求人の年齢制限はどこまで書ける?例外事由6つの条件と、求人票の正しい書き方
「若い人に来てほしい」「定年までじっくり育てたい」。そう考えて求人に年齢を書くと、法律に触れることがあります。求人の年齢は原則として「不問」です。ただし、定年・法令・若手の長期育成など6つの例外事由に当たれば、決められた条件と書き方で年齢制限を付けられます。書ける場合と書けない場合、理由の示し方、年齢を使わない言い換えまで、厚生労働省の資料と条文をもとに整理しました。
- 6つ年齢制限が認められる
例外事由(1号〜3号ニ) - 65歳未満この上限を付けるなら
理由の提示が義務 - 平成19年10月募集・採用での
年齢制限禁止が義務化 - 令和7年3月末氷河期世代限定の
直接募集の暫定措置が終了
- 対象:中小企業の採用担当者・経営者
- 根拠:厚生労働省の資料と法令の条文
- 求人広告・自社サイト・ハローワーク共通
先に結論:求人に年齢制限を書けるのは、法律で決められた6つの例外事由に当たるときだけです。現場系の採用でよく使うのは、定年を上限にする「1号」、法令で18歳未満が就けない業務の下限を書く「2号」、未経験の若手を正社員として長く育てる「3号イ」の3つ。どれも「期間の定めのない雇用か」「職業経験を問わないか」といった条件があり、65歳未満の上限を付けるなら理由を示す義務があります(原則は求人票に書く)。条件を満たさないなら年齢は書かず、仕事の中身と必要な能力を具体的に書く。これが正しい書き方です。
この記事の目次
原則:求人の年齢は「不問」がルール
求人の年齢制限を定めているのは、労働施策総合推進法の第9条です。正式な名前は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」で、以前は雇用対策法と呼ばれていました。第9条は、事業主は労働者の募集と採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない、と定めています。平成19年10月1日の施行で、この年齢制限の禁止が義務になりました。
では、どんな場合なら年齢制限が許されるのか。それを列挙しているのが、同じ法律の施行規則第1条の3第1項です。ここに挙げられた場合を「例外事由」と呼び、1号、2号、3号のイ・ロ・ハ・ニの6つがあります。考え方の順番は「年齢は書いてはいけない。ただし、この6つに当たるときだけ、決められた形で書ける」です。
どの募集にも同じルールがかかる
厚生労働省のパンフレット「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」は、このルールがハローワークの求人だけでなく、民間の職業紹介、求人広告、自社のホームページでの直接募集まで、広く「募集・採用」に適用されると明記しています。
ハローワーク、民間の職業紹介、求人広告のほか、自社のホームページなどで直接募集する場合も含め、広く「募集・採用」に適用される。
正社員に限らず、パート、アルバイトの募集や、派遣元が行う派遣労働者の募集も対象。
書類選考や面接で、年齢を理由に採否を決めることも法の規定に反する。
雇用契約ではない業務委託・請負、社内の有期社員の正社員登用は第9条の対象外とされている。
「年齢不問」と書くだけでは足りない
パンフレットがくり返し強調しているのは、形式的に求人票を年齢不問にすればよいわけではない、という点です。求人票は年齢不問にしておきながら、電話で年齢を聞いて応募を断る、書類選考や面接で年齢を理由に不採用にする、といった行為は法の規定に反します。また、本人の希望と関係なく「一定の年齢以上はパートにする」というように、応募者の年齢で雇用形態や職種を変えることもできません。条件を変えたいなら、雇用形態や職種ごとに求人票を分け、それぞれを年齢不問にするか、例外事由に当たる形にします。
例外事由6つの一覧|どの号で、何が書けるか
6つの例外事由は、それぞれ「上限だけ書ける」「下限だけ書ける」など、付けられる年齢の形が決まっています。ハローワークインターネットサービスの「年齢制限該当事由について」の整理と、厚生労働省のパンフレット(令和7年4月1日時点)をもとに一覧にしました。
| 号 | どんな場合か | 付けられる年齢 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 1号 | 定年の年齢を上限にして募集する | 上限のみ(定年の年齢未満) | 定年の定めがある/期間の定めのない雇用 |
| 2号 | 法令で特定の年齢の人の就業が禁止・制限されている業務 | 下限のみ(例:18歳以上) | 根拠になる法令がある |
| 3号イ | 長期勤続によるキャリア形成のため、若年者等を募集する | 上限のみ(基本は35歳未満) | 期間の定めのない雇用/職業経験不問/新卒者と同等の処遇 |
| 3号ロ | 技能・ノウハウの継承のため、特定の職種で少ない年齢層を募集する | 上限と下限(30〜49歳のうち5〜10歳の幅) | 期間の定めのない雇用/その年齢層が上下の層の半分以下 |
| 3号ハ | 芸術・芸能の分野で表現の真実性などが求められる | 上限・下限とも可 | 役者やモデルなど |
| 3号ニ | 60歳以上の高年齢者、または国の施策の対象年齢に限って募集する | 60歳以上の下限、または施策の対象年齢 | 60歳以上なら上限は付けない/国の施策を実際に活用する |
建設、運輸、製造といった現場系の採用で検討することが多いのは、1号、2号、3号イです。3号ロは人数の要件を数字で満たす必要があり、3号ハはほぼ芸能の分野に限られます。
「体力が要る」「若い社員が多い」「お客様の年齢層に合わせたい」は、どれも例外事由に含まれていません。当たらなければ年齢は書かず、当たるなら号ごとの条件を満たしているかを確かめます。
1号:定年を上限にする募集
定年の定めがある会社が、期間の定めのない労働契約(いわゆる無期雇用)で募集する場合に、定年の年齢を上限として年齢制限を付けられるのが1号です。なお、高年齢者雇用安定法第8条により、定年を定める場合は原則として60歳を下回ることはできません。
ハローワークの「求人申込書の書き方」の記入例でも、年齢制限の範囲を「59歳以下」とし、理由の欄に「定年が60歳のため」と書く形が示されています。Q&Aは、定年制の対象になる社員を募集する場合は求人票に定年の年齢を記載する必要があり、定年が65歳未満なら、高年齢者雇用安定法第20条第1項に基づき定年による年齢制限であることを示す必要があるとしています。
年齢:59歳以下(定年が60歳のため。例外事由1号)
雇用形態:正社員(期間の定めなし)
1号で認められない書き方
- 有期契約で募集する:「60歳未満(契約期間1年・更新あり)」は認められません。更新を続ける見込みでも、個々の契約は期間の定めのある契約だからです。
- 定年と上限がずれている:定年が63歳なのに「60歳未満」とするのは不可。上限にできるのは定年の年齢だけです。
- 下限を付ける:「40歳以上60歳未満(定年60歳)」は不可。1号で付けられるのは上限だけです。
- 習熟期間を差し引く:「業務の習熟に2年かかるので58歳以下(定年60歳)」は不可。十分な経験を持つ人の応募も考えられ、習熟に時間がかかるならその旨を求人に書けばよい、とQ&Aは説明しています。
- 継続雇用の上限を使う:定年後の継続雇用制度の最高年齢を上限にすることはできません。継続雇用は定年には当たらないためです。
- 有期社員の雇止め年齢を使う:就業規則で有期社員の雇止めを60歳と定めていても、有期社員の募集を60歳未満に限ると第9条違反になります。
2号:法令で年齢が決まっている業務
労働基準法などの法令で、特定の年齢の人の就業が禁止・制限されている業務については、その法令に沿った年齢制限を付けられます。これが2号です。ハローワークの整理では、2号で付けられるのは下限だけです。
| 法令 | 決められていること | 求人での書き方の例 |
|---|---|---|
| 労働基準法第62条 | 満18歳未満の人を、動力によるクレーンの運転など危険な業務や、厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない | 18歳以上(労働基準法第62条の危険有害業務のため) |
| 労働基準法第61条 | 満18歳未満の人を午後10時から午前5時までの間に使用してはならない(交替制の16歳以上の男性などの例外あり) | 午後10時〜午前5時の勤務は深夜業のため18歳以上 |
| 警備業法第14条 | 18歳未満の人は警備員となってはならない | 18歳以上(警備業法第14条により18歳未満は警備員になれないため) |
深夜業について、厚生労働省のQ&Aは下限年齢を記載する必要があるとし、「午前1時〜4時までは深夜業のため18歳以上」のように、深夜の時間帯とその時間帯で許される下限年齢を並べて書くことが望ましいとしています。日勤と夜勤が混ざる求人では、どの勤務が深夜業に当たるのかをはっきり書くと、日勤なら働ける人を締め出さずにすみます。なお、労働基準法第56条の最低年齢(満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終わるまで)は、求人に記載する必要はないとされています。
2号でよくある勘違い
- 「高卒以上」だから「18歳以上」と書く:学歴の条件は年齢制限に当たらないので「高校卒業以上」は書けますが、それを理由に「18歳以上」と書くことはできません。
- 免許の条件とは別に年齢も書く:職務に必要な資格を応募条件にすることはでき、受験資格に年齢の条件がある資格を条件にしても法違反にはなりません。ただし、資格とは別に年齢制限を書くのは適切ではないとされています。運転免許が必要なドライバー求人なら、必要な免許の種類を書けば足ります。
- 2号を理由に上限を付ける:2号で付けられるのは下限だけです。上限を付けたいなら、1号や3号イなど別の事由の条件を満たす必要があります。
3号イ:未経験の若手を正社員として長く育てる募集
3号イは、新卒一括採用で入った社員を長く雇い、社内で育てていくという日本の雇用慣行との調和を図るために設けられた例外事由です。パンフレットは、就職が厳しい時期に正社員になれなかった年長フリーターなど、若者をめぐる雇用問題への配慮も理由に挙げています。現場系の会社が「未経験の若手を一から育てたい」と考えるとき、正面から使えるのがこの3号イです。
3つの条件はすべて必要
「正社員」という呼び名は問わないが、無期雇用であること。有期契約で更新を重ねる予定でも当たらない。
募集する職種の経験だけでなく、職業に就いた経験そのものを条件にしない。経験者の応募・採用は差し支えない。
昇給やキャリアの道筋など、採用後の扱いが新卒者と同等であること。初任給が多少違うのは差し支えない。
下限は付けられない。2号など別の事由にも当たる場合に限り、その事由で下限を書ける。
上限は何歳まで書けるか
Q&Aは、3号イは基本的に35歳未満の若年者を想定したものだとしつつ、長期勤続によるキャリア形成の観点での募集で、経験不問かつ新卒者と同等の条件であれば「40歳未満」という求人も認められる場合があり得る、としています。パンフレットは、定年を定めている場合に勤続できる期間が極端に短くなる上限は認められないとして、おおむね45歳未満を目安にするよう示しています。
反対に、「25歳未満」「30歳未満」のように上限が低い求人については、青少年の雇用の促進等に関する法律第7条に基づく指針を踏まえ、若者が広く応募できるよう努めることが求められています。
3号イで書けること・書けないこと
| 求人の書き方 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 35歳未満(高卒以上・職務経験不問) | 書ける | パンフレットで認められる例として示されている |
| 45歳未満(要普通自動車免許) | 書ける | 実務経験が要らない免許なら条件にできる |
| パソコンの基本操作ができる方 | 書ける | 職業に就いたことがなくても身につく技能 |
| 18歳以上35歳未満 | 書けない | 3号イでは下限を付けられない(他の事由に当たる場合を除く) |
| おおむね40歳未満(1級建築士保持者) | 書けない | 実務経験がないと取れない資格は条件にできない |
| 35歳未満・経験者優遇/経験があれば尚可 | 書けない | 経験の有無を条件に加えることになる |
| 30歳未満(契約期間1年・更新あり) | 書けない | 有期契約は期間の定めのない雇用に当たらない |
経験者も未経験の若手も採りたいとき:Q&Aは、「年齢不問、営業経験のある方(35歳未満は経験不問)」のように、年齢不問で経験を求める求人と3号イの求人を組み合わせて書くことを認めています。一方で「年齢不問、要経験。ただし○歳未満は未経験でも可」「年齢不問。○歳以上は経験者のみ」のような書き方は、年齢不問を付けていても不適切とされています。3号イは職業経験不問が条件なので、若手の側は「○歳以下は経験不問」と3号イの形で書き、それを年齢不問・要経験の求人と組み合わせる形にします。
ただし、わかりやすさの点では求人を2本に分けるのが適当ともしています。職人の募集なら「経験者(年齢不問)」と「未経験者(34歳以下・職業経験不問・新卒と同等の育成)」の2本立てにすると、求職者が迷いません。
3号ロ:技能・ノウハウの継承のための募集
3号ロは、特定の職種で、ある年齢層の社員が極端に少なく、技能の引き継ぎに支障が出るおそれがある場合の例外事由です。条件が数字で決められているのが特徴で、次のすべてを満たす必要があります。
- 募集する年齢層は、30〜49歳の範囲の中で、5〜10歳の幅
- その年齢層の人数が、同じ幅の上と下の年齢層と比べて、どちらに対しても2分の1以下(0人の場合を含む)
- 職種は、厚生労働省または総務省の職業分類の小分類などを参考に特定する(「営業職」のような大くくりは不可)
- 期間の定めのない雇用での募集
- 人数は会社単位で数えるのが原則。採用を独立して行う事業所(雇用保険の適用事業所など)の単位で数えることも認められる
- 正社員と有期のパート等が同じ職種にいる場合、有期の社員は人数に数えない
人数の数え方(厚生労働省パンフレットの例)
| 電気通信技術者の人数 | 20〜29歳 | 30〜39歳 | 40〜49歳 | 30〜39歳の募集 |
|---|---|---|---|---|
| 例1 | 10人 | 2人 | 8人 | 認められる |
| 例2 | 30人 | 15人 | 25人 | 認められない |
例1では、30代の2人は、20代の10人の半分以下で、40代の8人の半分以下でもあります。例2では、30代の15人は20代の30人の半分以下ですが、40代の25人の半分を超えているため要件を満たしません。上下の両方と比べる点を押さえておきましょう。
Q&Aによると、証明書類を窓口で毎回示す必要まではありませんが、要件を満たしている旨を求人に明示する必要があり、疑わしい場合は資料の提出や説明を求められることがあります。職種別・年齢層別の人数表を、求人を出した時点で残しておきましょう。
年齢:30〜39歳(当社の電気通信技術者は30代が20代・40代の半分以下のため、技能継承を目的に募集。期間の定めなし。例外事由3号ロ)
3号ハ・ニ:芸能分野と、60歳以上・国の施策
3号ハ:芸術・芸能の分野
俳優や演劇の役者、芸術作品のモデルなど、表現の真実性が求められる場合に限って、特定の年齢層に絞った募集が認められます。若者向けの洋服の販売員やイベントコンパニオンのように、「お客様の年齢層に合わせたい」という理由は、この事由に当たりません。
3号ニ:60歳以上に限る募集
60歳以上の高年齢者に限って募集することは認められます。Q&Aは、「65歳以上を募集」のように下限を60歳より上げることも認められるとしています。ただし、「60歳以上70歳以下」のように上限を付けることはできません。より高齢で再就職がいっそう難しい人の応募の機会を奪い、高年齢者の雇用を促すという趣旨に合わなくなるためです。
3号ニ:国の施策の対象年齢に合わせる募集
特定の年齢層の雇用を促す国の施策を活用しようとする場合に限り、その施策の対象年齢に合わせて募集できます。Q&Aの別添(令和7年4月1日現在)に対象となる施策が一覧になっていて、たとえば次のようなものがあります。
| 施策の名前 | 施策の対象となる年齢層(Q&A別添より) |
|---|---|
| 特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース) | 雇入日時点で35歳以上60歳未満の求職者で、過去5年間・過去1年間の正規雇用の期間などの要件を満たす人 |
| 人材開発支援助成金(人材育成支援コース(認定実習併用職業訓練)) | 15歳以上45歳未満 |
| トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース) | 35歳未満(一般トライアルコース等の対象者であって、主として建設工事現場で現場作業に従事する人または施工管理を行う人に限る。試行雇用=有期) |
| ユースエール認定制度 | 35歳未満(この範囲内で企業の実情に応じて設定) |
注意点は2つあります。1つは、その施策を実際に活用しようとする場合に限られること。もう1つは、募集する年齢層が施策の対象年齢とずれてはいけないことです。パンフレットは、人材開発支援助成金の対象者として「15歳以上35歳未満」を募集するのは認められない例として挙げています。なお、3号ニは3号イと違って期間の定めのない雇用を条件にしておらず、Q&Aの別添でも、トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)は労働契約の期間の定めが「有」とされています。助成金にはそれぞれ別の支給要件もあるので、使う前に都道府県労働局やハローワークで確認してください。
「就職氷河期世代限定」の直接募集は終わっています:求人広告、民間の職業紹介、自社サイトなどで「就職氷河期世代の方限定」と直接募集できたのは、施行規則附則第10条の暫定措置によるもので、令和7年3月31日までとされていました。Q&Aは、令和7年4月1日以降はこの措置が失効したため、こうした限定求人や「就職氷河期世代で正社員雇用の機会に恵まれなかった方歓迎」といった歓迎求人を、これらの方法で直接募集することは認められないとしています。ハローワークインターネットサービスの「年齢制限該当事由について」には「就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)」という旧来の表記が残っていますが、判断は令和7年4月1日現在のQ&A(Q7-4)に従ってください。以前の原稿を使い回している場合は、見直しが必要です。
なお、Q&Aの別添には、ハローワークの中高年層(ミドルシニア)向けの窓口を活用する施策が挙げられています(無期雇用で職業経験を条件にしない場合に限り、おおむね35歳以上60歳未満で正社員雇用の機会に恵まれなかった方が対象)。使えるかはハローワークに相談してください。
年齢制限の理由の書き方|高年齢者雇用安定法第20条
例外事由に当たる年齢制限でも、書き方には義務があります。高年齢者雇用安定法第20条第1項は、事業主がやむを得ない理由で一定の年齢(65歳以下のものに限る)を下回ることを募集の条件にするときは、求職者に対してその理由を示さなければならない、と定めています。厚生労働省の資料では「65歳未満の上限年齢を付ける場合」と説明されています。号を問わず、65歳未満の上限(「64歳以下」「65歳未満」など、65歳の人が応募できなくなる上限)を付けるときはこの義務がかかります。1号の定年、3号イの若手育成、3号ロの技能継承のほか、3号ハの子役の「○歳以下」や3号ニの施策の対象年齢の上限も含まれます。
示し方は、同法の施行規則第6条の6で決まっています。募集・採用に使う書面や電子データ(ハローワークや職業紹介会社に出す求人申込書を含む)に、年齢制限と一緒に理由を書くのが原則です。新聞や雑誌などの求人広告で、あらかじめ理由を載せることが難しい場合は、求職者の求めに応じて遅滞なく、書面または電子データで理由を示すことも認められています。
2号の下限や3号ニの60歳以上など、上限以外の年齢制限にこの義務はかかりませんが、Q&Aは適法であることを明確にするため、同じように理由を示すことが望ましいとしています。
ハローワークの求人申込書では
ハローワークの求人申込書では、年齢の欄で「制限あり」を選ぶと、「年齢制限範囲」「年齢制限該当事由」「年齢制限の理由」の3つを書くことになります。該当事由は選択式で、1つだけ選びます。複数の事由に当たる場合の優先順位も決まっていて、3号のイ〜ニを1号・2号より優先し、3号の中ではハよりニ、ニよりイまたはロを優先します。なお、年齢は求職者が求人を検索したときに一覧に表示される項目の1つで、「求人申込書の書き方」では特に注目される情報とされています。
| 号 | 年齢制限範囲の例 | 理由の書き方の例 |
|---|---|---|
| 1号 | 59歳以下 | 定年が60歳のため(期間の定めのない雇用) |
| 2号 | 18歳以上 | 警備業法第14条により18歳未満は警備員になれないため |
| 3号イ | 34歳以下 | 長期勤続によるキャリア形成を図るため。職業経験不問、新卒者と同等の研修・昇給の仕組みで育成 |
| 3号ロ | 30〜39歳 | 当社の【職種名】は30代が20代・40代の半分以下のため、技能継承を目的に募集 |
| 3号ニ | 60歳以上 | 高年齢者の雇用の促進のため |
理由は、号の名前を書き写すだけでなく、自社の事情として読める文にしておくと、求職者にも、求人を受け付ける側にも伝わります。3号イなら「入社後は新卒と同じ研修と昇給の仕組みで育てる」こと、3号ロなら「どの職種の、どの年齢層が少ないか」まで書いておくのが目安です。
書ける表現・書けない表現|求人原稿の境目
例外事由に当たらない求人でも、職場の雰囲気を伝えたい、この世代に来てほしい、という気持ちはあるでしょう。厚生労働省のQ&Aは、求人原稿によく出てくる表現について判断を示しています。主なものをまとめました。
| 表現 | 判断 | Q&Aなどの説明 |
|---|---|---|
| 「スタッフ全員が20代」「20代が主役の会社」など職場の事実 | 注意して可 | 事実の表示は直接には年齢制限に当たらない。ただし「20代でなければならない」「20代を優先」と誤解させないよう努める |
| 「20代から60代まで幅広い年齢層が活躍」 | 書ける | ハローワークの求人申込書の記入例にある書き方 |
| 「学生歓迎」 | 書ける | 年齢制限に当たらない |
| 「35歳未満の方歓迎」「40歳以上歓迎マーク」 | 適当でない | 他の年齢層より優遇する趣旨で、実質的に年齢制限と同じ。3号イなどの例外事由に当たる場合を除く |
| 「60歳以上の方歓迎」 | 書ける | 3号ニに合致するため違法とはならない |
| 「○歳位」「○歳前後」 | 適当でない | 例外事由は必要最小限のもの。誤解のないよう表現を明確にする |
| 「平成○年4月2日以降に生まれた方」 | 原則違法 | 実質的に年齢制限を定めているのと同じ |
| 「高校卒業以上」 | 書ける | 学歴の制限は年齢制限ではない。ただし「18歳以上」とは書けない |
| 「来年3月卒業予定の方」「卒業後3年以内の方」 | 書ける | 年齢制限には当たらない。新卒者以外の若者にも門戸を開く努力を |
| 「○○業務の経験○年以上」 | 注意して可 | 年齢不問の求人なら可。合理的な理由なく非常に長い年数は事実上の年齢制限とみなされ、適当でない |
| 求人メディアの「若手募集」特集に掲載 | 注意して可 | 個々の広告が年齢不問か例外事由に当たっていればよい。メディア全体が年齢制限をしていると誤解させるものは適当でない |
判断の分かれ目は1つです。職場の年齢構成などの事実を伝えるのはよく、特定の年齢を優先すると読める書き方は避ける。求人原稿の組み立て全体は「なぜあなたの求人はスルーされるのか?応募が集まる求人原稿の書き方」で解説していますが、年代を意識した言葉を使うときも、職場の事実の紹介にとどめるのが境目です。
迷ったときの見分け方:「その一文を読んだ別の年代の人が、応募をためらうか」を考えてみてください。ためらわせるなら、書き方を変えるか、例外事由に当たる求人として条件と理由をそろえて出すかのどちらかです。
年齢の代わりに「求める人」を書く方法
施行規則第1条の3第2項は、事業主に対し、職務の内容や、その職務に必要な適性・能力・経験・技能の程度など、応募者に求められる事項をできる限り明示するよう求めています。年齢で絞れない分、仕事の中身で絞る、という考え方です。
厚生労働省のパンフレットには、重量物の配送で体力が要るため若い人を想定していた会社が、長距離トラック運転者の求人を年齢不問にして、資材(50kg程度)の上げ下ろしがあり持久力と筋力が必要だと仕事の中身を書き、経験の豊富な50代の人を採用した例が載っています。Q&Aも、加齢による体力や視力の低下には個人差が大きいとして、危険を避けるにはむしろ業務の具体的な内容と必要な身体能力を明示することが重要だとしています。
| 年齢で書きたくなる理由 | 年齢で書いた例(書けない) | こう書き換える |
|---|---|---|
| 体力が要る | 40歳以下(体力仕事のため) | 「【重さ】kg程度の資材を手で運ぶ作業が1日に何度もあります」「夏場の屋外作業があります」 |
| 若い社員が多い職場になじんでほしい | 30代以下 | 「社員は【人数】名で20代が中心、上司は30代です」と職場の事実を書く |
| 年下の上司の下で働く | 上司より年下の方 | 「30代のリーダーの指示のもとで作業します」 |
| 早朝・夜間の勤務がある | 若い方(早朝勤務のため) | 「始業は午前【時刻】。夜間の作業が月【回数】回程度あります」 |
| パソコン作業がある | 若い方(パソコン作業あり) | 「表計算ソフトで日報を入力します。入力の型は決まっています」 |
| 長く育てたい | 理由なしで「35歳まで」 | 3号イの条件をそろえて理由を書く。そろわないなら「入社から【年数】年で一人立ちできるよう、先輩が付いて教えます」 |
【 】には自社の実際の数字を入れてください。パンフレットも、年齢の幅を広げて採用したい人物像を明示することで、より多くの応募者が集まり、応募者の精度が高まるとしています。
仕事のきつい面を正直に見せる考え方は「仕事の大変さをマンガで伝える採用手法とは?」、求人ページに載せる内容は「採用サイト・求人ページに載せるべきコンテンツ」で紹介しています。
選考・面接でも年齢で判断しない
求人票が正しく書けていても、選考の段階で年齢を基準にすれば、法の規定に反します。現場で起きやすいのは、次のような場面です。
- 電話の問い合わせで年齢を聞き、「その年齢だと難しい」と応募を断る
- 履歴書の年齢を見て、書類選考で一律に不採用にする
- 面接で「若い人を採りたかった」ことを理由に不採用にする
- 応募者の年齢を見て、正社員の求人からパートの条件に切り替えて提示する
年齢によって雇用形態や職種を変えたいなら、条件ごとに別の求人を出します。社内の有期社員を正社員に登用する際の選考は、広く一般から募集するものではないため第9条の対象外とされていますが、Q&Aは、年齢にとらわれず本人の適性や能力で判断することが望ましいとしています。派遣元が行う派遣労働者の募集・採用には第9条が適用されます。
面接官が複数いる会社では、現場の責任者にもこのルールを共有し、評価の項目を「必要な免許や技能があるか」「勤務時間に対応できるか」のように仕事の中身で決めておきましょう。
性別も同じ考え方:男女雇用機会均等法第5条は、事業主は労働者の募集と採用について、性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない、と定めています。年齢の見直しと一緒に、「男性スタッフ募集」「男性のみ」といった表現が残っていないかも確認しておきましょう。なお、同法第8条により、男女の均等な機会を妨げている事情を改善する目的で女性に関して行う措置は、第5条の例外として認められる場合があります。
違反したときの措置
年齢制限のルールに反した募集には、次のような措置が定められています。
| 措置 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 助言・指導・勧告 | 法律の施行に関し必要があるときに、事業主が助言・指導・勧告を受けることがある。求職者からの連絡の窓口は、都道府県労働局とハローワーク | 労働施策総合推進法第33条第1項 |
| 資料の提出・説明 | 必要な資料の提出と説明を求められる | 労働施策総合推進法第35条 |
| 求人の不受理 | ハローワークや職業紹介事業者は、内容が法令に違反する求人の申込みを受理しないことができる | 職業安定法第5条の6第1項第1号 |
| 理由の提示に関する措置 | 理由を示したかどうかや理由の内容について、報告を求められ、助言・指導・勧告を受けることがある | 高年齢者雇用安定法第20条第2項 |
Q&Aによると、年齢制限の禁止に違反した企業に対する制裁的な公表措置はありません。ただし、情報公開法に基づく情報公開請求があった場合には、内容によっては企業名が公開されることもあり得るとされています。また、例外事由に当たらない年齢制限を定めた就業規則は、違法となる可能性があると示されています。求職者は、違法のおそれのある求人を見つけたとき、求人者の所在地を管轄する都道府県労働局やハローワークに連絡できます。
掲載前チェックリスト
求人を出す前、また古い原稿を使い回す前に、次の項目を確かめてください。
- 年齢を書いている場合、6つの例外事由のどれに当たるかを1つに決めた
- 1号・3号イ・3号ロなら、雇用が期間の定めのない契約になっている
- 1号なら、上限が定年の年齢未満(定年60歳なら「60歳未満」または「59歳以下」)で、下限を付けていない
- 3号イなら、職業経験を問わず、「経験者優遇」や実務経験が必要な資格を書いていない
- 3号イなら、新卒者と同等の研修・昇給の仕組みで育てる体制がある
- 3号ロなら、職種別・年齢層別の人数表で「上下の両方の半分以下」を確かめた
- 65歳未満の上限を付けるなら、理由を求人に書いた(広告で書けない場合は、求めに応じてすぐ示せる)
- 「○歳位」「○歳前後」「○歳以下歓迎」、生年月日での条件を使っていない
- 体力、勤務時間、作業内容など、年齢の代わりに仕事の中身を具体的に書いた
- 面接官にも、選考で年齢を理由に判断しないことを共有した
- 以前の原稿にあった「就職氷河期世代限定」や性別を限る表現を見直した
よくある質問
求人票を「年齢不問」にしておけば、選考で年齢を見てもかまいませんか?
いいえ。厚生労働省は、求人票を年齢不問としながら年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決めたりすることは法の規定に反すると説明しています。年齢で条件を変えたいときは、例外事由に当たる形で別の求人を出してください。
「35歳未満の方歓迎」と書くのもだめですか?
厚生労働省のQ&Aは、特定の年齢層を他より優遇する表現で、実質的に年齢制限をしているのと同じと考えられるため、法の趣旨に照らし適当ではないとしています。3号イなどの例外事由に当たる場合は違法とはなりません。「学生歓迎」「60歳以上の方歓迎」は認められています。
定年が60歳なら、正社員の募集を「60歳未満」にできますか?
できます(例外事由1号)。期間の定めのない雇用で、上限を定年の年齢未満にし、下限を付けないことが条件です。継続雇用の上限年齢や、習熟期間を差し引いた年齢は使えません。「定年が60歳のため」という理由も書きます。
契約社員やパートの募集でも「35歳未満」にできますか?
3号イ(若手の長期育成)では、有期契約の募集はできません。更新を繰り返す予定でも同じです。パートでも期間の定めのない契約で3号イの条件を満たすなら、呼び名にかかわらず対象になります。国の施策(トライアル雇用助成金など)を実際に活用する3号ニなら、有期の契約でも施策の対象年齢で募集できることがあります。
「高卒以上」や「新卒のみ」は年齢制限になりますか?
なりません。学歴の条件や「来年3月卒業予定の方」「学校卒業後3年以内の方」は年齢制限に当たりません。ただし「高卒以上」を理由に「18歳以上」と書くことや、生年月日で区切ることはできません。新卒者以外の若者にも応募の機会を開くよう努めることも求められています。
求人広告に年齢制限の理由を書くスペースがありません。どうすればいいですか?
65歳未満の上限年齢を付けるときは、理由を示す義務があります。新聞や雑誌の広告であらかじめ書くことが難しい場合は、求職者の求めに応じて遅滞なく、書面などで示すことが認められています。ハローワークの求人申込書には理由の欄があるので、必ず書きましょう。
年齢制限のルールに違反すると、どうなりますか?
厚生労働省のQ&Aでは、違反した企業は助言・指導・勧告の対象で、制裁的な公表措置はないとされています。ただし、法令に違反する求人の申込みは受理されないことがあり、情報公開請求があれば企業名が公開されることもあり得ます。
まとめ|年齢で絞らず、仕事の中身で絞る
この記事の要点
- 求人の年齢は原則「不問」(労働施策総合推進法第9条)。媒体や雇用の形を問わず、選考にも及ぶ。
- 年齢制限を書けるのは、施行規則第1条の3第1項の6つの例外事由に当たるときだけ。
- 1号・3号イ・3号ロは期間の定めのない雇用が条件。3号イは職業経験不問で、下限は付けない。
- 65歳未満の上限を付けるなら、高年齢者雇用安定法第20条により理由の提示が義務。
- 就職氷河期世代限定の直接募集は令和7年4月から認められない。
- 例外に当たらなければ、年齢の代わりに体力・時間・作業内容など仕事の中身を具体的に書く。
若手を育てたいなら3号イの条件をそろえ、そうでなければ年齢を書かずに仕事の中身で伝える。求人に書いた条件と選考での判断を一致させることも大切です。次に求人を出す前に、チェックリストで原稿を見直してください。
採用担当の方へ
仕事のリアルを、マンガの求人で伝えませんか
マン天は、仕事内容や職場の雰囲気をマンガで紹介する求人サイトです。求人の掲載とマンガの制作を、まとめてご依頼いただけます。費用や進め方は、お気軽にご相談ください。
関連記事
参照元ソース
- 厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/topics/tp070831-1.html
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」(令和7年4月1日時点):https://www.mhlw.go.jp/content/001475014.pdf
- 厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」(令和7年4月1日現在):https://www.mhlw.go.jp/content/001474761.pdf
- ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/enterprise/age_limit.html
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求人申込書の書き方」:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/kyuujinnmousikomisyonokakikata.pdf
- e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」:https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132
- e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則」:https://laws.e-gov.go.jp/law/341M50002000023
- e-Gov法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」:https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000068
- e-Gov法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則」:https://laws.e-gov.go.jp/law/346M50002000024
- e-Gov法令検索「職業安定法」:https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
- e-Gov法令検索「労働基準法」:https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- e-Gov法令検索「警備業法」:https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000117
- e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」:https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113
※厚生労働省のパンフレットとQ&Aは、令和7年4月1日時点の版(2026年9月に最新であることを確認)をもとにしています。国の施策の一覧や助成金の要件は年度によって変わります。求人を出す前に、最新の資料と管轄のハローワーク・都道府県労働局でご確認ください。


