期間工から正社員になるには?正社員登用の現実と無期転換との違い【2026年版】

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働き方の選び方ガイド・2026年版

期間工から正社員になるには?登用の現実、無期転換との違い、最初から工場の正社員を選ぶ方法

自動車や電機などの工場で、期間を決めて働く期間工(期間従業員)。働きながら「このまま正社員になれるのか」「5年働けば正社員になれると聞いたけれど本当か」と気になっている人も多いはずです。この記事では、期間工から正社員になる3つの道と、無期転換ルール・雇止めのルール・2024年4月からの労働条件の明示を、厚生労働省と法令(e-Gov)の一次情報で整理しました。製造業の正社員と有期雇用の賃金の差を統計で確かめ、最初から工場の正社員として入る方法も、マン天に掲載中の求人をもとに紹介します。

  • 5年超無期転換の申込権が生まれる
    同じ会社での通算契約期間
  • 約200万円製造業30〜34歳の年収目安の差
    (正社員と有期の正社員以外)
  • 30日前雇止めの予告の期限
    (3回以上更新・1年超の人)
  • 2024年4月更新上限の有無と内容の
    明示が会社の義務に
  • 対象:期間工・派遣・契約社員で働いている人
  • 未経験から入れる工場の正社員求人あり
  • 法令と統計の一次情報で確認

先に結論:期間工から正社員になる道は、①会社の正社員登用(会社ごとの制度)、②法律の無期転換ルール、③別の会社の正社員求人に応募する、の3つです。無期転換は、同じ会社で通算5年を超えた人が申し込めば会社は断れませんが、なくなるのは「契約の期間」だけで、正社員になる制度ではありません。給料などは、別の定めがなければ直前の条件のままです。登用は会社の制度なので、条件・枠・時期は会社しだいで、更新の上限があれば5年に届く前に契約が終わることもあります。正社員を目指すなら、応募前に登用制度の条件と更新上限を書面で確かめるか、最初から正社員の求人を選ぶのが確実です。製造業の統計では、30〜34歳の年収の目安は正社員が約518万円、雇用期間の定めがある正社員以外が約318万円で、この差は年齢とともに開きます。

この記事の目次
  1. 期間工とは
  2. 正社員になる3つの道
  3. 無期転換ルール
  4. 無期転換と登用の違い
  5. 更新上限と雇止め
  6. 登用の現実と年齢
  7. 統計で見る給料の差
  8. 登用を目指すなら
  9. 最初から正社員を選ぶ
  10. どちらから始めるか
  11. 契約が終わるとき
  12. よくある質問
  13. まとめ

期間工(期間従業員)とは?「期間の定めがある」直接雇用

期間工は、メーカーなどが働く期間を決めて直接雇う働き方の通称です。会社によって「期間従業員」「期間社員」などと呼び方が違いますが、法律の上では、契約の期間が決まっている「有期労働契約」で働く人です。

厚生労働省は、1年や6か月といった単位で有期労働契約を結んだり更新したりしている人を「有期契約労働者」と呼び、準社員やパートナー社員など会社が独自に決めた名前であっても、契約期間に定めがあれば、名前にかかわらず無期転換ルールの対象になると説明しています。つまり「期間工」という呼び方そのものに法律上の意味はなく、大事なのは契約に期間の定めがあるかどうかです。

有期労働契約には、法律でいくつかの決まりがあります。

決まり中身根拠
1回の契約期間の上限原則3年まで(高度な専門知識などを持つ人、60歳以上の人との契約は5年まで)労働基準法第14条
契約期間中の解雇やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が終わるまでの間に解雇できない労働契約法第17条第1項
短すぎる契約の繰り返し雇う目的に照らして必要以上に短い期間を決め、更新を繰り返すことのないよう配慮する労働契約法第17条第2項
通算5年を超えたら本人が申し込めば、期間の定めのない契約(無期労働契約)に転換される労働契約法第18条
正社員との待遇差基本給・賞与などのそれぞれについて、仕事の内容や責任などに照らして不合理な差をつけてはならないパートタイム・有期雇用労働法第8条

期間工と派遣社員の違いは「誰に雇われているか」です。期間工は働く工場の会社に直接雇われ、派遣社員は派遣会社に雇われて工場で働きます。このため派遣社員の場合、無期転換を申し込む相手は派遣先の工場ではなく、派遣元の派遣会社になります(厚生労働省)。

正社員・期間工・派遣のメリットとデメリット、工場の仕事の種類や1日の流れといった全体像は「製造業・工場勤務は未経験でも稼げる?」で比べています。この記事では「期間工から正社員へ」の一点に絞って掘り下げます。

期間工から正社員になる3つの道

期間工から正社員になる道は、大きく分けて3つです。似ているようで、決まり方も、正社員になれるかどうかも違います。

道何で決まるか正社員になれるか気をつけたいこと
①正社員登用会社の制度(就業規則など)なれる(試験や面接などに合格した場合)制度の有無、受験の条件、枠、時期は会社ごとに違う
②無期転換労働契約法第18条契約の期間がなくなるだけ。どの雇用区分になるかは会社の制度しだい通算5年超と本人の申込みが条件。更新上限があると届かないことがある
③正社員求人に応募応募先の会社の選考なれる(採用された場合)期間工で身につけたことの伝え方。年齢の条件がある求人もある

会社に義務があるのは「どれか1つの措置」

パートタイム・有期雇用労働法の第13条は、会社に対して、有期で雇っている人が正社員(法律の言葉では「通常の労働者」)になれるよう、次のどれかの措置をとることを義務づけています。

  1. 正社員を募集するとき、仕事の内容・賃金・労働時間などの募集の内容を、事業所に掲示するなどして有期雇用の人にも知らせる
  2. 正社員を新しく配置するとき、その配置を希望する機会を有期雇用の人にも与える
  3. 一定の資格がある有期雇用の人を対象にした、正社員への転換のための試験制度を設けるなど、転換を進める措置をとる

ここで大事なのは、決まっているのが「どれか1つ」だという点です。登用試験の制度を設けることそのものが義務なわけではなく、法律の上では、正社員の募集を知らせる方法でも義務を果たしたことになります。「正社員登用制度あり」と書かれていても中身は会社によって大きく違う、というのはこのためです。

また会社は、有期で雇い入れたとき、こうした措置としてどんなことをしているかを速やかに説明しなければなりません(同法第14条第1項)。登用の仕組みがわからないときは、遠慮せずに聞いてよい事項です。

無期転換ルール|通算5年を超えたら「申込み」で無期契約に

労働契約法第18条は、同じ会社との間で結んだ2つ以上の有期労働契約が通算5年を超える人が、今の契約が終わるまでに期間の定めのない労働契約を申し込んだときは、会社はその申込みを承諾したものとみなす、と定めています。厚生労働省の無期転換の特設サイトも、申込みがあれば無期労働契約が成立し、使用者は断ることができないと説明しています。流れは次のとおりです。

通算5年を超える契約が始まると、申込みの権利が生まれる契約期間が1年なら5回目の更新後の1年間に、3年なら1回目の更新後の3年間に、無期転換を申し込む権利(無期転換申込権)が生まれます。数えるのは、2013年(平成25年)4月1日以降に始まった契約からです。
自分で申し込む法律上は口頭でも有効ですが、厚生労働省は、後々のトラブルを防ぐために書面で申し込んで記録を残すことをすすめています。会社に決まった様式がなければ、厚生労働省の特設サイトにある参考様式(無期労働契約転換申込書)を使えます。会社によっては、自動的に無期転換される制度を設けている場合もあります。
今の契約が終わった翌日から無期契約に申し込んだ時点で、今の契約の満了日の翌日から働き始める無期労働契約が成立します。
申し込まなければ有期のまま申込みの権利が生まれても、申し込まなければ有期労働契約のまま働き続けることになります。申し込まずに契約を更新した場合は、次の契約期間中にも申し込めます。

数えるのは「会社単位」、空白が長いとリセット

通算は、工場や事業所ごとではなく、会社(法人)単位で数えます。同じ会社の中で職種が変わったり、別の工場へ移ったりしても、契約期間は通算されます。

一方で、同じ会社と契約していない期間(無契約期間)が一定以上続くと、それより前の契約期間は通算されません。これを「クーリング」といいます。

空白の前の通算契約期間前の期間がリセットされる空白の長さ
1年以上6か月以上
2か月以下1か月以上
2か月超〜4か月以下2か月以上
4か月超〜6か月以下3か月以上
6か月超〜8か月以下4か月以上
8か月超〜10か月以下5か月以上
10か月超(1年未満)6か月以上

満了後に同じ会社で働き直す人は注意:期間工では、契約が満了していったん辞め、しばらくして同じ会社で働き直す人もいます。空白がこの表の長さ以上になると、それより前の期間は5年の計算に入りません。逆に、無期転換を避ける目的で更新上限を設けたうえ、形式的に空白期間を置いて再雇用を約束し、雇止めをするようなやり方について、厚生労働省は、雇止めが客観的に合理的な理由を欠くとされる可能性もあるとしています。

無期転換と正社員登用は別物|「5年で正社員」は誤解

期間工についてよく聞くのが「5年働けば正社員になれる」という話です。これは無期転換ルールと正社員登用を混同した誤解です。厚生労働省は、無期転換ルールは契約期間を有期から無期に転換するルールで、無期転換後の雇用区分は会社によって制度が異なるため一概には言えない、と説明しています。給与や待遇などの労働条件は、労働協約・就業規則・個々の労働契約で別の定めがある部分を除いて、直前の有期労働契約と同じ条件が引き継がれます。

項目無期転換正社員登用
根拠労働契約法第18条(法律)会社の就業規則などの制度
条件同じ会社で通算5年超+本人の申込み会社が決めた受験の条件・試験・面接など
会社が断れるか断れない(承諾したものとみなされる)合否は会社が判断する
契約期間なくなる会社の正社員の制度による
給料・賞与・退職金など別の定めがなければ直前の有期契約と同じ会社の正社員の制度に沿って決まる
呼び方・雇用区分会社ごとに違う(正社員になるとは限らない)正社員

2024年4月からは、無期転換の申込権が生まれる契約の更新のたびに、会社は「無期転換を申し込めること」と「無期転換後の労働条件」を示さなければならなくなりました(労働基準法施行規則第5条)。あわせて、無期転換後の賃金などを決めるにあたって、正社員などとのバランスをどう考えたかを説明するよう努めることも会社に求められています(有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準)。無期転換すると何が変わり、何が変わらないのかは、この明示で確かめられます。

無期転換は「雇用の安定」のための仕組み:厚生労働省は、無期転換で契約期間の定めがなくなることで雇止めの不安が解消され、雇用の安定につながると説明しています。一方で、賞与や昇給、退職金まで正社員と同じになるかは別の話です。それを求めるなら、正社員登用か、正社員の求人を目指すことになります。

更新上限と雇止めのルール|2024年4月から明示が必要に

期間工の契約には、「通算で何年まで」「更新は何回まで」といった更新の上限が決められていることがあります。厚生労働省は、有期労働契約に更新年限や更新回数の上限を設けること自体は、ただちに法律違反になるものではないとしています。上限が通算5年以内なら、無期転換の申込権が生まれる前に契約が終わることになります。

2024年4月から、会社が示さなければならないこと

労働基準法施行規則と、有期労働契約に関する厚生労働大臣の告示(いわゆる雇止め告示)の改正で、2024年4月から次のことが会社に求められるようになりました。

タイミング会社が示すこと根拠
すべての労働契約の締結時と、有期契約の更新時就業場所・業務の「変更の範囲」(将来の配置転換などで変わり得る範囲)労働基準法施行規則第5条
有期契約の締結時と更新時更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容労働基準法施行規則第5条
最初の契約の後に上限を新しく設ける・短くするときその理由を、あらかじめ説明する雇止め告示第1条
無期転換の申込権が生まれる更新のたび無期転換を申し込めること(無期転換申込機会)と、無期転換後の労働条件労働基準法施行規則第5条

求人の段階でも、2024年4月から、募集の際に「有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は更新回数の上限を含む)」や、業務・就業場所の変更の範囲を示すことが必要になりました(職業安定法施行規則の改正)。期間工の求人を見るときは、更新の上限が書かれているかを最初に確かめましょう。上限が通算何年なのかで、その会社で働ける最長の期間と、無期転換に届くかどうかがわかります。

雇止め法理|更新を拒めない場合がある

契約期間が終わるときに更新しないことを「雇止め」といいます。労働契約法第19条は、次のどちらかに当たる有期契約について、労働者が契約の終わるまでに更新を申し込んだ(または満了後すぐに契約を申し込んだ)場合に、会社がそれを拒むことが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないときは、それまでと同じ条件で申込みを承諾したものとみなすと定めています。

  • 過去に繰り返し更新されていて、雇止めが、期間の定めのない契約の人を解雇するのと社会通念上同じだと認められる場合
  • 契約が更新されると期待することに、合理的な理由があると認められる場合

どちらに当たるかは、雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間の管理の状況、雇用継続を期待させる会社の言動の有無などを総合して、個別の事案ごとに判断されます(厚生労働省)。契約の途中で会社が一方的に更新年限や回数の上限を定めても、雇止めをすることは許されない場合もあるとされています。最終的な判断は裁判所が行うので、「上限があるから必ず終わる」「長く働いたから必ず更新される」とは言い切れません。

正社員登用の現実|「なれない」と言われる理由と年齢

「期間工から正社員になれない」という声は、ネットの掲示板などでよく見かけます。ただ、登用の実績は会社や時期によって違い、出どころのわからない数字では判断できません。マン天編集部では、特定のメーカーの登用者数や登用率は、その会社の公式発表で確かめられたもの以外は紹介しません。会社が採用サイトなどで公式に実績を示している場合は、それが一番確かな材料です。ここでは制度の仕組みから、「なれない」となりやすい理由を整理します。

登用試験の制度がない

法律が求めるのは転換を進める措置のどれか1つ。正社員の募集を知らせるだけでも義務を果たしたことになる。

受験の条件に届かない

勤続期間や上司の推薦などを受験の条件にしている場合がある。条件は会社ごとに違う。

枠と時期が限られる

登用する人数や試験の時期は会社が決める。時期を逃すと、次の機会まで待つことになる。

更新上限で契約が終わる

上限までに登用されなければ契約は満了。通算5年に届かなければ、無期転換もできない。

無期転換と取り違えている

5年を超えて無期になっても、正社員の制度に移るとは限らない。

希望が伝わっていない

登用を望んでいることを伝えないまま契約を終える人もいる。評価の基準と受け方は早めに聞いておきたい。

登用試験に年齢の条件はある?

登用試験に年齢の条件があるかどうかは、会社の制度しだいです。法律で一律に決まった基準はないので、就業規則や募集の資料、面接で確かめるしかありません。

一方、外から正社員の求人に応募する場合、年齢を理由に募集・採用を制限することは原則として禁止されています(労働施策総合推進法)。ただし例外があり、その1つが「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合」(例外事由3号イ)です。職業経験を問わないこと、新卒者以外の人も新卒者と同等に育成することが条件で、厚生労働省は、ここでいう若年者等は基本的に35歳未満を想定しているものの必ずしも35歳未満に限られない、定年がある場合に勤続できる期間が極端に短くなる上限年齢は認められない(おおむね45歳未満が目安)としています。この記事で後ほど紹介する正社員求人にも、「37歳以下の方(例外事由3号のイ)」と書かれたものがあります。

この例外は期間の定めのない契約での募集が条件です。厚生労働省は、契約期間1年・更新ありで30歳未満の人を募集する例を、認められない例として挙げています。次の章の統計のとおり、正社員とそれ以外の賃金の差は年齢が上がるほど開きます。正社員を目指すなら、求人の年齢の条件も含めて、早めに比べ始めるのがおすすめです。

統計で見る給料の差|製造業の正社員と有期雇用

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」の雇用形態別の集計から、製造業で働く一般労働者(短時間労働者を除く)について、正社員・正職員と、正社員・正職員以外のうち雇用期間の定めがある人を年齢別に並べました。期間工は後者に含まれます。

年齢正社員・正職員
毎月の給与/年間賞与
正社員・正職員の
年収の目安
正社員以外(期間の定めあり)
毎月の給与/年間賞与
正社員以外の
年収の目安
20〜24歳26.61万円/62.85万円約382万円23.03万円/5.11万円約281万円
25〜29歳30.77万円/86.01万円約455万円24.69万円/8.48万円約305万円
30〜34歳34.47万円/104.39万円約518万円25.35万円/14.18万円約318万円
35〜39歳38.23万円/123.63万円約582万円24.70万円/14.85万円約311万円
40〜44歳40.65万円/138.34万円約626万円23.76万円/15.91万円約301万円
年齢計38.48万円/126.28万円約588万円25.86万円/38.89万円約349万円

数値の出典と計算方法:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・雇用形態別 第1表(民営事業所、製造業、企業規模10人以上、男女計、学歴計)の値です。毎月の給与は「きまって支給する現金給与額」で、残業代などを含む令和7年6月分です。年間賞与は「年間賞与その他特別給与額」で、令和6年1月〜12月の1年間の額です。年収の目安は、毎月の給与の12か月分に年間賞与を足して編集部が計算しました。

「正社員・正職員以外で雇用期間の定めがある人」には、期間工のほか、契約社員や定年後に再雇用された人なども含まれます。製造業のこの区分は年齢計の平均年齢が49.4歳と高く、60〜64歳の人が多いので、年齢別の行で比べるのがおすすめです。

表からわかるのは、差の中身です。20〜24歳では、毎月の給与の差は約3.6万円ですが、年間賞与は正社員の62.85万円に対して5.11万円と大きく違います。正社員は年齢とともに毎月の給与も賞与も上がっていく一方、雇用期間の定めがある正社員以外は30代以降ほぼ横ばいです。年収の目安の差は、30〜34歳で約200万円、40〜44歳では約325万円に広がります。

ただし、雇用期間の定めがある若い層は勤続年数が短く(20〜24歳で平均1.7年)、賞与の対象期間(前年の1年間)に在籍していなかった人も含まれている可能性があります。また期間工の求人には、入社時や満了時の手当を設けているものもあり、こうした支給が統計でどう計上されているかまでは、この表からはわかりません。毎月の給与だけでなく、賞与・昇給・退職金を含めて長い目で比べることが大切です。

同じ調査の結果の概況では、所定内給与額(残業代などを除いた毎月の給与)で比べた製造業の雇用形態間の格差は、正社員・正職員を100として66.3(正社員・正職員346.1千円、正社員・正職員以外229.4千円)です。

待遇の差について、説明を求められる

パートタイム・有期雇用労働法は、有期雇用の人と正社員の間で、基本給や賞与などの待遇ごとに不合理な差をつけることを禁じています(第8条)。さらに、有期雇用の人から求めがあったときは、会社は正社員との待遇の差の内容と理由などを説明しなければならず(第14条第2項)、説明を求めたことを理由に解雇などの不利益な扱いをしてはなりません(同条第3項)。賞与や手当の差に納得できないときは、まず説明を求めることができます。

期間工から登用を目指すなら|応募前と在籍中にすること

期間工として入り、正社員登用を目指すことも、もちろん選択肢の1つです。その場合は、応募の前と、働き始めてからの両方で準備をしておくと、契約の終わりが近づいてから慌てずにすみます。

応募前に確かめたい8項目

  • 契約期間と、更新の有無・更新するかどうかの基準
  • 更新上限(通算契約期間または更新回数)の有無と内容
  • 正社員登用の制度があるか。あるなら受験の条件(勤続期間・年齢・推薦の有無など)
  • 登用試験の内容(筆記・面接など)、実施の時期と回数
  • 登用の実績を、会社が公式に示しているか
  • 無期転換の申込みの扱いと、無期転換後の労働条件・雇用区分
  • 就業場所・業務の変更の範囲(別の工場や部署への異動があるか)
  • 入社時や満了時の手当、寮の費用などの条件と、途中で辞めたときの扱い

このうち更新上限と変更の範囲は、2024年4月から労働条件として示すことが会社の義務になった項目です。労働条件通知書や契約書で確かめ、更新のたびに受け取る書面も保管しておきましょう。面接での質問の仕方は「転職面接の完全攻略ガイド」も参考になります。

働き始めてからできること

登用を目指していることを早めに伝える上司や人事の担当者に、正社員を希望していることを伝え、受験の条件と時期を確かめておきます。
評価の基準を聞く推薦や合否で何を見ているのかは会社ごとに違います。「どんな点を見て判断しますか」と具体的に聞いておくと、日々の仕事で何を意識すればよいかがわかります。
現場で役立つ資格や技能を身につけるフォークリフトや玉掛けなど、工場で使う資格を会社の制度で取れるか聞いてみましょう。資格取得の費用を会社が出す場合は、途中で辞めたときの返済の決まりも確かめておくと安心です(資格取得支援制度とは?)。
並行して外の正社員求人も見ておく更新上限が近づいてから探し始めると、時間が足りなくなりがちです。登用を目指しながら、別の会社の正社員求人も早めに見比べておくと、どちらに転んでも次の一歩を選べます。

最初から工場の正社員を選ぶ方法|掲載中の求人で比べる

登用を待つより確実なのが、最初から正社員として採用してくれる工場を選ぶ方法です。大手メーカーの期間工の求人ほど目立たなくても、中小の工場には、未経験から正社員で入れる求人があります。マン天に掲載中の名古屋市の2つの求人を、求人ページの表記にもとづいて並べました。

項目株式会社八王子(名古屋市中川区)滝本技研工業株式会社(名古屋市南区)
仕事金型製品、超硬合金工具の制作。工程ごとに分かれ、切削・研磨・測定など適性に合った工程を担当製造職。NC旋盤やマシニングセンターを使った精密樹脂部品の加工・製造、完成品の検査、段取り替えなど
雇用形態正社員正社員
給与月給21万円〜27万円(年齢・能力を考慮し決定)月給 223,000円〜(固定残業代17,000円/10時間相当分を含む。超える場合は別途支給)
賞与・昇給賞与あり(年2回)、昇給あり(年1回)賞与年2回(7月・12月)、昇給年1回(8月)
年収例年収420万円/30歳、年収470万円/35歳(月給+各種手当+賞与)年収336万円〜(例:月給240,000円×12ヶ月+賞与)
勤務時間8:00〜17:00(実働8時間/休憩60分)、残業は月平均20時間程度9:00〜18:00(休憩60分)、フレックスタイム制を導入
休日完全週休2日制(土曜・日曜)、年末年始・GW・夏季休暇年間休日122日/週休二日制、年末年始・GW・夏季休暇
退職金など退職金共済、財形貯蓄、資格取得支援制度退職金制度、企業型401k制度、資格取得支援制度
応募の条件学歴不問/未経験歓迎、37歳以下の方(例外事由3号のイ)未経験・第二新卒歓迎、学歴・文理不問

どちらも雇用形態は「正社員」で、賞与・昇給・退職金の仕組みが求人に書かれています。期間工の求人と比べるときは、毎月の給与だけでなく、こうした長く働くほど効いてくる部分を並べてみてください。八王子の求人は新人教育にマンツーマンの形式を採用していると書かれ、滝本技研工業の求人は、NC旋盤やマシニングの操作を入社後に基礎から覚えていけると書かれています。

滝本技研工業の給与には固定残業代(10時間相当分)が含まれているので、時間を超えた分の支払いと実際の残業時間を面接で確かめましょう。固定残業代の読み方は「求人の給与欄の読み方完全ガイド」、退職金の見方は「求人の福利厚生欄の読み方完全ガイド」、「完全週休2日制」と「週休二日制」の違いは「求人の休日・勤務時間の読み方完全ガイド」で解説しています。

金型や精密部品の仕事の中身は「金型工は未経験からなれる?」「精密部品製造は未経験でもできる?」で詳しく紹介しています。期間工の寮のように住まいも一緒に確保したい人は「寮つき・寮完備の正社員とは?」、夜勤のない日勤の正社員を探す人は「夜勤なし・日勤のみで稼げる正社員の仕事」も参考にしてください。

未経験から正社員で入れる工場の求人を見る

名古屋市南区で、NC旋盤やマシニングセンターを使って精密樹脂部品を加工・製造する製造職の正社員求人です。未経験・第二新卒歓迎で、操作は入社後に基礎から覚えられると書かれています。給与は月給 223,000円〜で、固定残業代(17,000円/10時間相当分)を含み、超える場合は別途支給です。年間休日122日、9:00〜18:00(休憩60分)のフレックスタイム制です。

滝本技研工業の製造職の求人を見る

期間工と正社員、どちらから始める?判断の目安

期間工と最初から正社員、どちらが正解ということはありません。大事なのは、「期間工で働く期間」と「その後どうするか」をセットで決めておくことです。目的別の考え方を整理しました。

こんな人考えたい選び方
期間を区切ってお金を貯めたい。住まいも一緒に確保したい期間工も選択肢。満了時の手当や寮の条件、更新上限を確かめ、契約が終わった後の計画も先に立てておく
同じ会社で長く技能を積み、賞与・昇給・退職金まで含めて生活を組み立てたい最初から正社員の求人を選ぶ方が近道
期間工として入り、登用を目指したい登用制度の条件・時期と、公式の実績を応募前に確かめられる会社を選ぶ
工場の仕事が自分に合うか、まず試してみたい期間工から始めてもよいが、並行して正社員の求人も見ておく
年齢の条件が気になる正社員の求人には上限年齢がついたものもある。早めに比べ始める

統計で見たとおり、正社員とそれ以外の賃金の差は年齢とともに開きます。正社員として長く働くことが目的なら、期間工として働きながら登用の機会を待つより、最初から正社員を狙った方が早い場合もあります。愛知県で探すなら「名古屋・愛知で未経験から正社員になれる仕事」、工場の仕事の種類から考えたいなら「工場勤務・製造オペレーター」も参考になります。

契約が終わるときに知っておきたいこと|雇止めの予告と雇用保険

30日前までの予告と、理由の証明書

有期労働契約に関する厚生労働大臣の告示(有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準)は、3回以上更新されているか、雇い入れから1年を超えて続けて働いている人の契約を更新しない場合、会社は少なくとも契約満了日の30日前までに予告しなければならないとしています(あらかじめ更新しないと示されている場合を除く)。契約が更新されなかった場合に、労働者が更新しなかった理由の証明書を求めたときは、会社は遅滞なく交付しなければなりません。

失業保険(雇用保険の基本手当)の扱い

雇用保険の基本手当を受け取るには、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが必要です。ただし、特定受給資格者と特定理由離職者は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば要件を満たします(ハローワーク)。期間満了に関係する主な区分は次のとおりです。

契約が終わった状況ハローワークの区分
有期契約の更新で3年以上続けて雇われた後、更新されなかった特定受給資格者
契約を結ぶときに「更新する」と明示されていたのに、更新されなかった(上の場合を除く)特定受給資格者
「契約の更新をする場合がある」など更新の確約がない契約で、更新を希望したのに合意できず満了した特定理由離職者

特定理由離職者のうちこの区分に当たる人は、離職の日が2027年(令和9年)3月31日までにあれば、所定給付日数が特定受給資格者と同じになります。どの区分になるかはハローワークが判断するので、契約書や更新の経緯がわかる書類を持って相談しましょう。

困ったときの相談先:無期転換ルールや雇止めなど、労働契約をめぐるトラブルは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、労働条件が明示されないなど労働基準法違反と思われる場合は、都道府県労働局の監督課や全国の労働基準監督署が窓口です(厚生労働省)。

名古屋で、最初から正社員で入れる工場の求人

金型づくりと精密部品の加工、どちらも未経験から正社員で応募できる名古屋市の工場の求人です。賞与・昇給・退職金の仕組みが求人に書かれています。八王子の求人には37歳以下(例外事由3号のイ)の条件があります。

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2026年10月時点の募集内容です。最新の条件は求人ページでご確認ください。

よくある質問

期間工から正社員になるのは難しいですか?

会社によって大きく違います。正社員登用は会社ごとの制度で、試験の有無、受験の条件、枠、時期は会社が決めています。法律が会社に求めているのは、正社員の募集を知らせる、配置の希望を申し出る機会を与える、転換のための試験制度を設けるなどのうち、どれか1つの措置です。登用試験を設けることそのものは義務ではありません。登用を目指すなら、応募前に制度の中身と更新上限を確かめましょう。確実に正社員として働きたいなら、最初から正社員の求人を選ぶ方法もあります。

期間工を5年続ければ正社員になれますか?

自動的に正社員になるわけではありません。同じ会社との有期労働契約が通算5年を超えた人が申し込むと、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されます(労働契約法第18条)。ただし、なくなるのは契約の期間で、無期転換後にどの雇用区分になるかは会社の制度しだいです。給料などの労働条件は、別の定めがなければ直前の有期契約と同じです。また、更新の上限が通算5年以内に決められていれば、申込みの権利が生まれる前に契約が終わります。

期間工の正社員登用に年齢制限はありますか?

登用試験に年齢の条件があるかどうかは会社の制度しだいで、法律で一律に決まった基準はありません。就業規則や募集の資料、面接で確かめてください。外から正社員の求人に応募する場合、年齢制限は原則として禁止されていますが、若年者等を期間の定めのない契約で長く育てる目的の例外(例外事由3号イ)があり、上限年齢をつけた正社員求人もあります。製造業の統計では、正社員と有期の正社員以外の賃金の差は年齢とともに開くので、正社員を目指すなら早めに比べ始めるのがおすすめです。

無期転換を申し込んだら、会社に断られたり雇止めされたりしませんか?

申込みの権利がある人が申し込めば、会社は承諾したものとみなされ、断ることはできません。厚生労働省は、無期転換をさせないために雇止めや解雇をすることは望ましいとは言えず、裁判になれば無効と判断される可能性は高いと説明しています。申込みは口頭でも法律上有効ですが、記録を残すために書面で行うのがおすすめです。困ったときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

更新の上限があると言われました。違法ではないのですか?

厚生労働省は、更新年限や更新回数の上限を設けること自体は、ただちに法律違反になるものではないとしています。ただし2024年4月からは、契約の締結時と更新時に上限の有無と内容を示すこと、最初の契約の後に上限を新しく設けたり短くしたりするときは、その理由をあらかじめ説明することが会社に求められています。契約の途中で会社が一方的に上限を設けた場合などは、雇止めが許されないこともあるとされています。

期間工と最初から正社員、どちらを選ぶべきですか?

目的によります。期間を区切ってお金を貯めたい、寮で住まいも確保したいなら、期間工も選択肢です。長く同じ会社で技能を積み、賞与・昇給・退職金まで含めて生活を組み立てたいなら、最初から正社員の求人を選ぶ方が近道です。令和7年賃金構造基本統計調査では、製造業の30〜34歳の年収の目安は、正社員・正職員が約518万円、雇用期間の定めがある正社員・正職員以外が約318万円でした(毎月の給与の12か月分と年間賞与から編集部が計算)。

契約満了で辞めたときの失業保険はどうなりますか?

契約の内容と更新の経緯で扱いが変わります。「契約の更新をする場合がある」などの契約で、更新を希望したのに合意できず満了した場合は特定理由離職者に、有期契約の更新で3年以上働いた後に更新されなかった場合などは特定受給資格者に当たります。この2つは、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば受給の要件を満たし(通常は2年間に12か月以上)、給付日数が手厚くなる場合もあります。判断はハローワークが行うので、契約書などを持って相談してください。

まとめ|正社員を目指すなら「入る前」に道を決める

この記事の要点

  1. 期間工は有期労働契約。正社員になる道は、正社員登用・無期転換・正社員求人への応募の3つ。
  2. 無期転換は通算5年超+本人の申込みで会社は断れないが、正社員になる制度ではない。条件は原則そのまま。
  3. 登用は会社の制度。法律が求めるのは転換を進める措置のどれか1つで、試験の有無・条件・枠は会社ごとに違う。
  4. 更新上限はただちに違法ではないが、2024年4月から契約の締結時・更新時に有無と内容の明示が必要。求人にも書かれる。
  5. 3回以上更新・1年超の人の雇止めは、30日前までに予告が必要。理由の証明書も求められる。
  6. 製造業の統計では、正社員と雇用期間の定めがある正社員以外の年収の目安の差は、30〜34歳で約200万円、40〜44歳で約325万円。
  7. 正社員を目指すなら、登用制度の中身を確かめてから入るか、最初から正社員の求人を選ぶ。

期間工は、工場の仕事を始める入口として、そして期間を区切って働く方法として、多くの人に選ばれている働き方です。ただ、「いつか正社員に」と考えているなら、その「いつか」が会社の制度しだいであることを知っておく必要があります。無期転換と正社員登用の違い、更新上限、登用の条件を、働き始める前に書面で確かめておくだけで、契約の終わりに慌てることはぐっと減ります。

確実に正社員として長く働きたいなら、最初から正社員として採用してくれる工場を探すのが一番の近道です。マン天には、未経験から応募できる工場の正社員求人が掲載されています。仕事の中身、賞与や退職金の仕組み、勤務時間と休日を並べて、自分に合う職場を見つけてください。

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参照元ソース

※各出典の内容は2026年10月に確認しています。統計は期間工以外の有期雇用の人も含む区分の値です。求人の内容は掲載時点のもので、変わることがあります。応募前に各出典と求人ページをご確認ください。

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