塗装工は未経験でもなれる?仕事内容・年収497万円・資格とキャリアを徹底解説【2026年版】

塗装工は未経験でもなれる?仕事内容・年収497万円・資格とキャリアを徹底解説【2026年版】

朝、まだ足場に覆われていた家が、夕方には見違えるような色をまとっている——街のあちこちで起きているこの「変身」を手がけているのが、塗装工です。外壁の色も、屋根の艶も、店舗の壁の質感も、その多くは職人の手仕事。塗装は建物を美しくするだけでなく、紫外線や雨風から素材を守り、建物の寿命そのものを延ばす役割を担っています。

そして今、この仕事は「稼げるのに、人が足りていない」仕事であることが、数字の上ではっきりしています。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、建築塗装工の有効求人倍率は5.43倍。求職者1人に対して求人が5件以上ある計算です。それでいて平均年収は497.7万円と、現場職の中でも高い水準にあります※1。「人手不足の仕事=安い仕事」という思い込みを、塗装工のデータは真っ向から裏切ってくるのです。

とはいえ、「職人の世界は厳しそう」「高いところが怖い」「未経験の自分が入っていけるのか」という不安があるのも当然でしょう。この記事では、塗装工の仕事内容(建築塗装と板金塗装の違い)、リアルな1日の流れ、年収の伸び方、よくある不安の検証、塗装技能士という国家資格、そして失敗しない会社選びまでを、公的データと実際の求人例をもとに徹底解説します。良い面だけでなく、大変な面も隠さずに書きました。読み終える頃には、「自分に合う仕事かどうか」を自分の言葉で判断できるはずです。

この記事でわかること
  • 塗装工の仕事内容——建築塗装と板金塗装の違い、3回塗りに込められた技術
  • 有効求人倍率5.43倍・平均年収497.7万円という業界の実態と、その理由
  • 未経験からの年収の伸び方と、職長・独立まで見据えたキャリアの階段
  • 「高所が怖い」「天候で収入が不安定では」など6つの不安への率直な回答
  • 塗装技能士などの資格制度と、女性も含めた年代別の入り方
この記事の目次
  1. 塗装工の仕事とは——「塗る」の中身は、想像より深い
  2. 数字で見る塗装業界——求人倍率5.43倍・平均年収497.7万円
  3. 1日の流れ——外壁塗装現場のリアルな時間割
  4. なぜ「未経験でも大丈夫」と言えるのか——4つの理由
  5. 年収はどのくらい?——収入カーブと実例
  6. とび職・配管工・溶接工との違い
  7. きつい?6つの不安を正直に検証する
  8. 身につくスキルと資格——塗装技能士という国家検定
  9. 未経験からの転職・5つのステップ
  10. 失敗しない会社選び——8つのチェックポイント
  11. 面接で見られるポイントと伝え方
  12. 年代別・性別を問わないアドバイス
  13. よくある質問

塗装工の仕事とは——「塗る」の中身は、想像より深い

塗装工とは、建物や車両などに塗料を塗り、美観と保護機能を与える仕事です。大きく分けると「建築塗装工」と「板金塗装工」の2つのタイプがあります※1。

区分主な対象仕事内容
建築塗装工住宅・マンション・ビル・店舗・学校・病院外壁塗装、屋根塗装、内装塗装、鉄部の防錆塗装
板金塗装工自動車・バイク事故車の板金修理と塗装、傷・へこみの補修、色合わせ
建築塗装工
住宅・マンション・ビル・店舗の外壁塗装、屋根塗装、内装塗装、鉄部の防錆塗装
板金塗装工
自動車・バイクの事故修理と塗装、傷・へこみの補修、色合わせ

この記事では、求人数の多い建築塗装工を中心に解説します。現場の基本的な流れは、足場の設置→高圧洗浄で汚れを落とす→下地処理(ひび割れの補修や旧塗膜の除去)→下塗り→中塗り→上塗り。この工程を、天候を見ながら数日〜数週間かけて進めていきます。

「3回塗る」ことに意味がある——技術の核心は工程管理

下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りには、それぞれ明確な役割があります。下塗りは下地と塗料を密着させる接着剤のような役割。中塗りと上塗りは塗膜に厚みを持たせ、色ムラをなくし、耐久性を高める役割です。そして重要なのは、それぞれの工程で「乾燥時間」を正確に守ること。乾き切らないうちに次を塗れば、数年で剥がれる施工になってしまいます。見た目には同じ「塗る」作業でも、その裏では塗料の性質・気温・湿度を読む判断が常に働いている——これが塗装という仕事の技術の核心です。

なぜ「なくならない仕事」なのか

建物の外壁塗装は、一般的に10〜15年周期でのメンテナンスが目安とされています。つまり、新築が減っても仕事は減らない。すでに建っているすべての建物が、将来の現場になるという構造です。日本中の住宅・ビル・工場は、いずれ必ず塗り替えの時期を迎えます。景気の波に左右されにくく、現場ごとに条件が違う手仕事はロボットにも代替されにくい——長く食べていける技術を身につけたい人にとって、これは大きな安心材料です。

内装塗装・特殊塗装という広がりも

建築塗装の中には、店舗の内装や病院・学校の壁面など、屋内の仕事もあります。天候の影響を受けにくく、デザイン性の高い意匠性塗料を扱う機会もあるため、「屋外の高所は不安だが、塗装の技術は身につけたい」という人は、内装案件の多い会社を選ぶという入り方もできます。板金塗装の側では、車種ごとに微妙に異なる純正色を調色して再現する、緻密さの極みのような仕事が待っています。ひとくちに塗装工といっても、入り口は一つではないのです。

「暮らしの場」での仕事だから、人柄も技術のうち

もうひとつ知っておきたいのは、住宅塗装が「お客様が住んでいる家」での仕事だということです。工事期間中、施主さんは毎日職人と顔を合わせます。朝の挨拶、作業前の説明、ご近所への気配り——こうした振る舞いの積み重ねが会社の評判となり、「あの職人さんにまたお願いしたい」という次の仕事につながっていきます。つまり塗装工は、純粋な技術職であると同時に、人柄がそのまま営業力になる仕事でもあるのです。接客業の出身者が意外なほど活躍できる理由が、ここにあります。

では、この仕事は今どれくらい「求められている」のか。次の章で、数字を正面から見てみましょう。

数字で見る塗装業界——求人倍率5.43倍・平均年収497.7万円

厚生労働省job tagのデータによると、建築塗装工の有効求人倍率は5.43倍(令和6年度・ハローワーク求人統計)。平均年収は497.7万円(令和7年賃金構造基本統計調査)、求人賃金の平均は月額27.9万円、平均年齢は41.6歳、就業者数は全国で232,980人です※1。

区分有効求人倍率平均年収
建築塗装工5.43倍497.7万円
施設警備員(参考)4.03倍379.9万円
全職業平均1.22倍(令和7年)
建築塗装工
有効求人倍率5.43倍・平均年収497.7万円
施設警備員(参考)
有効求人倍率4.03倍・平均年収379.9万円
全職業平均
有効求人倍率1.22倍(令和7年)

この表で注目してほしいのは、求人倍率の高さと年収の高さが両立している点です。同じく人手不足の施設警備員(4.03倍・379.9万円)と比べても、塗装工の平均年収は約120万円高い※1※2。理由はシンプルで、塗装が「誰でもすぐ同じ品質でできる仕事ではない」から。下地の見極め、塗料の扱い、天候の判断——技術の差が仕上がりの差として表れる仕事だからこそ、技術を持つ人の価値が下がりにくいのです。

平均年齢41.6歳という数字にも意味があります。若すぎず、偏りすぎてもいないこの数字は、20代から60代まで幅広い世代が現役で働いている業界であることを示しています。そして時給換算では2,317円(一般労働者・残業代や賞与含む)※1。「体を動かす仕事は買い叩かれる」というイメージとは、まったく違う世界がここにあります。

実際の求人を見てみる——名古屋の塗装会社の例

マン天にも、塗装の求人が掲載されています。たとえば名古屋市港区の株式会社竹内は、住宅からマンション・店舗・病院・学校まで手がける塗装会社で、塗装職人を月給23万円〜40万円以上で募集しています。職長に昇格すれば月給40〜50万円も可能という給与設計に加えて、約3ヶ月の研修と先輩のマンツーマン指導、資格手当・資格取得支援、土日祝休み(年間休日100日)という条件が明示されています※3。「塗装女子」というキーワードを掲げて女性の活躍をマンガで紹介しているのも特徴で、職人の世界のイメージが変わりつつあることを象徴する求人です。

人手不足の構造——だから未経験者に門戸が開いている

塗装業界の人手不足は、一時的なものではありません。熟練職人の高齢化と引退が進む一方、若手の入職が追いついていない。それでいて、外壁の塗り替え需要は新築着工数とは無関係に発生し続けます。住宅の長寿命化が進み「長く住み続ける前提の家」が増えるほど、定期メンテナンスとしての塗装需要はむしろ安定していく——つまり、仕事は減らないのに担い手が減っているのです。各社が未経験者の育成に本腰を入れているのは、この構造への危機感の表れ。業界側の事情が、これから入る人にとっての追い風になっています。

数字の話が続いたので、次は現場の1日を具体的に覗いてみましょう。「職人の朝は早い」は本当なのか、夕方は何時に終わるのか。

1日の流れ——外壁塗装現場のリアルな時間割

1
朝:出社・現場へ移動
会社に集合し、車で現場へ。朝礼でその日の作業範囲と安全確認を行います。8時前後に作業開始という現場が一般的です。
2
午前:養生・下地処理
塗料が付いてはいけない窓・ドア・植木をビニールとテープで覆う「養生」、ひび割れの補修や旧塗膜を削る「ケレン」など、仕上がりを左右する準備作業を丁寧に進めます。
3
昼休憩
現場近くで1時間の休憩。夏場は木陰や車内で体を休め、水分と塩分をしっかり補給します。
4
午後:塗装作業
下塗り・中塗り・上塗りを工程表に沿って進めます。乾燥時間を確認しながら、ローラーと刷毛を使い分けて塗り上げていきます。
5
夕方:片付け・道具の手入れ
17時前後に作業を終え、道具を洗浄して翌日の準備。刷毛やローラーの手入れは職人の基本で、道具の状態が仕上がりに直結します。

意外に思われるかもしれませんが、塗装の現場は日没とともに終わる仕事です。暗くなれば色の確認ができないため、夜遅くまで作業が続くことは構造的に起こりにくい。「現場仕事=長時間労働」というイメージとは違い、夕方以降の時間を自分や家族のために使いやすい働き方です。

現場は「チーム」で動く——一人で抱え込む仕事ではない

戸建て住宅なら2〜3人、マンションの大規模改修なら十数人と、塗装の現場は基本的にチームで動きます。高い場所を得意とする人、細かい仕上げが得意な人、段取りを組むのがうまい人——それぞれの持ち味を組み合わせて1つの建物を仕上げていくため、新人のうちは「わからないことをすぐ隣で聞ける」環境で働けます。ノルマを一人で背負う営業職や、黙々と孤独に進めるタイプの仕事と比べて、「チームで完成させる手応え」を日々感じられるのもこの仕事の持ち味です。

天候と季節がつくる、この仕事のリズム

塗装は天候に大きく左右されます。雨の日は塗料が乗らないため屋外作業は中止。その日は内装案件や道具のメンテナンス、次の現場の段取りに充てられます。ここで重要になるのが給与形態です。完全月給制の会社なら、雨で現場が止まっても収入は変わりません。一方、働いた日数分だけ支払われる「日給月給制」の会社では、雨の多い月は収入が減ることになります。求人票で真っ先に確認すべきポイントです。求人の給与欄の読み解き方は求人の給与欄の読み方完全ガイドで詳しく解説しています。

季節ごとの変化もあります。夏は塗料の乾きが早く工程が進む一方、熱中症対策が必須。冬は乾燥に時間がかかるぶん、工程に余裕を持たせた計画が組まれます。梅雨時は屋外塗装が難しいため、内装工事や研修に力を入れる会社も少なくありません。1年を通して仕事の密度が波打つのも、自然と向き合うこの仕事のリズムです。

なぜ「未経験でも大丈夫」と言えるのか——4つの理由

理由1:マンツーマンで教わる体制が業界の標準になりつつある

塗装は経験がものを言う仕事です。だからこそ、未経験者を採る会社は「教える仕組み」を持っています。前述の株式会社竹内では、約3ヶ月の研修期間と先輩職人のマンツーマン指導を求人ページに明記しています※3。最初に任されるのは養生や道具の準備、ローラーでの下塗りといった基本作業。刷毛の持ち方から一つずつ、隣で見てもらいながら覚えていく設計です。「見て盗め」の時代ではなく、「教えて育てる」が人手不足時代の業界標準になりつつあります。

理由2:道具も作業着も、会社が用意してくれることが多い

刷毛・ローラー・脚立・安全帯といった道具類は、会社が貸与または支給する求人が一般的です。自腹で数十万円の工具を揃えなければ始められない職種と比べて、初期投資ゼロで飛び込めるのは大きな利点です。

理由3:データも示す「体力よりも丁寧さ」の世界

力仕事のイメージがありますが、実際の作業の大半は、ムラなく塗る・境界線をまっすぐ出す・塗ってはいけない場所を確実に守るという「丁寧さの勝負」です。極端な筋力を求められる場面は限られており、平均年齢41.6歳・60代の現役職人も珍しくないというデータが※1、体力一辺倒の仕事ではないことを裏付けています。

理由4:前職の経験は、思っている以上に活きる

  • 製造・工場出身——工程どおりに正確に仕上げる習慣が、下地処理や重ね塗りの品質にそのまま活きます
  • 接客・販売出身——住宅塗装はお客様の生活の場での仕事。挨拶や気配りが信頼と次の仕事につながります
  • 配送・運転職出身——現場への車両移動や資材の積み下ろしで、運転技術と段取り力が武器になります
  • 飲食出身——ピーク帯を回した段取り力と体力は、工程に追われる現場で確実に評価されます

未経験で入れることは分かった。では、収入はどう伸びていくのか。次はお金の話を具体的にします。

年収はどのくらい?——「技術がそのまま値段になる」世界の収入カーブ

建築塗装工の平均年収は497.7万円※1。ただしこれは業界全体の平均値で、実際には経験と技術に応じて段階的に上がっていきます。未経験からの現実的な階段は、おおよそ次のイメージです。

段階年収の目安できるようになること
未経験1年目280万〜330万円養生・下地処理・下塗りなど基本作業の習得
3年目前後350万〜420万円一通りの塗装を任され、仕上げ塗りにも参加
職長・現場責任者480万〜600万円チームの統括、品質管理、顧客対応、見積
独立・親方600万円〜自分で顧客を持ち、案件を請け負う
未経験1年目
280万〜330万円/養生・下地処理・下塗りの習得
3年目前後
350万〜420万円/一通りの塗装を任される
職長・現場責任者
480万〜600万円/チーム統括・品質管理・見積
独立・親方
600万円〜/自分で顧客を持ち案件を請け負う

実在の求人で確かめてみましょう。株式会社竹内(名古屋市)の場合、月給は23万円〜40万円以上で、職長に昇格すると月給40〜50万円も可能と明示されています※3。月給40万円なら、それだけで年収480万円。「未経験スタートでも、階段の上が最初から見えている」のがこの業界の給与設計の特徴です。

月給以外の要素にも目を向けてみましょう。資格手当(塗装技能士などの取得で加算)、現場手当や職務手当、そして会社によっては入社前準備金のような制度を設けているところもあります※3。基本給の額面が同じでも、こうした手当の積み上げで年収は数十万円単位で変わってきます。また、収入が「歩合」に大きく依存する会社と、固定給中心で安定している会社があるのもこの業界の特徴。稼ぎ方のスタイルまで含めて、自分に合う給与設計の会社を選ぶことが大切です。

キャリアの例
26歳飲食店スタッフから転職

体力を活かせて技術が残る仕事を探し、塗装業界へ。研修期間は先輩について養生とケレンを徹底的に覚え、1年後には下塗りを単独で任されるように。「毎日、建物の色が変わっていくのが目に見えるのが楽しい」と、塗装技能士2級の取得を目指して勉強中。

キャリアの例
29歳女性・アパレル販売から転職

「塗装女子」の求人マンガをきっかけに未経験で入社。色彩への関心と細やかな作業が強みになり、内装や仕上げ工程で頭角を現す。丁寧な仕上がりがお客様に評価され、指名されることも。「販売で学んだ挨拶と気遣いが、現場でこんなに役立つとは思わなかった」と話す。

キャリアの例
38歳長距離ドライバーから転職

不規則な生活から抜け出したいと塗装工へ。前職で培った段取り力と体力で、入社2年で現場リーダーに。毎日決まった時間に家に帰れる生活に変わり、家族との夕食が日常になった。「1つの現場を仲間と仕上げる達成感は、長距離運転にはなかった」。

賞与の有無や地域差は会社ごとに異なります。見習いは日給制から始まり、技術がつくにつれて月給制へ移行する会社もあります。月給の額面だけでなく、賞与実績・資格手当・昇給の実例・独立支援の有無まで含めて比較するのが、後悔しない求人の読み方です。

とび職・配管工・溶接工との違い——建設系の手に職、どれが自分向き?

「手に職をつけたい」と考えたとき、塗装工と並んで候補になるのが、とび職・配管工・溶接工といった建設系の技術職です。それぞれの仕事の性格を比べてみましょう。

項目塗装工とび職配管工
仕事の核仕上げの美しさ・色と質感足場・鉄骨など高所の構造物水道・ガス・空調の配管施工
求められる資質丁寧さ・色彩感覚・根気体力・高所への強さ・度胸正確さ・図面理解・空間把握
成果の見え方誰の目にも見える(建物の外観)工事後は解体される(縁の下の力持ち)壁や床の中に隠れる
高所作業あり(足場の上での作業)常にあり(高所が主戦場)現場による
塗装工
仕上げの美しさが核。成果が建物の外観として誰の目にも残る
とび職
足場・鉄骨など高所の構造物が主戦場。体力と度胸の世界
配管工
水道・ガス・空調の配管施工。図面理解と正確さが核

塗装工の際立った特徴は、仕事の成果が「建物の顔」として何年も残り続けることです。とびの組んだ足場は工事が終われば解体され、配管は壁の中に隠れますが、塗装は違います。自分が仕上げた外壁の前を通るたび、「あれは自分の仕事だ」と言える——この分かりやすい達成感は、塗装ならではのものです。

一方で、高所そのものが好きで体力に自信があるならとび職のガイド、図面を読みながらインフラを組み上げる仕事に興味があるなら配管工のガイド、金属を接合する技術を極めたいなら溶接工のガイドも読み比べてみてください。同じ「建設系の手に職」でも、日々の手触りはまったく違います。

きつい?6つの不安を正直に検証する

不安1:高所作業が怖い

外壁塗装では足場の上で作業する場面が確実にあります。ここは正直に認めたうえで言うと、足場の設置基準や墜落制止用器具(安全帯)の着用は法令で厳格に定められており、未経験者がいきなり高所で単独作業をさせられることはありません。低層階や屋内の現場から始めて、少しずつ高さに慣れていくのが一般的な育成の流れです。最初は足場に立つだけで緊張していた人が、数ヶ月後には景色として受け流せるようになる——多くの先輩が通ってきた道です。

不安2:塗料の匂いや化学物質が心配

有機溶剤を含む塗料を扱う場合は、換気や防毒マスクの着用など法令に基づく安全対策が義務付けられており、有機溶剤作業主任者の選任も法律で定められています。近年は臭気や環境負荷の少ない水性塗料の普及が進み、現場の環境は以前と比べて大きく改善しています。保護具の支給や健康診断の体制は会社によって差があるため、応募前に確認しておくと安心です。

不安3:夏の暑さ・冬の寒さがつらいのでは

屋外仕事である以上、夏の暑さと冬の寒さは確実にあります。ここを美化するつもりはありません。ただ、だからこそ現場では休憩と水分補給の管理が徹底されますし、日没で終わる勤務時間や、季節に応じた工程の組み方が、負荷とのバランスを取る仕組みとして機能しています。大変さと待遇をセットで見て、自分にとって割に合うか——それが現場職を選ぶときの正しい天秤です。

不安4:天候で収入が不安定になりそう

日給月給制の会社では、雨の多い月に収入が減るリスクが実際にあります。これを避けたいなら、完全月給制の会社を選ぶこと。同じ「月給25万円」と書かれていても、給与形態によって雨の月の手取りはまったく違います。塗装工の求人選びで最初に見るべきは、金額よりも給与形態と覚えておいてください。

不安5:職人の世界の人間関係が怖い

「怒鳴られながら見て盗む」という古いイメージは、人手不足の現実の前に急速に過去のものになっています。せっかく採用した未経験者に辞められることが、会社にとって最大の損失だからです。研修制度を明文化し、マンツーマン指導を掲げ、女性の活躍を打ち出す※3——そんな会社が増えているのは、業界が「育てる文化」へ舵を切った証拠です。とはいえ会社ごとの差は大きいので、見極め方は後述のチェックリストで解説します。

不安6:AIやロボットに仕事を奪われないか

外壁塗装の自動化技術の研究は進んでいますが、現場ごとに形状・素材・劣化状態が異なる建物を、養生から仕上げまで一貫して機械化するのは容易ではありません。有効求人倍率5.43倍という数字※1が示すのは、機械化よりも人手不足のほうがはるかに深刻だという現実です。むしろ新しい塗料や工法を学び続ける職人の価値は、これからさらに上がっていくと考えるのが自然でしょう。

6つの不安を見てきましたが、共通して言えるのは、不安の大半は「会社選び」で解消できるということです。完全月給制なら天候の不安は消え、研修制度が整った会社なら技術の不安は小さくなり、安全管理を徹底する会社なら高所や溶剤の不安にも備えられる。つまり「塗装工になれるか」を悩むより、「どの会社で始めるか」に考える時間を使うほうが、ずっと建設的なのです。その見極めに役立つのが、次章の資格の知識と、後述の会社選びチェックリストです。

身につくスキルと資格——塗装技能士という国家検定

塗装工のキャリアには、技術を「証明できる形」にする資格制度が整っています。代表的なものを挙げます。

  • 塗装技能士(国家検定・1級/2級)——学科と実技で技能を証明する検定。資格手当の対象になる会社が多く、1級は公共工事や大型案件での信頼にも直結します
  • 有機溶剤作業主任者——有機溶剤を扱う現場で法令上必要となる資格。講習で取得できます
  • 足場の組立て等作業主任者・高所作業車運転技能講習——高所作業に関わる資格。現場の安全管理を担う立場への一歩です
  • 職長・安全衛生責任者教育——現場責任者になるために受講する教育。キャリアアップの通過点です

これらの資格取得を会社が支援するケースは多く、株式会社竹内のように資格手当と資格取得支援制度を求人に明記している会社もあります※3。働きながら、会社のお金で、一生モノの技術証明を積み上げていける——これが塗装工というキャリアの実利です。

「センスがないと無理」ではない——色彩感覚は後から育つ

「美術の心得がないから不安」という人もいますが、心配は要りません。色合わせや塗料選定の感覚は、現場での経験を通じて育っていくスキルです。最初に求められるのは、センスではなく「言われた手順を丁寧に守れること」。感覚の話は、基本が身についた後に自然とついてきます。

学び続ける職人ほど強い——塗料は進化し続けている

塗装の世界は、実は技術革新が続く分野でもあります。遮熱塗料や低汚染塗料、環境負荷の少ない水性塗料など、新しい製品が次々と登場し、施工方法もアップデートされていきます。つまり、一度覚えたら終わりの仕事ではなく、学び続ける職人ほど提案の幅が広がり、選ばれる存在になっていく世界です。「省エネのために遮熱塗料はどうですか」とお客様に提案できる職人と、言われたものを塗るだけの職人——長い目で見たとき、キャリアの伸び方に差がつくのは言うまでもありません。知識への好奇心がある人にとって、塗装は飽きのこない仕事です。

未経験からの転職・5つのステップ

1
希望条件を3つに絞る
例:完全月給制、研修制度あり、通勤30分以内。「何を譲れないか」を先に決めると、求人の海で迷子になりません。
2
求人を表で比較する
給与形態・研修期間・資格支援・年間休日・道具の貸与を一覧化。3社以上並べると、各社の本気度の差が見えてきます。
3
研修制度の中身を見抜く
「未経験歓迎」の一言ではなく、研修期間・指導体制・独り立ちの目安が具体的に書かれているかを確認。見抜き方は研修制度の見抜き方ガイドで詳しく解説しています。
4
面接で現場のリアルを質問する
雨天時の給与の扱い、高所作業の頻度、夏場の暑さ対策、最初の3ヶ月で任される作業——実務的な質問は、真剣さの証明にもなります。
5
入社後は基本作業と資格を積み上げる
養生とケレンを丁寧にやれる新人は必ず評価されます。仕事に慣れたら塗装技能士2級への挑戦を。焦らず、目の前の一手間を大切に。

失敗しない会社選び——8つのチェックポイント

応募前チェックリスト
  1. 給与形態——完全月給制か日給月給か。雨天時の収入への影響を最初に確認
  2. 研修体制——研修期間の長さ、マンツーマン指導の有無、独り立ちの目安
  3. 資格取得支援——受験費用の負担、資格手当の金額
  4. 道具・保護具——刷毛・安全帯・防毒マスク等の貸与か自己負担か
  5. 休日——年間休日数、土日祝の扱い、雨天休業時の扱い
  6. 現場の種類——戸建て中心か、マンション・店舗・公共施設まであるか(経験の幅が変わる)
  7. 昇進・独立の道筋——職長への昇格条件、独立支援の実績
  8. 職場の雰囲気——女性や若手の在籍、社員紹介やマンガ求人で現場の空気が見えるか

特に見落とされがちなのが「現場の種類」です。戸建て住宅ばかりの会社と、マンション・店舗・学校まで手がける会社では、5年後に身についている技術の幅が変わります。株式会社竹内のように住宅から大規模改修・病院・学校まで扱う会社なら※3、多様な現場を経験しながら成長できます。目先の月給だけでなく、「どんな現場で、どんな技術が積めるか」という視点で会社を選んでください。

会社の規模による違いも知っておくと役立ちます。大手の塗装会社や大規模改修を請け負う会社は、教育体系や福利厚生が整っている一方、担当する工程が分業化されやすい傾向があります。地域密着の中小塗装店は、養生から仕上げまで一連の工程を早くから任せてもらえる反面、教育の丁寧さは会社ごとの差が大きい。どちらが良い悪いではなく、「幅広い工程を早く経験したいか」「体系立てて確実に学びたいか」という自分の性格で選ぶのが正解です。面接で「入社1年目の人は今どんな作業をしていますか」と聞けば、その会社の育て方が具体的に見えてきます。

面接で見られるポイントと伝え方

塗装工の面接で見られているのは、実は技術ではありません。未経験者に技術がないのは当然だからです。代わりに見られているのは、丁寧さ(地道な下準備を厭わないか)、健康と体力(屋外・高所の仕事に対応できるか)、そして続ける意志(技術が身につくまで腰を据えられるか)の3点です。

志望動機は飾る必要はありません。「安定しているから」といった紋切り型ではなく、自分の言葉で。「建物が塗り替えで生まれ変わるのを見て、自分の手でやってみたいと思った」「成果が形に残る仕事がしたい」——そんな率直な動機のほうが、現場の人には響きます。前職の経験は「正確さ」「段取り」「お客様対応」のどれかに結びつけて話すと、未経験でも説得力が出ます。面接全般の準備は転職面接の完全攻略ガイドも活用してください。

年代別・性別を問わないアドバイス

塗装工への入り口は、年代や経歴によって「効かせどころ」が変わります。なお、正社員経験のないフリーター・非正規の方にとっても、学歴・経験不問で技術が積み上がるこの仕事は現実的な選択肢です。経歴の空白よりも「地道な作業を続けられるか」を見る世界なので、アルバイトで培った勤怠の安定や体力は、面接で十分な武器になります。

20代

技術の吸収速度がそのまま武器になる年代。複数の現場・複数の塗料を経験し、塗装技能士2級を早めに取得すれば、30代で職長という道が現実的に見えてきます。業界の高齢化が進むほど、若い技術者の希少価値は上がり続けます。

30代

収入と生活の両立を設計する年代。完全月給制・賞与・資格手当という「収入の土台」と、日没で終わる勤務時間という「生活の土台」を両方確認して会社を選びましょう。30代からの職種選び全体は30代未経験転職ガイドも参考になります。

40代以降

丁寧さと責任感が若さに勝る年代。お客様の生活の場で工事をする住宅塗装では、落ち着いた対応力そのものが信頼になります。体力が気になる年代になったら、職長・見積・後輩指導へ軸足を移すキャリアも描けます。

女性の場合

「塗装女子」という言葉が生まれるほど、活躍の場が広がっている分野。細やかな養生や仕上げの丁寧さが強みとして評価され、女性の在籍をマンガで発信する会社も登場しています※3。住宅のお客様には女性職人の存在が安心感につながる場面も多く、力仕事のイメージだけで候補から外すのはもったいない仕事です。

よくある質問

Q1. 塗装工は未経験でも本当になれますか?
A. なれます。数ヶ月の研修と先輩のマンツーマン指導を用意する会社が増えており、道具も会社が貸与するのが一般的です。厚生労働省job tagによると建築塗装工の有効求人倍率は5.43倍で、業界全体が未経験者の育成に力を入れています。
Q2. 建築塗装と板金塗装、どちらを選ぶべきですか?
A. 建物や街並みに関わりたいなら建築塗装、車が好きで緻密な色合わせを極めたいなら板金塗装が向いています。求人数は建築塗装のほうが多い傾向にあります。
Q3. 塗装工の年収はどのくらいですか?
A. 厚生労働省job tagによると建築塗装工の平均年収は497.7万円(令和7年賃金構造基本統計調査)です。未経験1年目は280万〜330万円程度が目安で、職長クラスでは月給40〜50万円を提示する求人もあります(マン天掲載の株式会社竹内の例)。
Q4. 高所作業が怖いのですが大丈夫ですか?
A. 未経験者がいきなり高所で単独作業を任されることはありません。足場や安全帯の使用は法令で定められており、低層階や屋内の現場から段階的に慣れていくのが一般的です。どうしても不安な場合は、内装案件の多い会社を選ぶ方法もあります。
Q5. 塗装技能士の資格は取ったほうがいいですか?
A. 必須ではありませんが、取得すると資格手当がつく会社が多く、任される仕事の幅も広がります。国家検定として技術の証明になるため、長く働くつもりなら2級からの挑戦をおすすめします。受験費用を支援する会社も多くあります。
Q6. 雨の日は仕事も給料もなくなるのですか?
A. 雨天時は屋外塗装ができないため、内装作業や道具整備、翌日の準備などに切り替わります。完全月給制の会社なら収入への影響はありません。日給月給制の会社では雨の月に収入が減る可能性があるため、応募前に給与形態を必ず確認してください。
Q7. 女性でも塗装工になれますか?
A. なれます。「塗装女子」という言葉が使われるほど女性の活躍が広がっており、細やかな仕上げや丁寧な養生が強みとして評価されています。マン天掲載の株式会社竹内のように、女性の活躍を前面に打ち出す会社も登場しています。
Q8. 将来的に独立できますか?
A. できます。塗装業は建設系の中でも独立のハードルが比較的低く、職長として技術・見積・顧客対応を経験してから親方として独立する道筋が確立されています。独立支援の実績がある会社を選ぶと、その道はさらに現実的になります。
この記事のまとめ
  • 塗装工は建物を美しくし、寿命を延ばす技術職。塗り替え需要は新築と無関係に発生し続ける「なくならない仕事」
  • 建築塗装工の有効求人倍率は5.43倍、平均年収は497.7万円。人手不足と高収入が両立する希少な職種
  • 未経験1年目は280万〜330万円が目安。職長で月給40〜50万円、その先には独立の道もある
  • 高所・溶剤・天候の不安は、法令に基づく安全対策と「完全月給制の会社選び」でかなり解消できる
  • 塗装技能士(国家検定)をはじめ、働きながら会社の支援で資格を積み上げられる
  • 「塗装女子」の活躍が広がるなど、性別・年代を問わず入りやすい業界に変わりつつある
  • 会社選びは、給与形態・研修体制・資格支援・現場の種類の4点を軸に比較する

塗装工は、自分の仕事が「建物の顔」として何年も街に残り続ける仕事です。求職者1人に5件以上の求人が待つ今は、選ぶ側に立って会社をじっくり比較できるタイミング。未経験という不安は、研修制度と資格制度が整った今の業界では、思っているよりずっと小さな壁です。

まずは求人を眺めて、「この会社なら技術が積めそうか」「給与形態は安心できるか」を見比べるところから始めてみてください。あなたが最初に塗り上げた建物の前を、胸を張って通れる日は、案外遠くないかもしれません。

まずは塗装・建築系の求人を見比べることから

マン天には、塗装職人をはじめとした建築・土木関連の求人が掲載されています。仕事の雰囲気をマンガで確かめながら、給与形態や研修体制を見比べて、自分に合う会社を探してみてください。

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参考データ・出典
  1. 厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「建築塗装工」(有効求人倍率5.43倍・求人賃金月額27.9万円=令和6年度ハローワーク求人統計、平均年収497.7万円・平均年齢41.6歳=令和7年賃金構造基本統計調査、就業者数232,980人=令和2年国勢調査)
    https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/43
  2. 厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「施設警備員」(比較用データ:有効求人倍率4.03倍・平均年収379.9万円)
    https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/241
  3. マン天「株式会社竹内 塗装職人求人ページ」(月給23万〜40万円以上・職長昇格で月給40〜50万円も可能・約3ヶ月の研修とマンツーマン指導・資格手当/資格取得支援・土日祝休み年間休日100日・2026年7月時点)
    https://manten-comic.com/job_listing/takeuchi/

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