二種免許の取り方と費用|普通免許からいくら・何日かかる?会社負担で取るときの注意点
タクシーやハイヤー、運転代行など、お客さまを乗せて運賃をいただく運転に必要な第二種運転免許。受験できる年齢と免許歴、2022年5月にできた特例教習、2025年9月に短くなった教習時間、教習所3校の実際の料金、そして会社負担で取るときに確かめたいことを、道路交通法や警察庁・厚生労働省などの一次情報と、マン天に掲載中の求人をもとに整理しました。
- 21歳・3年普通二種の受験資格の
原則(年齢・免許歴) - 19歳・1年受験資格特例教習を
修了した場合 - 技能12時限普通免許がある人の教習
(2025年9月から) - 約21万〜31万円教習所3校のAT普通二種
の料金(税込)
- 対象:普通免許を持っていて、二種免許を考えている人
- 名古屋のタクシー求人あり(新卒向け・中途は条件が異なる)
- 第二種運転免許の取得費用を会社が全額負担と書いた求人あり
先に結論:普通第二種免許は、原則として21歳以上で、普通免許などを取ってから通算3年以上たっていれば受験できます。足りない人も、2022年5月からは教習所で「受験資格特例教習」を修了すれば、19歳以上・通算1年以上で受けられます。普通免許を持っている人が教習所で取る場合、2025年9月の改正で教習は技能12時限・学科17時限に短くなりました。費用は、今回確かめた教習所3校のAT普通二種で税込約21万〜31万円です。会社負担の制度を使うときは、費用の範囲と、早く辞めた場合に返す約束があるかを、入社前に書面で確かめましょう。
この記事の目次
二種免許とは?一種との違いと、必要になる運転
運転免許は、道路交通法第84条で「第一種運転免許」「第二種運転免許」「仮運転免許」の3つに分けられています。ふだん自分の車を運転するための普通免許は、第一種免許の1つです。第二種免許には、大型第二種・中型第二種・普通第二種・大型特殊第二種・けん引第二種の5種類があります。
第二種免許が必要になる場面は、道路交通法第86条が決めています。旅客自動車を「旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で」運転するとき、つまりお客さまを乗せて運賃をいただく運転をするときには、車の種類に応じた第二種免許が要ります。
| 運転する車 | 必要な第二種免許 | 根拠 |
|---|---|---|
| 旅客自動車である大型自動車 | 大型第二種免許 | 道路交通法第86条第1項 |
| 旅客自動車である中型自動車・準中型自動車 | 中型第二種免許 | 同上 |
| 旅客自動車である普通自動車 | 普通第二種免許 | 同上 |
| 旅客自動車である大型特殊自動車 | 大型特殊第二種免許 | 同上 |
| 運転代行で運転する客の普通自動車(代行運転普通自動車) | 普通第二種免許 | 道路交通法第86条第5項 |
一般的なタクシーの乗用車は普通自動車にあたるので、必要なのは普通第二種免許です。バスは車の大きさに応じて中型第二種か大型第二種が必要になります。また、二種免許を受けた人は、対応する第一種免許で運転できる車も運転できます(第86条第2項)。普通第二種免許があれば、普通免許で運転できる車はそのまま運転できるということです。
普通第二種免許には、AT車に限る「AT普通第二種免許」もあります(道路交通法施行規則の別表第四にも区分があります)。警察庁によると、2026年4月1日からは中型第二種免許にもAT免許が導入され、大型第二種免許には2027年10月1日から導入されます。
この記事は、タクシーなどで使う普通第二種免許の取り方と費用に絞って説明します。タクシーの仕事内容や1日の流れ、年収や歩合給の考え方は「タクシードライバーになるには?」で詳しく紹介しているので、あわせて読んでください。
受験資格|原則は21歳以上・免許歴3年以上
普通第二種免許の試験を受けられる人は、道路交通法第96条第5項が決めています。原則は、21歳以上で、大型・中型・準中型・普通・大型特殊のいずれかの免許を現に受けていて、それらの免許を受けていた期間が通算3年以上の人です。免許の効力が停止されていた期間は、この期間に数えません。
| 条件 | 年齢 | 免許を受けていた期間(通算) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 原則 | 21歳以上 | 3年以上 | 道路交通法第96条第5項 |
| 旅客自動車の乗務経験などがある | 21歳以上 | 2年以上 | 同項・道路交通法施行令第34条 |
| 特例教習(経験の課程)を修了 | 21歳以上 | 1年以上 | 同項・警察庁 |
| 特例教習(年齢と経験の課程)を修了 | 19歳以上 | 1年以上 | 同項・警察庁 |
2年で受けられる「政令で定める経験」は、道路交通法施行令第34条で、旅客自動車に運転者以外の乗務員として2年以上乗った経験と、普通免許などを取ったあとに自衛官として自衛隊の車を2年以上運転した経験とされています。多くの人に関係するのは、原則の「21歳・3年」と、次の章で説明する特例教習です。
視力と深視力の基準は、普通免許より厳しい
年齢と免許歴に加えて、試験場の適性試験に合格する必要があります。道路交通法施行規則第23条が決める第二種免許の基準は次のとおりです。
| 科目 | 第二種免許の合格基準 | 参考:普通免許 |
|---|---|---|
| 視力 | 両眼で0.8以上、かつ一眼でそれぞれ0.5以上(眼鏡・コンタクトレンズ可) | 両眼で0.7以上、かつ一眼でそれぞれ0.3以上など |
| 深視力 | 三桿法の奥行知覚検査器により2.5mの距離で3回検査し、平均誤差が2cm以下 | 科目なし |
| 色彩識別能力 | 赤色・青色・黄色の識別ができること | 同じ |
| 聴力 | 10mの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器可) | 同じ(条件付きの例外あり) |
深視力は、奥行きの感覚を測る検査で、普通免許の適性試験にはありません。初めて受ける人が多いので、教習所に入校する前に確かめておくと安心です。今回料金を確かめた教習所も、入校の条件に視力と深視力の基準を書いています。
2022年5月からの特例教習|19歳・免許歴1年でも受けられる
令和4年(2022年)5月13日から、第二種免許・大型免許・中型免許の受験資格に特例ができました。警察庁によると、自動車教習所で特別な教習(受験資格特例教習)を修了すると、19歳以上で、普通免許などを受けていた期間が通算1年以上あれば、第二種免許の試験を受けられます。
| 教習の種類 | 対象 | 内容(警察庁) | 時限 |
|---|---|---|---|
| 年齢の特例を受けるための教習 | 年齢が足りない人 | 旅客自動車などの運転に必要な適性(自己制御能力)。座学や実車を含む | 7時限以上 |
| 経験年数の特例を受けるための教習 | 免許歴が足りない人 | 旅客自動車などの運転に必要な技能(危険予測・回避能力)。座学や実車を含む | 29時限以上 |
特例教習の費用の例
特例教習の料金も教習所によって違います。愛知県のユタカ自動車学校(豊橋校)の料金は次のとおりです(税込、2026年10月29日確認)。
| 課程 | 技能・学科の時限数 | 支払総額(税込) |
|---|---|---|
| 年齢課程(年齢が足りない人) | 技能4・学科3 | 138,160円 |
| 経験課程(免許歴が足りない人) | 技能27・学科2 | 293,260円 |
| 年齢・経験課程(両方足りない人) | 技能31・学科5 | 359,260円 |
同校は、特例教習は受験資格を緩めるための教習で、修了しても運転免許を取得できるものではないと注意しています。二種免許そのものの教習(次の章)の料金は別にかかります。たとえば同校で年齢・経験課程とAT普通二種の教習を両方受けると、合計で617,470円です。また、特例教習はどの教習所でも受けられるわけではありません。コヤマドライビングスクールでは、普通二種の特例教習を受けられるのは二子玉川・成城・石神井の3校です。警察庁は、実施している教習所を都道府県警察の窓口で確かめるよう案内しています。
年齢の特例で取ると「若年運転者期間」がある
年齢の特例を受けて第二種免許を取った人は、本来の受験資格の年齢である21歳になるまで「若年運転者期間」になります。この期間に違反をして点数が合計3点以上になると(1回の違反で3点の場合を除く)、若年運転者講習(9時間)を受ける義務があります。講習を受けなかった場合や、講習のあと再び合計3点以上になった場合は、特例で取った免許が取り消されます(警察庁)。
待つほうが得なこともある:特例教習は、早く二種免許を取りたい人には大きな近道ですが、費用は十数万円から三十数万円かかります。あと数か月で21歳・通算3年に届くなら、待ってから普通の教習を受けるほうが費用はかかりません。普通免許を取った日から数えて、いつ条件を満たすかを先に計算しておきましょう。
2025年9月から教習が短くなった|技能12時限・学科17時限
指定自動車教習所(公安委員会が指定した教習所)の教習時間は、道路交通法施行規則の別表第四で決まっています。2025年9月1日に施行された施行規則の改正で、普通第二種免許の教習が短くなりました。2025年8月31日時点の表と、改正後の表を比べると次のとおりです(e-Gov法令検索で確認)。
| 持っている免許と取る免許 | 改正前(2025年8月31日まで) | 改正後(2025年9月1日から) |
|---|---|---|
| 普通免許 → 普通第二種 | 技能21時限(8+13) | 技能12時限(3+9) |
| AT限定の普通免許 → 普通第二種(MT) | 技能25時限(8+17) | 技能16時限(3+13) |
| 普通免許・AT限定の普通免許 → AT普通第二種 | 技能21時限(8+13) | 技能12時限(3+9) |
| 準中型・中型・大型免許 → 普通第二種 | 技能18時限(8+10) | 技能12時限(3+9) |
| 学科(大型・中型・準中型・普通免許を持っている人) | 19時限(7+12) | 17時限(6+11) |
技能の括弧内は「基本操作・基本走行」と「応用走行」、学科の括弧内は「学科(一)」と「学科(二)」の時限数です。準中型・中型・大型免許はAT限定でない場合の数字です。1時限は50分で、技能の時限数は、身につき方に応じて延長されます。学科(二)には、交通事故のけが人を助けるための応急救護処置の教習が6時限含まれます。
何日で取れる?1日の上限と教習の期限
道路交通法施行規則第33条は、二種の教習を受ける人のうち、教習車を運転できる第一種免許を持っている人の技能教習を1日4時限までとしています。技能12時限なら、計算上は最短3日です。ただし実際には、学科17時限、卒業検定の日程、予約の空きがあるので、通う日数はもっと多くなります。名鉄自動車学校は、学校が作る予定表に沿って、週2回程度の技能教習を手配するとしています。教習は入校から9か月以内に終える決まりです(同条)。働きながら通うなら、勤務の休みに何回通えるかで、取れる時期が決まると考えましょう。
MTの二種も、教習の多くはAT車で行う
警察庁によると、2025年4月1日から、普通免許と普通第二種免許のMT免許の技能試験・技能教習・技能検定は原則としてAT車で行い、クラッチやギアの操作に関する項目だけをMTの普通車で行う方法に変わりました(経過措置で、従来の方法の教習が当面認められる教習所もあります)。ユタカ自動車学校(豊橋校)のMT普通二種の教習が「技能16(AT車12 MT車4)」となっているのは、このためです。
AT普通二種で運転できるのはAT車だけです。勤める会社の車がすべてAT車なら、AT普通二種でも仕事はできます。会社にMT車があるか、将来MT車に乗る可能性があるかは、入校前に会社へ確かめましょう。
取り方の流れ|教習所に通うか、試験場で直接受けるか
普通第二種免許の取り方は、指定自動車教習所に通う方法と、運転免許試験場で直接試験を受ける方法の2つです。教習所に通う場合の流れは次のとおりです。
試験場で直接受ける方法は、教習所に通わずに、適性試験・学科試験・技能試験をすべて試験場で受けるものです。この方法で合格した人は、免許を受ける前に、二種免許の車の運転に関する講習と応急救護処置の講習(取得時講習)を受けなければなりません(道路交通法第90条の2・第108条の2)。教習所を卒業し、卒業証明書の技能検定から1年以内の人は、この講習が要りません(道路交通法施行令第33条の5の3)。直接受ける方法は教習料金がかからない一方で、技能試験に受かるまでの回数が読めず、講習も別に受ける必要があります。
どちらの方法でも、試験場では運転免許試験手数料と免許証交付手数料がかかります。金額は道路交通法第112条にもとづいて都道府県が条例で決めるので、受ける都道府県の警察の案内で確かめてください。
費用の目安|教習所3校の料金を比べる
教習料金は教習所ごとに大きく違います。2026年10月29日に3つの指定自動車教習所の公式ページで確かめた、普通免許などを持っている人の普通第二種免許の料金は次のとおりです(税込、規定の時限数で卒業した場合)。
| 教習所(所在地) | 免許 | 時限数 | 料金(税込) | 料金に含まれるもの・注意 |
|---|---|---|---|---|
| 名鉄自動車学校(愛知県名古屋市) | AT普通二種(スタンダードプラン) | 技能12・学科17 | 214,020円 | 入学金・技能教習料・学科教習料・検定料。延長は1時限5,500円 |
| ユタカ自動車学校 豊橋校(愛知県豊橋市) | AT普通二種 | 技能12・学科17 | 258,210円 | 教習費等256,410円+県証紙代1,800円。延長は1時限7,700円 |
| ユタカ自動車学校 豊橋校(愛知県豊橋市) | MT普通二種 | 技能16(AT車12・MT車4)・学科17 | 295,830円 | 教習費等294,030円+県証紙代1,800円 |
| コヤマドライビングスクール石神井(東京都練馬区) | AT普通二種 | 技能12 | 292,600円+コース料金 | 入校時必要料金・技能教習料金・卒業検定料金・卒業証明書発行料の総額(2025年9月1日現在の料金表)。現在はビジネスコース(オプション料金22,000円)以上からの案内。延長は1時限7,150円 |
今回確かめた範囲では、AT普通二種は名鉄自動車学校の214,020円から、コヤマドライビングスクール石神井の314,600円(総額292,600円+ビジネスコース22,000円)までで、おおむね21万〜31万円の幅です。MT普通二種はユタカ自動車学校(豊橋校)で295,830円でした。教習所によって料金表に含まれる項目が違うので、比べるときは「総額に何が入っているか」をそろえて見ましょう。
料金表の外でかかるお金
- 教習の延長:規定の時限数を超えると、1時限ごとに追加料金がかかります(上の表の延長料金)。
- 検定に落ちたとき:再検定の料金がかかります(名鉄自動車学校は卒業検定料1回6,600円、ユタカ自動車学校は1回7,700円)。
- 試験場の手数料:運転免許試験手数料と免許証交付手数料(都道府県の条例で決まる)。
- 特例教習:受験資格が足りない人は、その料金(ユタカ自動車学校の例で138,160円〜359,260円)。
自分で払うなら、教育訓練給付金の対象講座か確かめる
ハローワークの一般教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する講座を修了すると、受講者が払った費用の20%(上限10万円)が支給される制度です。受講を始める日に雇用保険に入っていた期間が原則3年以上(初めて受ける人は1年以上)などの条件があります。ユタカ自動車学校(豊橋校)はAT普通二種を対象講座(MT普通二種は一部対象)と案内しており、コヤマドライビングスクール石神井は、準中型・中型・大型免許を持っている人向けに給付金のコースを設けています。対象かどうかは教習所とコースごとに違うので、申し込む前に確かめてください。手続きの流れは「大型免許の取り方と費用」で解説しています。
会社負担で取るとき|求人の「取得支援」の読み方
タクシー会社などの求人には、二種免許の取得費用を会社が負担すると書いたものがあります。お金の出し方(全額負担、立て替えて勤めれば返済免除、一部補助など)は会社ごとに違い、その整理は「大型免許の取り方と費用」で紹介しています。ここでは、二種免許だからこそ確かめたい点を4つに絞ります。
教習料金だけか、延長・再検定・試験場の手数料まで含むか。受験資格が足りない人は、特例教習の費用も対象になるか。
入社前か入社後か。自分の年齢と免許歴で、いつ受験資格を満たすか。それまでの間にどんな仕事をするか。
勤務として通うのか、休みの日に通うのか。その日の給料はどうなるか。会社が予定を組んでくれるか。
決められた期間より前に辞めたら費用を返す約束があるか。あるなら金額と期間(次の章で説明)。
求人の例:名古屋のタクシー会社(新卒向け)
名古屋市でタクシー事業を営む宝交通株式会社の求人は、PRポイントで「第二種運転免許の取得費用は会社が全額負担」としています。福利厚生の欄には「資格取得支援制度(一部支援)」と「資格手当」も並んでいます。研修は、ビジネスマナーや身だしなみの基礎研修に加えて、ドライバーとして必要な知識・接客を学ぶ専門研修を行い、配属後は先輩ドライバーによるOJT研修で仕事に慣れていく体制だと書かれています。
この求人は新卒向けで、対象は短大・専門・大学を2027年・2028年に卒業予定の人(学部・学科不問)、普通自動車免許(AT限定可)を持っている人です。在学中に自動車免許を取る予定の人も応募でき、中途の人は条件が異なると書かれています。ここで大切なのが、第2章の受験資格です。たとえば20歳で卒業する人は年齢の条件(21歳)に届かず、在学中に普通免許を取った人は免許歴3年にも届かないことがあります。入社後、いつ・どの方法で二種免許を取るのか(特例教習を使うのか、条件を満たすまで待つのか)と、「全額負担」と「一部支援」がそれぞれどの費用に当たるのかを、説明会や面接で確かめておきましょう。
名古屋のタクシードライバー求人(新卒向け)を見る
宝交通株式会社の、2027年・2028年に短大・専門・大学を卒業予定の人を対象にした正社員求人です。第二種運転免許の取得費用は会社が全額負担と書かれています。給与は月給300,000円〜(専門・短大卒は270,000円〜、新卒入社に限る)で、固定給+歩合制です。中途の方は条件が異なります。
宝交通の求人を見る辞めたら費用を返す?会社負担の注意点
会社負担で免許を取るときに、いちばんもめやすいのが、早く辞めたときの費用の扱いです。労働基準法第16条は「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。「1年以内に辞めたら罰として○万円払う」のように、辞めることに対してあらかじめ決めたお金を払わせる約束は、この条文に反します。
一方で、会社が立て替えた費用を本人への「貸し付け」とし、一定期間働けば返さなくてよいとする約束は、すぐに無効になるとは限りません。中央労働委員会(厚生労働省の外局)の解説資料は、裁判例は次のような点を総合して判断していると整理しています。
- 労働契約とは別に、費用の貸し借りの約束があるか
- 研修などへの参加が、本人の自由な意思によるものか
- 研修などが、どの程度業務としての性格を持つか
- 返済を免除する基準が合理的か
- 返す金額や返し方が合理的か
同じ資料は、タクシー運転手の普通第二種免許の取得費用についての裁判例(東京地裁平成20年6月4日判決)を紹介しています。判決は、二種免許は会社を辞めても本人が使えるという個人的な利益があることから、取得費用は本来は取得を希望する本人が負担すべきものとし、返す額が20万円に満たず、免除までの勤務期間が2年だったことから、第16条に違反しないと判断しました。
つまり、「二種免許は仕事に必要だから、返す約束は必ず無効」とも、「約束したら必ず全額返す」とも言い切れません。金額、縛られる期間、会社の指示で取ったのか本人の希望なのかといった事情で結論が変わります。ほかの裁判例や話し合いで解決した例は「資格取得支援制度とは?」で詳しく紹介しています。
返還の約束は、書面で確かめる
労働基準法施行規則第5条は、「職業訓練に関する事項」を、会社に定めがある場合に働く人へ示さなければならない労働条件の1つとしています。ただし、書面で渡すことまで義務づけられているのは、契約期間、働く場所と仕事の内容、労働時間や休日、賃金、退職などの事項です。免許の費用の約束は口頭の説明で済まされやすいので、規程や誓約書を見せてもらうよう自分から頼みましょう。
- 返す約束があるか。あるなら金額の上限(実際にかかった費用までか)
- 何か月・何年勤めれば返さなくてよいか。勤めた期間に応じて減っていくか
- 会社の都合で辞めることになった場合や、病気・けがの場合はどうなるか
- 検定に落ちて教習が延びた費用や、特例教習の費用を誰が払うか
- 最後の給料から差し引くと書かれていないか(労働基準法第24条は、賃金は全額を払うのが原則で、差し引けるのは法令の定めや労使の書面の協定がある場合としています)
口約束のまま入校しない:返す条件が書面で決まっていれば、辞めるかどうかを考えるときに自分で判断できます。条件に納得できないときは、入校前に質問するか、自分で費用を払って取る道も考えてみてください。
自分で払うか、会社の制度で取るか
どちらが得かは、手元の資金と、働きたい会社がもう決まっているかどうかで変わります。違いを並べると次のとおりです。
| 比べる点 | 自分で払って取る | 会社の制度で取る |
|---|---|---|
| お金 | 今回の3校ではAT普通二種で約21万〜31万円。延長などは自己負担 | 会社が負担(どこまでかは会社しだい) |
| 会社選び | 免許を取ってから、条件を比べて応募できる | 入社する会社が先に決まる |
| 辞めるとき | 返す費用はない | 返す約束があれば、精算が必要になることがある |
| 給付金 | 対象講座で条件を満たせば一般教育訓練給付金(20%、上限10万円) | 会社が払う費用との関係は事前に確かめる |
| 取る時期 | 自分の予定で通える | 会社の予定に合わせて通うことが多い |
未経験で、まとまったお金を用意しにくい人には、会社の制度は大きな助けになります。その場合は、第7章・第8章の確認点を入社前に済ませておくことが大切です。逆に、すでに受験資格があり、費用を用意できる人は、先に自分で取っておくと、勤務形態や給与の条件を比べて会社を選べます。給与欄の固定給と歩合給の読み方は「求人の給与欄の読み方完全ガイド」が参考になります。
入校前・面接で確かめたいこと
ここまでの内容を、入校前と面接のときに確かめるチェックリストにまとめました。
- 自分の年齢と免許歴で、いつ受験資格(21歳・通算3年)を満たすか
- 特例教習が必要か。必要なら、実施している教習所と費用
- 視力(両眼0.8以上・片眼0.5以上)と深視力の基準を満たせそうか
- AT普通二種で足りるか、MT普通二種が必要か(会社の車)
- 料金表の総額に何が含まれるか。延長・再検定の料金はいくらか
- 働きながら週に何回通えるか。9か月の期限内に終えられるか
- 会社負担なら、費用の範囲・教習に通う日の扱い・返す約束の中身(書面)
- 二種免許を取ったあと、一人で乗務するまでの研修の流れ
面接では、たとえば次のように聞くと、答えから会社の制度の中身が見えてきます。
- 二種免許は、入社してからいつごろ、どの教習所で取ることになりますか
- 私の年齢と免許歴では特例教習が必要ですが、その費用も会社の負担に含まれますか
- 教習に通う日は勤務扱いになりますか。給料はどうなりますか
- 取得費用について、退職したときの取り決めがあれば、規程を見せていただけますか
- 免許を取ったあと、先輩の同乗などの研修はどのくらいの期間ありますか
研修の中身の見抜き方は「未経験歓迎の求人で失敗しない研修制度の見抜き方」で詳しく解説しています。
名古屋でタクシードライバーを募集中(新卒向け)
短大・専門・大学を2027年・2028年に卒業予定の人を対象にした、名古屋のタクシー会社の正社員求人です。PRポイントに「第二種運転免許の取得費用は会社が全額負担。」と書かれています。中途の方は条件が異なります。
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創業80年以上の安定企業(1951年設立)!【名古屋の宝タクシー|ドライバー|宝交通株式会社】
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新卒向け:短大・専門・大学を2027年・2028年に卒業予定の方(学部・学科不問)。中途の方は条件が異なります。必要な免許:普通自動車免許(AT限定可、在学中に取得予定の方でも可)
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2026年10月時点の募集内容です。最新の条件は求人ページでご確認ください。
よくある質問
普通免許から二種免許を取るにはいくらかかりますか?
教習所によって違います。2026年10月に確かめた3校では、普通免許を持っている人のAT普通二種は、名鉄自動車学校(名古屋市)が税込214,020円、ユタカ自動車学校豊橋校が258,210円(県証紙代を含む)、コヤマドライビングスクール石神井(東京都練馬区)が総額292,600円にコースのオプション料金(現在はビジネスコースの22,000円から)を足した額でした。MT普通二種は、ユタカ自動車学校豊橋校で295,830円です。いずれも規定の時限数で卒業した場合の料金で、教習が延びると追加の料金がかかります。
二種免許は何日くらいで取れますか?
普通免許を持っている人の普通二種の教習は、2025年9月から技能12時限・学科17時限になりました(AT限定の普通免許からMTの普通二種を取る場合、技能は16時限)。教習車を運転できる普通免許を持っている人は、二種の技能教習を1日4時限まで受けられるので、技能12時限だけなら計算上は最短3日です。実際は学科や検定の日程、予約の空きで日数が延びます。名鉄自動車学校は、学校が作る予定表で週2回程度の技能教習を手配するとしています。教習は入校から9か月以内に終える決まりです。
21歳未満でも二種免許を取れますか?
原則は21歳以上・普通免許などの免許歴が通算3年以上です。2022年5月13日からは、教習所で受験資格特例教習を修了すれば、19歳以上・通算1年以上で受験できます。年齢の特例を使って取った場合、21歳になるまでは若年運転者期間で、この間に違反の点数が合計3点以上になると(1回の違反で3点の場合を除く)、9時間の若年運転者講習を受ける義務があります。特例教習の費用は、二種の教習とは別にかかります。
AT限定の普通免許でも二種免許を取れますか?
取れます。AT普通二種免許の技能教習は、AT限定の普通免許を持っている人も12時限です。MTの普通二種免許を取る場合は16時限になります。どちらを取るかは、勤める会社の車にMT車があるかどうかで決めましょう。
会社負担で二種免許を取ってすぐ辞めたら、費用を返す必要がありますか?
約束の中身と事情によります。労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金や損害賠償額をあらかじめ決める契約を禁じています。一方で、会社が立て替えた費用を貸し付けとし、一定期間働けば返さなくてよいとする約束は、すぐに無効とは限りません。中央労働委員会の解説資料が紹介する裁判例では、タクシー運転手の普通第二種免許の費用について、返す額が20万円未満で、免除までの勤務期間が2年だったことなどから、第16条違反ではないと判断されています。入社前に、返還の約束の有無と金額、期間を書面で確かめてください。
教習所に通わずに、試験場で直接受けて取ることはできますか?
できます。ただし、試験場の試験に合格した人は、免許を受ける前に、二種免許の車の運転に関する講習と応急救護処置の講習(取得時講習)を受ける必要があります。教習所を卒業した人は、卒業証明書の技能検定を受けた日から1年以内なら、試験場の技能試験が免除され、取得時講習も要りません。
まとめ|受験資格の日付と費用の範囲を先に確かめる
この記事の要点
- お客さまを乗せて運賃をいただく運転や運転代行には第二種免許が必要。タクシーは普通第二種免許。
- 受験資格は原則21歳以上・免許歴通算3年以上。特例教習を修了すれば19歳以上・通算1年以上。
- 特例教習は年齢の課程が7時限以上、経験の課程が29時限以上。費用は二種の教習とは別にかかる。
- 2025年9月から、普通免許がある人の教習は技能12時限・学科17時限(AT限定からMT二種は技能16時限)。
- 技能教習は1日4時限まで、教習の期限は9か月。視力は両眼0.8以上・片眼0.5以上で、深視力の検査もある。
- 教習所3校のAT普通二種は税込約21万〜31万円。延長・再検定・試験場の手数料は別にかかる。
- 会社負担なら、費用の範囲、教習の日の扱い、返す約束の中身を入社前に書面で確かめる。
二種免許は、お客さまの命を預かって運転するための免許です。そのぶん受験資格も適性の基準も普通免許より厳しくなっていますが、2022年の特例教習と2025年の教習時間の見直しで、以前より取りやすくなりました。
まずは、普通免許を取った日から数えて受験資格を満たす日を確かめ、そのうえで「自分で払って取るか」「会社の制度で取るか」を選んでください。会社の制度を使うなら、費用の範囲と辞めたときの約束を、入社前に書面で確かめることを忘れないようにしましょう。
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参照元ソース
- e-Gov法令検索「道路交通法」(第84条、第86条、第90条の2、第96条、第97条の2、第108条の2、第112条)
- e-Gov法令検索「道路交通法施行令」(第33条の5の3、第34条)
- e-Gov法令検索「道路交通法施行規則」(第23条、第33条、別表第四)
- 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて(令和4年5月13日)」
- 警察庁「AT大型免許等の導入及びMT免許の技能試験等の方法の見直しについて」
- 名鉄自動車学校「トラック・タクシー(普通二種)」
- ユタカ自動車学校(豊橋校)「普通二種」
- ユタカ自動車学校(豊橋校)「受験資格特例教習」
- コヤマドライビングスクール石神井「普通二種(AT)」
- コヤマドライビングスクール「特例教習」
- ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第16条、第24条)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(第5条)
- 中央労働委員会「個別労働紛争の調整事例④ 労働者の資格取得費用の負担及び損害賠償責任の制限」(PDF)
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