の報奨制度を設ける会社がある。事故のない運転そのものが収入につながる。
経験を積んだ後、配車や運行管理の仕事に進む道もある。ニッコンの求人では資格支援の例に運行管理者が挙がっている。
必要な免許|「2トン車」に普通免許で乗れるとは限らない
地場配送で迷いやすいのが免許です。トラックの呼び方(2トン車、4トン車)は荷物を積める量の目安ですが、運転できるかどうかは車両総重量(車そのものの重さに、積める荷物の重さと乗れる人数分の重さを足したもの)と最大積載量で決まります。
| 免許の種類 | 運転できる車両総重量 | 最大積載量 |
|---|---|---|
| 普通免許 | 3.5トン未満 | 2トン未満 |
| 準中型免許 | 7.5トン未満 | 4.5トン未満 |
| 中型免許 | 11トン未満 | 6.5トン未満 |
| 大型免許 | 11トン以上 | 6.5トン以上 |
各免許の年齢などの受験条件、中型・大型の受験資格の特例(受験資格特例教習)、免許のステップアップの全体像は未経験からトラックドライバーになるにはで解説しています。ここからは、地場配送の求人で特に迷いやすい2点、「普通免許の取得時期」と「求人の車の呼び方」に絞って見ていきます。
警察庁が免許制度の見直しの際に示した資料では、1.5トン積みの貨物車が車両総重量3.5トン弱、2トン積みの貨物車が5トン弱、4トン積みの貨物車が8トン弱の例として紹介されています。つまり、2017年(平成29年)3月12日以降に普通免許を取った人は、1.5トン積みくらいの車までが目安です。2トン積みは準中型免許、4トン積みは中型免許が必要になることが多く、最終的には実際の車両総重量で決まります。
それより前に普通免許を取っていた人は、今も広い範囲を運転できます。取った時期によって、範囲は次の3段階に分かれます。
- 2007年(平成19年)6月1日以前に取った人:今は「8トン限定中型免許」の扱いで、車両総重量8トン未満・最大積載量5トン未満(乗車定員10人以下)の車まで運転できます。
- 2007年6月2日〜2017年(平成29年)3月11日に取った人:「5トン限定準中型免許」の扱いで、車両総重量5トン未満・最大積載量3トン未満の車まで運転できます。
- 2017年3月12日以降に取った人:車両総重量3.5トン未満・最大積載量2トン未満の車までです。
車両総重量と最大積載量のどちらか1つでも上限を超えると運転できません。自分の免許証の種類と条件を確かめたうえで、実際に乗る車の数字(車検証に書かれたもの)は会社に確かめましょう。
求人の「小型・中型」と、免許の「中型」は同じとは限らない
求人に書かれた「小型トラック」「中型トラック」は、車の大きさの呼び方です。必要な免許は、求人の「対象となる方」や「応募資格」の欄で確かめます。たとえばニッコンの中型トラックドライバーの求人は、普通免許で応募できるとしたうえで、取得の時期によっては準中型免許が必要と書いています。マイシンの求人は、応募に必要なのは普通免許(AT可)で、入社1か月で準中型・中型免許やフォークリフトの取得制度を使えるとしています。AT限定の免許で応募する場合は、最初に乗る車がAT車かどうかも確かめておきましょう。なお同じ求人は、募集職種を「4tトラックドライバー」、仕事内容を「2tトラックにて」配送と書いているので、最初にどの車に乗るのかは、免許の取得時期とあわせて面接で確かめると安心です。
会社の費用で免許を取る制度は心強い一方、会社によっては条件が付くことがあります。取得の時期、費用をどこまで会社が持つか、取った後すぐに辞めた場合の扱いを、入社前に書面で確かめておきましょう。フォークリフトの資格についてはフォークリフト免許の記事で解説しています。
日勤・泊まりなしの地場配送の求人を見てみる
マン天には、愛知県内を中心とした東海エリアで、自動車部品・一般雑貨・産業機器などを小型トラックで配送する求人が掲載されています。勤務は7:00~16:00(運行により早出・残業あり)、普通免許で応募でき、月給260,000円~360,000円(稼働によって変動あり)です。
小型トラックドライバーの求人を見る地場配送の求人票で確かめたい8つのポイント
地場配送の求人は、書き方が似ていても中身は大きく違います。応募する前に、次の8点を求人票で確かめ、書かれていないことは面接で聞きましょう。
- 配送エリアと泊まりの有無:「〇〇県内中心」「泊まりなし」「日帰り」など、帰宅できる働き方かがはっきり書かれているか。
- 勤務時間と早出・残業:始業から終業までの時間(拘束時間)はどのくらいか。改善基準告示では、トラック運転者の1日の拘束時間は13時間以内が原則で、延ばす場合も15時間が上限、14時間を超える回数は週2回までが目安とされています。
- 1日の件数と届け先の種類:工場・倉庫か、商店や問屋か、個人宅か。件数が書かれていれば1日の忙しさが見える。
- 積み降ろしの方法:フォークリフト、カゴ車、手積み、テールゲートリフターのどれが中心か。
- 乗る車と必要な免許:最初に乗る車の大きさ、免許の取得制度の有無と条件。
- 給与の内訳:基本給と手当の分け方、固定残業の時間数、賞与の実績、「稼働によって変動」の意味。
- 休日:土日・祝日の休み、年間休日の日数、「会社カレンダーによる」の場合の実際の休み方。
- 安全の装備と教育:ドライブレコーダーや後方を映すカメラ、ヘルメットと昇降ステップ、先輩と一緒に回る期間。
勤務時間と休日の欄の読み方は求人の休日・勤務時間の読み方ガイド、研修の見抜き方は未経験歓迎の求人で失敗しない研修制度の見抜き方が参考になります。
向いている人・慎重に考えたい人
毎日同じ時間に起きて、夜は家で過ごしたい人には、地場配送の日勤は相性がよい働き方です。
積む順番、回る順番、停める場所。考えた工夫がそのまま早さに表れるので、上達を実感しやすい。
座りっぱなしではなく、運転と荷扱いを交互にくり返す仕事。じっとしているより動いていたい人に合う。
荷扱いより運転そのものが好きなら、中距離や長距離の運行のほうが合う可能性がある。
出勤が早い会社もある。始業時刻は求人票で必ず確かめ、遅めの時間帯を選べる会社を探そう。
手積み・手降ろしが多い仕事は負担が大きい。型の名前で決めず、フォークリフトやパレット、テールゲートリフター、カゴ車を使えるかを面接で確かめて選ぼう。
未経験から地場配送ドライバーになる5ステップ
面接で「なぜ長距離ではなく地場なのか」を聞かれたら、「生活のリズムを整えて長く働きたい」など自分の理由を正直に話せば十分です。時間を守った経験、段取りを工夫した経験、体を動かしてきた経験があれば、それも地場配送に直接つながる強みになります。
愛知県で日勤の地場配送ドライバーを募集中
日勤の配送の求人です。乗る車の大きさと必要な免許はカードで、給与の内訳や休日はそれぞれの求人ページで見比べてみてください。
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ニッコン株式会社(新みよし営業所)|愛知県みよし市
日勤のみ×地場配送。大手グループの安定正社員でトラック運転手に挑戦!【ニッコン株式会社|新みよし】
小型トラックで東海エリア配送/泊まり・長距離なし/土日休み※会社カレンダーによる
月給260,000円〜360,000円(稼働によって変動あり)
普通免許が必要
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ニッコン株式会社(新みよし営業所)|愛知県みよし市
地場配送で安定して稼げる★上場グループならではの厚待遇!【ニッコン株式会社|新みよし】
中型トラックで東海エリア配送/泊まり・長距離なし/土日休み※会社カレンダーによる
月給280,000円〜380,000円(稼働によって変動あり)
普通免許が必要(平成29年3月11日以降に取得した方は準中型免許)
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株式会社マイシン|愛知県豊橋市
土日祝休み&近距離のみで働きやすさ抜群♪【株式会社マイシン|4tトラックドライバー 東三河エリア配送】
豊橋・豊川・蒲郡中心の日勤のみの配送/土・日・祝日休み・年間休日119日
227,273円〜236,065円
給与欄に「固定残業20時間」と記載(金額の記載なし)。必須:普通免許(AT可)
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2026年9月時点の募集内容です。最新の条件は求人ページでご確認ください。
よくある質問
未経験でも地場配送のドライバーになれますか?
なれます。マン天に掲載中の地場配送の求人にも、普通免許で応募でき、研修や免許の取得制度を用意している会社があります。最初は道や届け先ごとの手順を覚える期間が必要なので、先輩と一緒に回って教わる期間の長さと、1人で回り始める時期を面接で確かめておくと安心です。
地場配送と長距離、どちらが稼げますか?
公的な統計は、距離ではなく車の大きさで分かれています。令和7年の賃金構造基本統計調査から計算した年収の目安は、大型車を除く営業用トラック運転者で約449万円、大型トラック運転者で約507万円です。地場でも大型に乗れば統計上は給与の高い区分に入り、中型に乗れれば任される仕事が広がります。長距離の区分に手当を設ける会社もある一方で、長距離には泊まりを伴う運行があります。
地場配送はきついですか?
長距離より運転の時間は短い一方で、積み降ろしの回数が多く、市街地の運転や時間指定、夏と冬の荷台での作業にきつさがあります。陸運業では、休業4日以上の死傷災害の過半数が荷役作業のときに起きています。積み降ろしの方法と1日の件数を求人票と面接で確かめ、自分の体に合う型を選ぶことが続けるコツです。
普通免許だけで2トントラックを運転できますか?
免許を取った時期によります。2017年(平成29年)3月12日以降に取った普通免許で運転できるのは車両総重量3.5トン未満までで、警察庁の資料では2トン積みの貨物車は総重量5トン弱の例が示されています。この場合は準中型免許が必要です。2007年6月2日から2017年3月11日の間に取った普通免許なら車両総重量5トン未満・最大積載量3トン未満まで、2007年6月1日以前に取った普通免許なら車両総重量8トン未満・最大積載量5トン未満まで運転できます。実際に乗る車の車両総重量と最大積載量で判断してください。
力に自信がなくても続けられますか?
積み降ろしの方法しだいです。フォークリフトとパレットで荷を扱う配送と、手積み・手降ろしが多い配送では、体への負担が大きく違います。求人票や面接で積み降ろしの方法を確かめ、テールゲートリフター(荷台の昇降装置)やカゴ車を使える職場を選べば、力よりも手順と安全の意識が大切になります。ただし、カゴ車などの荷役用具も荷役災害の原因の1つに挙げられているので、使い方の教育を受けてから扱いましょう。
残業はどのくらいありますか?
令和7年の賃金構造基本統計調査では、大型車を除く営業用トラック運転者の超過実労働時間は月26時間でした。会社の規模による差も大きく、同じ統計で従業員1,000人以上の会社は月39時間、10〜99人の会社は月17時間です。求人票の残業時間の平均、固定残業の時間数、その時間を超えた分の払い方を確かめましょう。
土日休みの地場配送の仕事はありますか?
あります。届け先が工場や会社、商店などの場合、その休みに合わせて土日や祝日が休みになる求人があります。マン天に掲載中の求人でも、土・日(会社カレンダーによる)や、土・日・祝日で年間休日119日と書かれたものがあります。個人宅への配送など土日に配達がある仕事もあるので、休日の欄を必ず確かめましょう。
まとめ|「毎日帰れる」の中身を、求人票で確かめて選ぶ
この記事の要点
- 地場配送は、その日のうちに営業所へ戻れる範囲で荷物を運ぶ仕事。「地場」に法律上の決まった距離はなく、改善基準告示が線を引くのは1運行450km以上の長距離のほう。
- 距離、行き先の決まり方、届け先、積み降ろしの方法の4つの軸で仕事を見分ける。
- きつさの中心は荷扱い。陸運業の休業4日以上の死傷災害の過半数は荷役作業時に起きている。
- 2023年10月から最大積載量2トン以上の車でも昇降設備が義務に。2024年2月からはテールゲートリフターの特別教育も義務に。
- 令和7年の統計から計算した年収の目安は、大型車を除く営業用トラック運転者で約449万円。会社の規模で賞与と残業時間が大きく違う。
- 普通免許で運転できる範囲は取った時期で3段階(8トン未満/5トン未満/3.5トン未満)。2017年3月12日以降に取った人は、2トン積みの多くで準中型免許が必要。
- 求人票では、エリア、勤務時間、件数、積み降ろしの方法、免許、給与の内訳、休日、安全の8点を確かめる。
地場配送のよさは、仕事と暮らしの境目がはっきりしていることです。朝に出て、夕方に帰り、夜は家族や自分のために使える。その毎日を、運転を仕事にしながら続けられます。
ただし同じ「地場配送」でも、午後だけで10件前後を回る仕事もあれば、工場の構内でフォークリフトを使う仕事もあります。まずは気になる求人を3件ほど選び、8つのポイントで見比べてみてください。
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参照元ソース
- 厚生労働省 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト「トラック運転者の改善基準告示」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 主な用語の定義」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査 調査の概要」
- 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます。」
- 陸上貨物運送事業労働災害防止協会「荷役労働災害防止対策」
- 厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和7年5月20日 基発0520第6号)
- 国土交通省「改正物流効率化法 理解促進ポータルサイト」
- 警察庁・総務省消防庁「準中型免許」リーフレット
- 警察庁・都道府県警察「改正道路交通法が施行されます(準中型免許の新設)」
- 警察庁「車両総重量による大きさの比較」
- 石川県警察「準中型免許と運転可能な車種について」
- 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて(令和4年5月13日)」
※統計の数値は、各調査の公表値です。年収の目安は「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」で計算した概算で、実際の収入は地域、会社、乗る車、手当の構成によって変わります。求人の内容は掲載時点のもので、変更されることがあります。最新の条件は各求人ページと面接でご確認ください。


