シーリング工事とは?シーリング工の仕事内容・単価・きつさと始め方【2026年版】

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未経験からの仕事選びガイド・2026年版

シーリング工とは?すき間から建物を守る仕事の中身・単価の考え方・きつさ・未経験からの始め方

外壁の継ぎ目、サッシのまわり、ガラスの縁。建物には、雨水が入り込みやすい「すき間」がたくさんあります。そこを弾力のある材料でふさぎ、建物の動きに合わせて伸び縮みさせるのがシーリング工の仕事です。国の仕様書に沿った工程、材料の使い分け、工事の値段の決まり方、給与、きついところ、始め方までを順に解説します。

  • 12〜15年マンションのシーリング打替の周期の目安
    (国土交通省・長期修繕計画作成ガイドライン)
  • 1人1日50mシーリング撤去の手間の目安
    (公共工事の積算基準・撤去1mあたり防水工0.02人)
  • 31,700円防水工の設計労務単価・愛知
    (公共工事の積算の基準で、日給ではない)
  • 約46%建築用シーリング材の生産量に
    占める変成シリコーン系(2025年)
  • 対象:未経験・異業種から目指す人
  • 名古屋市の正社員求人あり
  • 公開:2026年8月

先に結論:シーリング工は、外壁の目地やサッシまわりのすき間に弾力のある材料を詰めて雨水の通り道をふさぐ、「線の防水」の専門職です。入職に必須の資格はなく、国の仕様書に工程の手本が細かく書かれているため、順番どおりに覚えていけば上達の道筋が見えやすい仕事です。公共工事の積算では、工事の値段は目地の長さ1mあたりで組み立てられます。腕の差は速さよりも、目地の下ごしらえとへら仕上げの正確さに出ます。きついのは高所・天候・細かい手作業の3つ。安全の決まりと、雨の日の扱いがはっきりした会社を選ぶことが、続けるための一番の条件です。

この記事の目次
  1. シーリング工事とは
  2. 仕事の流れ7工程
  3. 二面接着と目地の寸法
  4. 材料の使い分け
  5. 新築と改修の違い
  6. 単価の考え方
  7. 給与の目安
  8. きつさと安全
  9. 資格と教育
  10. 向き不向き
  11. 未経験から始める
  12. 求人と会社の選び方
  13. よくある質問
  14. まとめ

シーリング工事とは?建物のすき間をふさぐ「線の防水」

建物は、外壁のパネル、サッシ、ガラス、コンクリートなど、たくさんの部材を組み合わせてできています。部材と部材の間には必ず継ぎ目(目地)やすき間が生まれ、放っておけばそこから雨水や風が入り込みます。このすき間にペースト状の材料を詰め、固まったあとも弾力が残るゴムのような帯をつくってふさぐのが、シーリング工事です。

国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」では、シーリングの節を「不定形弾性シーリング材」を用いて部材の接合部や目地部を充填する工事に適用する、と定めています。形の決まっていない材料を現場で詰め、固まると弾性をもつ。これがシーリングの基本の性質です。

なお、この仕様書は、国土交通省の官庁営繕部などが国の官庁施設の工事を行うための基準です。民間の建物や戸建住宅の工事では、現場ごとの設計図書(図面や特記仕様書)や、材料メーカーの施工の指定で手順と材料が決まります。この記事では、仕事の中身をつかむための一例として、仕様書の決まりを紹介します。

厚生労働省の技能振興ポータルサイト「技のとびら」では、防水工事は大きく、屋上などを面で覆う「メンブレン防水」と、目地などを線でふさぐ「シーリング防水」に分けられると説明されています。つまりシーリング工は、防水の中でも「線」を専門に受け持つ職人です。屋上やベランダの面の防水については、防水工の仕事を解説した記事で詳しく扱っています。

どこを打つ仕事なのか

外壁パネルの目地

サイディング、押出成形セメント板、ALCなど、外壁材の継ぎ目。住宅から大きなビルまで。

サッシ・建具のまわり

窓枠やドア枠と壁の取り合い。雨水が入りやすい代表的な場所。

ガラスのまわり

ガラスと枠の間。ガラス専用の材料と寸法が決められている。

コンクリートの目地・水回り

打継ぎ目地やひび割れ誘発目地、浴室・キッチン・洗面台のまわりも対象。

建設業の許可の区分でも、シーリング工事は「防水工事」の例として挙げられています。防水工事は「アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事」と定義されており、シーリングはその一部です。たとえば、この記事の後半で紹介する求人の会社も、事業内容は「防水工事」です。

シーリングとコーキングは違う?

現場ではほぼ同じ意味で使われることが多い言葉ですが、日本シーリング材工業会の製品分類では「油性コーキング材」が別に分けられ、技能検定の試験範囲でも「シーリング材」と「コーキング材」は別の項目です。仕事を探すときは言葉にこだわらず、求人票で「どこに、どんな材料を打つのか」を確かめれば十分です。

この仕事の本質:シーリングは、建物が暑さ寒さや風、地震で少しずつ動いても、すき間が開かないように伸び縮みして追いかける仕事です。「詰めて終わり」ではなく、「動いても切れない、はがれない」状態をつくることが求められます。

仕事の流れ|1本の目地ができるまでの7工程

国の仕様書には、シーリング工事の手順がかなり細かく書かれています。実際の現場では設計図書やメーカーの指定に従いますが、未経験者が覚える順番をつかむ手本になります。ここでは仕様書の流れに沿って、1本の目地が仕上がるまでを見ていきます。

目地の点検と清掃(下地処理)下地が十分に乾いてから、油分、ほこり、モルタル、塗料などの付着物や金属部分のさびを取り除き、清掃する。ここを雑にすると、あとではがれの原因になる。
バックアップ材・ボンドブレーカーの装着目地が深すぎるときは、発泡材などのバックアップ材を入れて決められた深さにそろえる。深さが適正なら、目地の底にボンドブレーカーというテープを張る。
マスキングテープ張り必要に応じて目地の縁にテープを張り、仕上がりの線をまっすぐにし、周りを汚さないようにする(仕様書では「必要に応じて」張るとされている)。
プライマー塗り材料の接着を助ける下塗り液を、塗り残しのないよう均一に塗る。充填はメーカーが指定する時間内に行い、ごみが付いた場合やその日のうちに充填できない場合は、清掃と塗り直しからやり直す。
充填ガンで目地の奥まで押し込むように詰める。ノズルは目地幅に合ったものを使い、打ち始めは目地の交差部か角から。途中で継ぐときは、交差部や角を避けて斜めにそぎ継ぐ。
へら押さえとテープ除去へらで押さえて材料を下地に密着させ、表面を平らに仕上げる。押さえたらすぐにマスキングテープをはがす。
確認と片付けはみ出した材料はすぐに取り除く(シリコーン系は固まってから取る)。外部に面した目地では、正しく充填されているかを目で確かめ、硬化と接着の状態を目視と指で触れて確認する(仕様書では外部シーリングの施工後の確認として定められている)。

外部に面する目地では、原則として施工の前に接着性の試験も行います(同じ材料の組み合わせで行った試験成績書があれば、監督職員の承諾を受けて省略できます)。仕様書の簡易接着性試験は、実際の部材や見本に材料を打って固めたあと、180度の方向に引っ張り、材料そのものがちぎれれば合格、という方法です。つまり「はがれる前に材料が切れる」ほど、下地にしっかり付いていることが求められます。

マン天に掲載中のシーリング工の求人マンガでも、養生、下地処理、シーリング材の充填、仕上げという順番で作業が描かれています。仕様書の流れと同じ順番です。

天気と気温で「やらない」判断もする

仕様書は、降雨や多湿で結露のおそれがあるときは作業を中止し、プライマーを塗る時や充填する時に被着体(材料を付ける面)が5℃以下または50℃以上になるおそれがあるときも、保温や遮熱の措置をしない限り中止する、と定めています。濡れた面や冷えすぎ・熱すぎの面には、材料がきちんと付かないからです。「今日は打たない」と判断することも、品質を守る仕事の一部です。

腕が問われるところ|二面接着と目地の寸法

シーリング工の腕の差が一番出るのは、実は目に見えなくなる部分です。そのひとつが「二面接着」という考え方です。

目地の両側の壁にだけ材料を接着させ、底には接着させない。これが二面接着です。底にボンドブレーカーやバックアップ材を入れるのはこのためで、仕様書でもバックアップ材とボンドブレーカーは「シーリング材と接着しないもの」と決められています。三方向すべてにくっついていると、目地が開いたときに材料が自由に伸びられず、切れやすくなります。仕様書は、動きの小さいコンクリートの打継ぎ目地や建具枠まわりなどに限って、三面接着にしてよいとしています。

項目仕様書の決まり(特記がない場合)
コンクリートの打継ぎ目地・ひび割れ誘発目地幅20mm以上、深さ10mm以上
ガラスまわりの目地幅・深さとも5mm以上(ガラス溝の寸法による場合を除く)
上記以外の目地幅・深さとも10mm以上
バックアップ材の大きさ裏に接着剤が付いたものは目地幅より1mm程度小さく、付いていないものは2mm程度大きく
目地の形凹凸や広い狭いのばらつきがないこと

出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」9章7節。工事ごとの特記(設計図書の指定)がある場合はそちらが優先されます。

ミリ単位の話ですが、新人が最初に教わるのは、まさにこの寸法と下ごしらえです。見た目がきれいでも、深さが足りなかったり、底までくっついていたりすれば、数年後の不具合につながります。完成すると見えなくなる部分をきちんと仕上げられる人が、信頼される職人です。

材料の使い分け|同じ「シーリング」でも中身が違う

シーリング材には、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系など、主成分の違う種類があります。仕様書では、材料を付ける面の組み合わせごとに、使う種類の標準が表で決められています(特記がない場合の標準で、実際の現場では設計図書やメーカーの指定に従います)。その一部を抜き出すと次のとおりです。

打つ場所(被着体の組み合わせ)仕様書の標準
ガラスとガラス、金属とガラスなどシリコーン系(1成分形)
金属とコンクリート、金属と石・タイル変成シリコーン系(2成分形)
金属とALC、ALCどうし(表面を塗装などで仕上げる場合)ポリウレタン系(2成分形)
コンクリートの打継ぎ目地・ひび割れ誘発目地仕上げなしはポリサルファイド系、仕上げありはポリウレタン系
浴室・キッチン・洗面台まわり防かびタイプの1成分形シリコーン系
タイルの伸縮調整目地ポリサルファイド系

仕様書の表全体を見ると、表面に塗装をかける「仕上げあり」の場所には、シリコーン系ではなくポリウレタン系や変成シリコーン系が指定されていることがわかります。押出成形セメント板の仕上げありの目地には、変成シリコーン系のうち、材料の成分が表面ににじみ出ない「ノンブリードタイプ」を使うという注記もあります。塗装工事と順番や材料の相性を合わせる必要があるため、仕様書は充填を原則として仕上げ塗材などの前に行うとしています。塗装の仕事との関係は、塗装工の仕事を解説した記事もあわせて読むとつかみやすくなります。

どの材料がどれくらい使われているか

日本シーリング材工業会が公表している生産統計(一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会調べ)によると、2025年の建築用シーリング材の生産量は78,216キロリットルでした。材料別では、変成シリコーン系が35,961キロリットルで全体の約46%、ポリウレタン系が22,068キロリットルで約28%、シリコーン系が17,484キロリットルで約22%です。この3種類で全体の9割以上を占めます。また、全体のうち21,194キロリットル(約27%)は、サイディングなど戸建住宅向けに使われた分です。現場で最初に触る機会が多いのは、この上位の材料だと考えてよいでしょう。

1成分形と2成分形

材料には、カートリッジからそのまま使える1成分形と、基剤と硬化剤を現場で練り混ぜて使う2成分形があります。2成分形は、メーカーが指定する配合どおりに練り混ぜ、決められた「可使時間」のうちに使い切ります。仕様書では、1組の作業班が1日に施工した範囲を1ロットとして、ロットごとに練り混ぜた材料のサンプルを取ることになっています。計量や混ぜ方を誤ると硬化不良の原因になるため、練り混ぜは技能検定の試験項目にも入っている大事な技術です。

新築と改修で仕事の中身が変わる|打ち替えと周期

シーリング工の現場は、大きく新築と改修(リフォーム・大規模修繕)に分かれます。新築では、外壁材やサッシが付いた順に目地を打っていき、塗装などの仕上げ工事と工程を合わせます。一方、改修では、古くなったシーリングをどう扱うかから仕事が始まります。

国土交通省の「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)」には、シーリング改修の工法として次のようなものが定められています。

工法やること
シーリング再充填工法既存のシーリング材を、目地の両側に沿ってカッターなどで切り込みを入れてできる限り取り除き、清掃してから新しく充填する
拡幅シーリング再充填工法既存の材料を取り除いたうえで、ダイヤモンドカッターなどで目地を所定の形に広げてから充填する
ブリッジ工法既存の材料が完全に隠れるようボンドブレーカーを張り、必要に応じてエッジング材で幅をつくり、上から覆うように充填する。エッジング材を使った場合は硬化後に取り除く
シーリング充填工法下地処理をして充填する(撤去の工程はない)

現場では、古い材料を撤去して入れ直すことを「打ち替え」、撤去せずに上から重ねることを「増し打ち」と呼ぶことがよくあります。ただし、国の改修仕様書の工法の表に「増し打ち」という名前はありません。求人や現場で言葉が出てきたら、「既存の材料を撤去するのか、しないのか」を確かめると話が早くなります。撤去して入れ直す場合、カッターでの切り込みと、残った材料や油分をきれいにする作業に時間がかかります。改修現場で経験を積むと、この手際が身につきます。

マンションでは12〜15年が打ち替えの目安

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改定)では、マンションの外壁目地、建具まわり、スリーブまわり、部材接合部などのシーリングについて、打替の修繕周期の目安を12〜15年としています。同じガイドラインは、大規模修繕工事の主要な3工種として、とび工(仮設工事)、防水工(防水・シーリング工事)、塗装工(塗装工事)を挙げています。

シーリングは紫外線や雨風にさらされ続けるため、建物が建っている限り、一定の周期で入れ直しが必要になります。そのため、すでに建っている建物の改修の需要が見込める仕事です。ただし、先ほどの生産統計では、建築用シーリング材の生産量は2022年の82,294キロリットルから2025年の78,216キロリットルまで、毎年少しずつ減っています。仕事量は地域や会社の得意分野でも変わるため、応募先が新築と改修のどちらを多く手がけているかを確かめておくと安心です。

単価の考え方|「1mいくら」と「1人1日いくら」

「シーリング工事 単価」と調べると、1mあたりの金額がたくさん出てきます。働く側がこの数字を見るときは、工事の値段と、職人の手間賃は別のものだと理解しておくことが大切です。国の資料を使って、単価がどう組み立てられているかを見てみましょう。

公共工事の積算では、目地の長さ1mあたりで値段を出す

国の官庁施設の工事で値段を見積もるための基準、国土交通省の「公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)」では、シーリングは「市場単価」として扱われ、単位は1mです。単価は、ポリサルファイド系、ポリウレタン系、変成シリコーン系、シリコーン系といった材料の種類と、「幅10mm×深さ10mm」「幅15mm×深さ10mm」「幅20mm×深さ10mm」といった目地の大きさごとに分かれています。また、この単価にはバックアップ材やボンドブレーカーなどの補助材が含まれ、使うときは被着体の組み合わせに注意するよう書かれています。

つまり、同じ1mでも、目地が太いほど材料が多く要り、材料の種類によっても値段が変わります。ネットで見かける「1mいくら」の数字に幅があるのは、この違いに加えて、打ち替えか新設か、建物の高さや足場の有無、工事の量などの条件が違うためです。足場などの仮設は、積算基準でも別の節で計算される項目です。

撤去は「人工(にんく)」で数える

同じ積算基準の改修工事の部分には、「シーリング撤去」の手間の目安が載っています。撤去1mあたり、防水工0.02人。言いかえると、1人が1日かけて50mを撤去する計算です。職人の手間を「人(にん)」「人工(にんく)」で数え、それに1日あたりの労務単価を掛けて手間賃を出す。これが公共工事の積算での、値段の基本的な組み立て方です。

防水工の労務単価は、愛知で31,700円

その「1日あたりの労務単価」の公的な基準が、農林水産省と国土交通省が毎年決める「公共工事設計労務単価」です。令和8年3月から適用される単価では、シーリング材による防水作業も含む「防水工」が、愛知県で31,700円、東京都で38,200円です(いずれも所定労働時間内8時間当たり)。全国全職種の加重平均は25,834円で、平成25年度の改定から14年連続で上がっています。

含まれるもの含まれないもの
基本給に当たる額残業・休日・深夜の割増賃金
通常の作業条件に対する手当通常の作業条件や作業内容を超えた労働に対する手当
賞与などの臨時の給与法定福利費の事業主負担分、研修訓練などの費用
食事の支給などの実物給与現場管理費・一般管理費などの諸経費

この単価は公共工事の値段を見積もるための基準で、1日の手取りや日給そのものではありません。賞与に当たる分も日割りで含まれている一方、会社が負担する社会保険料などは含まれていません。国土交通省は、こうした必要経費を含めた参考値も示しており、愛知県の防水工では46,800円です。

ためしに、先ほどの撤去の手間と組み合わせてみます。愛知県の防水工の単価31,700円に0.02人を掛けると、撤去1mあたりの手間賃は積算上634円です(諸経費などは別)。工事の単価とは、こうした手間と材料と経費を1mあたりに割り付けたものだとわかります。

働く人にとっての意味:国土交通省の資料では、公共工事設計労務単価は、建設業法に基づいて中央建設業審議会が勧告した「労務費に関する基準」で、公共工事・民間工事を問わず確保されるべき適正な労務費の計算の基礎となる水準と位置づけられています。職人の手間賃を不当に削らないためのものさしが、国の側で整えられつつあるということです。

職人の給与は、工事の単価とは別に決まる

会社に雇われて働く場合、給与は工事の1m単価ではなく、求人票に書かれた月給制や日給月給制などの給与形態で決まります。月給制・日給月給制・歩合の違いと確かめ方は、防水工の記事の「給与形態の読み方」にまとめています。

「単価が高い=稼げる」ではない:1mあたりの金額が高く見えても、そこには材料費や足場、会社の経費が含まれています。応募先を比べるときは、工事の単価ではなく、自分に支払われる月給や日給、雨の日の扱い、賞与や手当を見てください。

給与の目安|統計で見るシーリング工に近い職種

最初にお伝えしておくと、シーリング工だけを取り出した公的な賃金統計はありません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、防水工は「その他の建設従事者」という区分に入っています。この区分には、防水工のほかに、ブロック積工、タイル張工、左官、屋根ふき工、内装仕上工、サッシ工なども含まれます。ここでは、この区分の数字を目安として見ていきます。

区分全体(男女計・企業規模10人以上)の平均では、毎月決まって支給される給与が35.5万円、年間賞与などが40.4万円で、年収に換算すると約467万円です。ただ、未経験から入る人にとっては、全体の平均よりも経験年数ごとの数字のほうが参考になります。

経験年数でどう変わるか

同じ調査には、経験年数ごとの数字があります。残業代を含まない所定内給与と、年間の賞与などを並べると次のとおりです。

経験年数所定内給与(月)年間賞与その他特別給与
0年27.6万円1.4万円
1〜4年26.9万円21.3万円
5〜9年33.7万円33.3万円
10〜14年33.4万円58.0万円
15年以上37.7万円64.4万円

数値の出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種(小分類)別の集計(企業規模10人以上、男女計)から編集部が抜き出したものです。年収換算は、毎月決まって支給される給与を12倍し、年間賞与などを足した計算値です。

この区分は防水工以外の職種も含む広いくくりで、シーリング工だけの水準を示すものではありません。地域や会社、働き方によって差があります。

経験0年の賞与が小さいのは、この調査の賞与が原則として前の年1年間(途中で雇われた人は雇われた日から)の支給額を集めたもので、働き始めたばかりの人は対象期間が短いためです。経験0年と15年以上を比べると、月の所定内給与で約10万円、年間の賞与などで約63万円の差があります。ただし、所定内給与は年数に比例して上がっているわけではなく、同じ年に働く別々の人を経験年数で分けた数字なので、一人の人が働き続けたときの伸び方を示すものでもありません。

月収例の前提の勤務日数や、固定残業代の有無など、給与欄の読み方は求人の給与欄の読み方を解説した記事にまとめています。

きついところと安全|正直に知っておきたいこと

シーリング工の作業の中心は、ガンとへらを使った手作業です。重い資材を運び続ける場面は、ほかの建設の仕事と比べて少ないことが多いでしょう。一方で、この仕事ならではのきつさがあります。応募する前に知っておいてください。

高い所での作業

外壁の目地は上の階まで続く。足場、ゴンドラ、ロープで体を支える作業など、高所に慣れる必要がある。

細かさと集中力

へらの一押しで仕上がりの線が決まる。同じ動きを正確に繰り返す集中が一日中続く。

天候に予定が左右される

雨や結露、気温で作業を止める日がある。日給月給制なら月収にも響く。

夏の暑さ・材料のにおい

夏の外壁まわりは暑さがこたえる。プライマーや材料には独特のにおいがあり、換気と保護具が欠かせない。

姿勢もきつさのひとつです。窓の上の目地は見上げながら、低い位置の目地はかがみながら打つため、首や腰に負担がかかります。ストレッチや、足場の上で無理な姿勢を取らない段取りが、長く続けるための工夫になります。

高所の安全は、法律で決まった教育から

労働安全衛生規則は、危険や有害な業務に就かせるときに事業者が行う「特別教育」を定めています。シーリング工に関係が深いのは、次のような業務です。

  • ゴンドラの操作の業務
  • 足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務
  • 作業床を設けることが難しい高さ2m以上の場所で、昇降器具で体を保持しながら行う「ロープ高所作業」に係る業務
  • 作業床を設けることが難しい高さ2m以上の場所で、フルハーネス型の墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務

どれが必要になるかは現場によって違います。入社後にこうした教育をきちんと受けさせてくれるか、保護具が支給されるかは、会社を見極める大事なポイントです。

暑さと化学物質の決まりも強化されている

職場の熱中症対策は、令和7年6月1日から改正労働安全衛生規則で強化されました。暑さ指数(WBGT)28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超える作業が見込まれるときは、熱中症のおそれがある人を早く見つけて対処する体制と手順を整えることが事業者の義務になっています。

材料の面でも、日本シーリング材工業会は、主にオキシムタイプのシリコーン系シーリング材が固まる途中に出るMEKO(メチルエチルケトオキシム)について、労働安全衛生法に基づく「がん原性物質」などへの指定が令和9年4月1日から施行されると案内しています。事業者にはリスクアセスメントの実施などが求められます。換気や手袋、マスクといった基本を当たり前に守り、製品の安全データシートを確認する会社かどうかも、長く働くうえで見ておきたい点です。

資格と教育|入ってから取るのが基本

シーリング工になるために、入職の時点で必要な資格はありません。まず現場で補助から始め、上に挙げた特別教育を受けながら、段階的に任される範囲を広げていくのが一般的な流れです。腕を公的に証明したくなったら、次のような資格が目標になります。

技能検定「防水施工(シーリング防水工事作業)」

国家検定である技能検定には「防水施工」という職種があり、その中にシーリング防水工事作業があります。合格すると「技能士」を名乗れます。厚生労働省が示す試験科目では、実技として、防水下地の点検と処理、バックアップ材の装填、シーリング材の計量・混合・攪拌、マスキングテープ張り、プライマー塗り、均一な充填、仕上げ、テープの除去、補修、養生、積算ができることが求められます。この記事の「仕事の流れ」で見た工程そのものです。

受検には実務経験が必要で、厚生労働省の案内では、原則として1級は7年以上、2級は2年以上、3級は検定職種に関する実務経験があれば受検できます(学歴や職業訓練の受講歴によって短縮されます)。合格ラインは、都道府県職業能力開発協会が実施する職種では、原則として実技60点以上、学科65点以上です。

シーリング管理士

日本シーリング材工業会が認定する民間の資格で、シーリング施工会社に所属する人向けの「シーリング管理士」があります。受験資格は、シーリング施工を業務とする会社に所属し、会社の推薦を受けた満20歳以上の人で、シーリングに関わる実務経験2年以上に加えて、ゴンドラの特別教育の修了証も必要です。試験の前には2日間の検定講習会が開かれます。同工業会によると、国土交通省の建築工事監理指針などでも活用が推奨されている資格です。材料から設計・施工までの知識が問われるので、現場経験を積んでから目指すことになります。

最初の目標の立て方:1年目は特別教育と基本の工程、3年目前後で2級技能士、その先で1級やシーリング管理士、と段階を分けると迷いません。面接で「2年たったら2級技能検定を受けたい」と具体的に言えると、仕事を調べてきたことが伝わります。

向いている人・慎重に考えたい人

向いている人

まっすぐな線や継ぎ目のないへら仕上げにこだわれる。清掃やテープ張りのような、完成後に見えなくなる下ごしらえも手を抜かない。

慎重に考えたい人

細かい手作業を一日中続けるのが苦痛。外壁の上の階やゴンドラでの作業が、どうしても受け入れられない。

力の強さや体格よりも、正確さと根気が問われる仕事です。求人マンガの中でも、仕上げ作業を苦手に思う人は多いと語られています。最初からきれいに仕上げられる人はいません。仕上げがうまくいかない時期を、確認と反復で乗り越えられるかどうかが分かれ目です。

未経験から始める|最初に任される作業と独り立ちまで

工程の順番がはっきりしているため、新人は仕上がりに直接出にくい準備の工程から任されていくのが自然です。面接では、次の段階それぞれにどのくらいの期間を見ているかを聞いてみてください。

清掃・テープ張り・プライマー付着物を落とし、テープをまっすぐ張り、プライマーを塗り残しなく塗る。ここが確実にできることが次に進む条件。
短い目地の充填とへら押さえ先輩の横で短い区間から任される。仕上がりを見せて、直すところを聞く。
2成分形の練り混ぜ配合や混ぜ方を誤ると硬化不良の原因になるため、慣れてから任されることが多い。技能検定の実技にも入っている。
打ち替えの撤去と、ひとりでの施工古い材料を取り除き、下地を整えて打ち直す。改修の多い会社では、ここまでできると頼られる。

研修や独り立ちまでの流れを見極めるコツは、未経験歓迎の求人で研修制度を見抜く方法の記事でも紹介しています。

求人と会社の選び方|シーリングならではの確認点

給与や休日などの一般的な見方は、防水工の記事の「失敗しない職場選び」や求人の休日・勤務時間の読み方の記事で解説しています。ここでは、シーリング工の求人で聞いておきたい点に絞ります。

  • 打ち替え(改修)と新設(新築)の比率。改修が多いほど撤去と下地づくりの比重が上がる
  • 主な現場が戸建住宅のサイディングか、マンションやビルか。扱う材料と高さが変わる
  • 足場だけか、ゴンドラやロープでの作業もあるか。必要な特別教育を会社が受けさせてくれるか
  • シーリングだけか、屋上の防水や塗装も担当するか
  • 2成分形を使う現場があるか。練り混ぜを任されるまでの目安

名古屋のシーリング工求人を例に読んでみる

マン天に掲載中の有限会社MBK(愛知県名古屋市西区)のシーリング工の求人を、上のポイントに当てはめてみます。仕事内容は、ビルや工場などの建物で外壁や窓まわりのすき間に充填材を入れ、ならして仕上げる作業と、作業前後の準備・清掃です。ただし、会社の事業内容は「防水工事」で、求人マンガでも防水施工とシーリング施工の両方が紹介されています。シーリングを専門に担当するのか、屋上の防水なども担当することがあるのかは、面接で確かめておきましょう。

項目求人ページの表記(要約)
応募の条件未経験歓迎・学歴不問・資格不問。普通自動車免許がなくてもOK
給与月給250,000円〜500,000円(資格・経験・能力により優遇)。月給制/日給月給制の選択OK、日払い・週払いの相談OK
月収例入社1年目で月収25万円、入社5年目で月収38万円(いずれも月23日勤務)
勤務時間8:00〜17:00(休憩90分)。残業ほぼなし(月10時間未満)。雨天時は休みの場合あり
休日日曜+他(月6日休み)、年間休日約100日(カレンダーによる)
待遇昇給年2回・決算賞与あり、寮・社宅あり、資格取得支援制度(費用全額会社負担)、工具・業務備品は会社支給、作業服支給(空調服あり)

未経験者にとって心強いのは、応募の条件がゆるやかなことと、工具や資格の費用を会社が負担してくれる点です。一方で、月収例は「月23日勤務」が前提で、雨天時は休みの場合があると書かれています。日給月給制を選ぶなら、雨の多い月の月収がどう変わるかを面接で確かめておくと安心です。休日は日曜ほか月6日、年間休日は約100日(カレンダーによる)なので、土曜の出勤があるかも面接で確かめましょう。

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外壁や窓まわりのすき間を埋めるシーリング工事の仕事です。未経験・学歴不問・資格不問で、普通自動車免許がなくても応募できます。

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よくある質問

シーリング工とコーキング工は同じ仕事ですか?

現場では同じ意味で使われることが多い言葉です。ただし業界の資料では、硬化後もゴムのような弾力が残るシーリング材と、油性コーキング材などを別の分類で扱っています。求人票にどちらの言葉が書かれていても、仕事内容の欄で扱う場所と材料を確かめれば十分です。

未経験・無資格でもシーリング工になれますか?

なれます。入職の時点で必須の資格はなく、目地の清掃やマスキングテープ張りなどの補助から始めて、充填とへら仕上げを段階的に覚えていくのが一般的です。高所作業に必要な特別教育などは、入社後に会社の手配で受けます。この記事で紹介する求人も、未経験歓迎・学歴不問・資格不問で、普通自動車免許がなくても応募できます。

シーリング工事の単価はどう決まるのですか?

公共工事の積算では、工事の値段を目地の長さ1mあたりの単価で出します。国の積算基準では、シーリングは材料の種類と目地の大きさごとに1m単位の単価が分かれ、バックアップ材などの補助材を含みます。古い材料の撤去は別に計算し、撤去1mあたり防水工0.02人、つまり1人1日で50mという手間の目安が示されています。

シーリング工の年収はどのくらいですか?

シーリング工だけの公的統計はありません。防水工を含むその他の建設従事者の令和7年賃金構造基本統計調査では、毎月の給与が35.5万円、年間賞与などが40.4万円で、年収に換算すると約467万円です。経験0年の人の所定内給与は27.6万円、経験15年以上では37.7万円で、賞与などは64.4万円です。

雨の日は仕事になりますか?

屋外の目地は、雨や結露のおそれがあるときは施工しないのが原則です。国の仕様書でも、降雨や多湿で結露のおそれがある場合や、材料を付ける面が5℃以下または50℃以上になるおそれがある場合(保温や遮熱の措置をとる場合を除く)は作業を中止すると定めています。雨の日が休みになる会社もあるため、日給月給制を選ぶ場合は月収への影響を面接で確かめてください。

防水工とシーリング工はどう違いますか?

どちらも建物を水から守る仕事で、国の技能検定でも同じ防水施工の中にシーリング防水工事作業があります。屋上やベランダなどの面に防水層をつくるのが防水工の中心で、シーリング工は目地やすき間という線を専門に扱います。両方を手がける会社もあるため、求人票で担当する範囲を確認しましょう。

まとめ|見えなくなる仕事を、正確に積み重ねる

この記事の要点

  1. シーリング工事は、目地やすき間に弾性のある材料を詰めてふさぐ「線の防水」。建設業の許可区分では防水工事に含まれる。
  2. 国の仕様書が工程の手本になる(実際の現場では設計図書やメーカーの指定に従う)。腕の差は、二面接着や目地の寸法など、完成後に見えなくなる部分に出る。
  3. 材料は場所ごとに使い分ける。2025年の生産量では変成シリコーン系が約46%を占める。
  4. マンションのシーリング打替の周期の目安は12〜15年。改修の需要が見込める一方、材料の生産量は近年やや減っている。
  5. 公共工事の積算では、工事の値段は1mあたりで出す。防水工の設計労務単価は愛知で31,700円(8時間当たり)で、日給そのものではなく積算の基準。
  6. 防水工を含む職種の統計では、経験0年の所定内給与27.6万円に対し、経験15年以上では37.7万円、賞与などは64.4万円。ただし年数に比例して上がる形ではない。
  7. きついのは高所、細かい手作業、天候、暑さとにおい。特別教育と安全の決まりがある会社を選ぶ。
  8. 資格は入ってから。技能検定のシーリング防水工事作業やシーリング管理士が目標になる。

シーリングは、完成すると細い線にしか見えません。それでも、その線が切れずに残っているから、建物の中が雨から守られています。未経験から目指すなら、体力より先に「決められた手順を守り、同じ作業を正確に繰り返せるか」を自分に聞いてみてください。うなずけるなら、国家検定で証明できる技術と、どの現場でも通用する手に職が身につく仕事です。

参照元ソース

※数値は各公式資料の掲載値です。賃金の統計は対応する職業分類に基づくもので、シーリング工だけの数値ではありません。設計労務単価は公共工事の積算に用いる基準で、個々の賃金を示すものではありません。求人の条件は掲載時点のもので、最新の内容は求人ページでご確認ください。

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