塗装職人になるには?未経験・女性も活躍できる仕事内容・年収・資格を徹底解説【2026年版】

塗装職人になるには?未経験・女性も活躍できる仕事内容・年収・資格を徹底解説【2026年版】

新築の家も、築30年の家も、橋も工場もマンションも——建物は塗装によって雨風や紫外線から守られています。塗装がなければ、外壁は数年でひび割れ、鉄部はさびて朽ちていきます。つまり塗装職人は、「建物の寿命」を左右する仕事。見た目を美しくするだけの仕事ではありません。

そしていま、この仕事への入口は大きく広がっています。住宅リフォーム市場は約6.2兆円規模で推移し、その中でも外装リフォームは約1.3兆円。外壁塗装は築30年までにおよそ2回行われると言われるほど周期的な需要があり、新築が減っても仕事が減りにくい分野です※1。職人の高齢化で担い手が足りず、未経験者を一から育てる会社が増え、女性の塗装職人も年々存在感を増しています

この記事では、塗装職人の具体的な仕事内容から、年収の伸び方、収入に直結する資格、そして「育ててくれる会社」の見分け方までを徹底解説します。「手に職をつけたい」「モノづくりが好き」「細かい作業が得意」——ひとつでも当てはまるなら、読んで損はありません。

この記事でわかること
  • 塗装職人の仕事内容——実は「塗る」以外の工程が勝負を決める
  • 外壁塗装の需要が景気に左右されにくい構造的な理由
  • 未経験スタートからの年収の伸び方と、一人前までの道のり
  • 女性の塗装職人が増えている背景と、現場での強み
  • 塗装技能士など収入に直結する資格と、会社選び7つのチェックポイント

塗装職人とは——「塗る」のは仕事の半分。残り半分が腕の見せどころ

塗装職人と聞くと「ローラーや刷毛でペンキを塗る人」を思い浮かべるかもしれません。しかし実際の現場では、塗る前の工程にこそ職人の技術が詰まっています

まず「下地処理」。外壁のひび割れを補修し、古い塗膜やさびを落とし、表面を整えます。ここで手を抜くと、どんな高級塗料を塗っても数年で剥がれます。次に「養生」。窓やドア、植木など塗らない部分をビニールやテープで覆う作業で、仕上がりの美しさは養生の丁寧さで決まると言われます。そして「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗り。塗料ごとに決められた乾燥時間を守り、ムラなく均一に塗り重ねていきます。

戸建て住宅の外壁・屋根塗装のほか、マンションの大規模修繕、工場や倉庫の鉄骨塗装、店舗の内装塗装まで現場はさまざま。完成した瞬間に「見違えるほどきれいになった」と目に見える成果が出る——これが塗装職人のいちばんのやりがいです。お客様が長年住んだ家が新築のようによみがえり、直接「ありがとう」と言われる。そんな場面が日常的にある仕事です。

数字で見る塗装業界——「築30年までに2回」の周期需要

塗装の仕事の安定性は、数字を見るとよく分かります。

住宅リフォーム市場は約6.2兆円規模。そのうち外壁・屋根などの外装リフォームは約1.3兆円を占めます。外壁塗装は単価が高く、しかも築30年までにおよそ2回行われる周期的な工事のため、需要が安定しているのが特徴です※1。

ここが塗装の強いところです。新築住宅の着工数は減少傾向にありますが、建物が存在する限り、塗り替えの需要は必ず発生し続けます。日本には膨大な数の住宅ストックがあり、その一軒一軒が10〜15年ごとに塗り替え時期を迎える。景気が悪くなっても「家を守るための塗装」は先送りに限度があり、リフォーム市場全体もコロナ禍を挟んで拡大してきました※1。

一方で職人の世界は高齢化が進み、担い手不足が深刻です。全職業の平均有効求人倍率が1.22倍※2という中で、建設技能系の職種は慢性的に人手が足りず、未経験者を一から育てる方針に切り替える会社が増えています。「経験より人柄・やる気」で採用される、またとない時期と言えます。

仕事の工程マップ——現場での役割と身につく技術

塗装の現場は、大きく4つの工程で動いています。未経験者は1から順に覚えていくのが一般的です。

工程主な作業求められる力習得の目安
養生・準備塗らない部分の保護、道具の準備、現場の清掃丁寧さ・段取り力入社〜3ヶ月
下地処理ひび割れ補修、ケレン(さび・旧塗膜落とし)、シーリング根気・観察力3ヶ月〜1年
塗装(下塗り・中塗り・上塗り)ローラー・刷毛・吹付での塗り重ね正確さ・美的感覚1〜3年
現場管理・お客様対応品質チェック、工程管理、色の提案、後輩指導知識・対話力3年〜
養生・準備(入社〜3ヶ月)
塗らない部分の保護・道具準備・清掃/丁寧さと段取り力が身につく最初の関門
下地処理(3ヶ月〜1年)
ひび割れ補修・ケレン・シーリング/仕上がりの寿命を決める、根気と観察力の工程
塗装(1〜3年)
下塗り・中塗り・上塗りの3回塗り/ローラー・刷毛・吹付を使い分ける中核技術
現場管理・お客様対応(3年〜)
品質チェック・色の提案・後輩指導/職人から「任される人」へ

注目してほしいのは、最初の仕事である養生が、実は仕上がりを大きく左右する重要工程だということ。単純な下働きではなく、1日目から品質に関わる仕事を任されている——この実感が持てるのが塗装の面白さです。

女性の塗装職人が増えている——現場で強みになる3つの理由

かつて「職人の世界は男の世界」と言われましたが、塗装は建設系職種の中でも女性の活躍が特に進みやすい仕事です。国土交通省と建設業界団体も「もっと女性が活躍できる建設業」を掲げて行動計画を策定し、2025年には官民共同の実行計画へと取り組みを発展させています※3※4。その流れの中で、女性職人の採用・育成に力を入れる塗装会社が各地に生まれています。

理由1:力任せの作業が少ない

塗装の主役はローラーと刷毛。重量物を運ぶ場面は限られており、体格や腕力の差が仕事の質に直結しません。求められるのは力ではなく、丁寧さと正確さです。

理由2:細やかさと色彩感覚が武器になる

養生の緻密さ、塗りムラへの気配り、そしてお客様への色の提案。外壁の色選びは住む人にとって大きな決断であり、生活者の目線で相談に乗れる職人は重宝されます。実際、「女性の職人さんだと相談しやすい」というお客様の声は多く、指名につながることも珍しくありません

理由3:業界を挙げた環境整備が進んでいる

現場のトイレや更衣スペースの改善、産休・育休制度の整備など、女性が長く働ける環境づくりが業界全体の課題として取り組まれています※3。研修制度を設けて未経験の女性を計画的に育てる会社も増えており、「入ってから困らない」体制が整いつつあります。

年収はどのくらい?——未経験スタートからの伸び方

あくまで一般的な目安ですが、塗装職人のキャリアの階段は次のようなイメージです※5。

段階年収の目安できるようになること
未経験1年目(見習い)280万〜330万円養生・清掃・道具の扱いを覚え、下地処理の補助へ
3年目(職人見習い卒業)330万〜400万円一通りの塗装をこなし、現場を任され始める
5〜10年目(一人前の職人)400万〜480万円塗装技能士を取得し、難しい現場や後輩指導を担当
班長・現場責任者/独立500万円〜複数現場の管理、見積り・提案。独立すればさらに上も
未経験1年目
280万〜330万円/養生・清掃・道具の扱いから
3年目
330万〜400万円/一通りの塗装をこなせるように
5〜10年目
400万〜480万円/塗装技能士を取得し現場の中心に
班長・独立
500万円〜/現場管理・見積り・提案まで。独立の道も

塗装職人の収入の特徴は、「腕」がそのまま単価になることです。丁寧で速い職人は現場から指名され、資格を取れば手当が付き、経験を積めば見積りや色の提案までできる「稼げる職人」になります。そして最終的には独立開業という選択肢もある——自分の腕ひとつで収入の上限を押し上げられるのが、この仕事の魅力です。

1日の流れ——塗装職人のリアルなタイムテーブル

1
7:30 会社集合・現場へ移動
道具と塗料を積み込み、チームで現場へ。移動中に当日の段取りを確認します。
2
8:30〜10:00 朝礼・養生・下地処理
お客様への挨拶と作業内容の説明から。養生の確認と下地処理を進めます。
3
10:00〜12:00 塗装作業(午前)
乾燥時間を計算しながら下塗り・中塗りを進行。10時の休憩を挟んで集中して塗ります。
4
13:00〜16:30 塗装作業(午後)・仕上げ確認
上塗りと細部の仕上げ。塗り残しやムラがないか、チーム全員の目でチェックします。
5
17:00 片付け・帰社・終業
道具を洗浄し、翌日の準備をして終業。現場は日没で終わるため、夜遅くまでの残業は多くありません。

塗装は天候に左右される仕事ですが、裏を返せば雨の日は無理に外作業をしないということでもあります。生活リズムは朝型で規則的。「夜勤なし・日中の仕事で手に職」という条件を探している人には、ちょうどいい働き方です。

きつい?よくある3つの不安を検証

不安1:高いところでの作業が怖い

足場の上での作業はありますが、現在の現場は組み立て式の足場に手すりや落下防止設備が整っており、安全帯(墜落制止用器具)の使用も義務化されています。高所が苦手な人は内装塗装や低層の現場から慣れていくこともでき、「怖いまま無理をさせない」のが今の現場の標準です。

不安2:シンナーの臭いが心配

近年は臭いの少ない水性塗料が住宅塗装の主流になりつつあり、有機溶剤を扱う場合も保護具の着用や換気のルールが徹底されています。資格(有機溶剤作業主任者)を持つ責任者の管理のもとで作業するため、昔のイメージとは大きく変わっています

不安3:夏は暑く、冬は寒いのでは?

屋外作業なので季節の影響は正直あります。ただし空調服(ファン付き作業着)の普及、こまめな休憩の義務化など、暑さ対策はこの10年で劇的に進みました。また塗装は乾燥時間の待ち時間が多い仕事でもあり、一日中体を動かし続ける仕事ではありません。

働きながら取れる資格——「腕の証明」が収入になる

塗装は経験がモノを言う世界ですが、その経験を客観的に証明してくれるのが資格です。

  • 塗装技能士(国家資格・技能検定):塗装職人の中核資格。2級は実務経験2年程度から、1級は7年程度から挑戦でき、資格手当や単価アップに直結します。技能検定は国の制度として実施されており、確かな信頼性があります※6。
  • 有機溶剤作業主任者:溶剤系塗料を扱う現場の管理者資格。講習で取得でき、現場での役割が広がります。
  • 足場の組立て等特別教育:足場作業に必要な教育。入社後早い段階で受講するのが一般的です。
  • 色彩検定・カラーコーディネーター:お客様への色提案で差がつく資格。女性職人の武器としても人気です。
ステップアップの例
25歳アパレル販売から転職

「接客は好きだけど、形に残る仕事がしたい」と塗装の世界へ。研修で道具の扱いと養生を学び、1年目から現場デビュー。3年目に塗装技能士2級に合格し、3年で年収+約70万円。「お客様と色を決める打ち合わせがいちばん楽しい。アパレルで培った提案力が、そのまま活きています」

未経験からの転職・4つのステップ

1
自分の適性を確認する(数日)
細かい作業が好きか、コツコツ続けるのが得意か、体を動かす仕事に抵抗がないか。プラモデル・ネイル・DIYが好きな人は、塗装に向いている可能性が高いです。
2
求人を比較する(1週間)
「未経験歓迎」「研修制度あり」を条件に複数社を比較。研修期間の長さと内容、女性職人の在籍実績は特に重要なチェックポイントです。
3
応募・面接(1〜2週間)
問われるのは経験ではなく「丁寧に仕事をする姿勢」。趣味のモノづくりや、前職で心がけていた細やかさを具体的に話せると強いです。
4
入社・研修期間(〜3ヶ月)
道具の扱い・養生・安全教育から始まり、先輩について現場で実践。3ヶ月ほどで現場の流れが体に入り、1年後には下地処理まで任されるようになります。

失敗しない会社選び——7つのチェックポイント

同じ塗装会社でも、育成方針や働きやすさは大きく異なります。応募前に次の7点を確認してください。

応募前チェックリスト
  1. 研修制度の具体性——「研修あり」だけでなく、期間(例:約3ヶ月)と内容が明示されているか
  2. 女性職人の在籍・活躍実績——実績がある会社は、設備も文化も女性が働きやすい
  3. 資格取得支援の有無——技能士や講習の費用負担、資格手当があるか
  4. 元請け比率——お客様から直接受注する仕事が多い会社は、単価と働き方が安定しやすい
  5. 仕事の内容の幅——戸建て・マンション・店舗など現場の種類が多いほど技術の幅が広がる
  6. 安全対策と道具——空調服の支給、安全教育の頻度など、人を大切にする姿勢が表れる
  7. 日給制か月給制か——雨で現場が止まっても収入が安定する月給制か、保障の仕組みを確認

マン天に掲載されている塗装系の求人にも、約3ヶ月の研修制度を設け、女性の活躍を打ち出している会社があります。「未経験者をどう育てるか」を具体的に語れる会社かどうかが、入社後の伸びを左右する最大の分かれ目です。

年代別アドバイス——20代・30代・40代、それぞれの入り方

20代

「一人前の職人」への最短ルートを走れる年代。20代で塗装技能士2級、30代前半で1級まで進めば、班長・現場責任者として若くして現場を率いる立場になれます。学歴はほぼ問われません。学歴に不安がある人は学歴不問で正社員になれる仕事まとめもどうぞ。

30代

前職の経験が接客・提案の場面で活きる年代。営業や販売の経験者は、お客様対応や色の提案で早くから重宝されます。体力面の不安は不要——塗装は力より丁寧さの仕事です。家族がいるなら月給制と保障制度を軸に会社を選びましょう。

40代

「丁寧さ」がそのまま評価になる年代。塗装は歳を重ねても続けられる技能職で、40代未経験からの採用例もあります。人生経験からくる落ち着いた対応はお客様からの信頼につながりやすく、若手にはない武器になります。

よくある質問

Q1. 本当に未経験でもなれますか?
A. なれます。塗装職人の多くは未経験からのスタートです。養生や道具の扱いから段階的に覚えていく仕事のため、研修制度のある会社を選べば、経験ゼロでも1年で現場の戦力になれます。
Q2. 女性でも本当にやっていけますか?
A. やっていけます。塗装は力任せの作業が少なく、丁寧さと色彩感覚が武器になる仕事です。業界全体で女性が働きやすい環境整備が進んでおり、女性職人の在籍実績がある会社を選べば安心してスタートできます。
Q3. 雨の日は仕事がなくなって収入が減りませんか?
A. 月給制の会社なら天候による収入の変動はありません。日給制の会社もあるため、応募前に給与形態を確認しましょう。雨の日は倉庫作業や研修に充てる会社もあります。
Q4. 塗装の仕事は将来なくなりませんか?
A. 建物が存在する限り塗り替え需要は続きます。外壁塗装は築30年までにおよそ2回行われる周期的な工事で、リフォーム市場の中でも安定した分野です。また細かな下地処理や色の提案は機械化が難しく、職人の価値はむしろ高まっています。
Q5. 独立はできますか?
A. できます。塗装は建設職種の中でも独立しやすい分野で、経験と技能士資格、顧客からの信頼を積めば一人親方や会社設立の道が開けます。まずは元請け仕事の多い会社で見積り・提案まで学ぶのが近道です。
Q6. 入社前に何か勉強しておくべきですか?
A. 特別な準備は不要です。強いて言えば、色彩やDIYへの興味を持っておくと現場で覚えが早くなります。資格は入社後に実務と並行して取るのが最も効率的です。
この記事のまとめ
  • 塗装職人は「建物の寿命」を守る仕事で、完成が目に見えるやりがいがある
  • 外装リフォームは約1.3兆円市場。塗り替えは周期的に発生し、景気に左右されにくい
  • 仕事の勝負は塗る前の下地処理と養生。丁寧さがそのまま品質になる
  • 力任せの作業が少なく、細やかさと色彩感覚が活きるため女性の活躍が進んでいる
  • 未経験1年目は年収300万円前後、技能士を取り経験を積めば500万円超も射程に
  • 塗装技能士・有機溶剤作業主任者など、働きながら取れる資格が収入に直結する
  • 会社選びは研修制度の具体性・女性の在籍実績・月給制かどうかを必ず確認
  • 経験を積めば独立という選択肢もあり、腕ひとつで収入の上限を広げられる
まずは「育ててくれる会社」を見比べることから

マン天には、研修制度や女性の活躍を打ち出した塗装系の求人が掲載されています。未経験歓迎・資格取得支援などの条件を見比べて、自分に合うスタート地点を探してみてください。

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参考データ・出典
  1. リフォーム産業新聞「リフォーム業界の市場規模は?2026年最新動向や将来性を解説」(リフォーム市場約6.2兆円・外装約1.3兆円・塗装は築30年までに2回程度)
    https://www.reform-online.jp/news/reform-shop/20892.php
  2. 日本経済新聞「2025年の有効求人倍率1.22倍、2年連続の低下」(全職業平均の有効求人倍率)
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA292ZI0Z20C26A1000000/
  3. 国土交通省「建設産業における女性の定着促進に向けた取組について」
    https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000088.html
  4. 国土交通省「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」(令和7年3月・官民共同)
    https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_fr2_000001_00067.html
  5. 厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag(塗装関連職種の賃金・就業データ)
    https://shigoto.mhlw.go.jp/User/
  6. 中央職業能力開発協会(技能検定制度・塗装職種)
    https://www.javada.or.jp/

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